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第7章
第323話 ナイス反射神経
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「お待たせしましたー!ホットレモネードです~!」
元気な女の人の声が聞こえた。すぐ近くのカフェでテイクアウトをお願いしたら、ここまで持って来てくれるというので頼んでいたんだ。というか、洗濯場はカフェの裏手でカフェが管理している場所だった。
カフェのお姉さんが僕達の姿を確認してこちらに一歩踏み出した時、お姉さんの後ろから、人影が現れてお姉さんの両脇をすり抜けてきた。
小柄な女の子二人。令嬢という方が良いのかな。ひらひらしたドレスを着ている。風でブワッとドレスの裾が広がってる。
「わわっ!」
お姉さんがビックリしてバランスを崩しかけた。あっ!と思って僕は咄嗟にマジック財布に手を突っ込んだ。
偵察君をくっつければ、物理耐性があるからお姉さんが怪我しないって思ったんだよね。マジック財布の中で偵察君を掴んだ時、お姉さんがどっと前につんのめった。
ドン!とお姉さんの後ろから誰かがぶつかって来たんだ。
「やば!」
マジック財布の中から鷲づかみにした偵察君を勢い良く投げた。
ホットレモネードのカップが宙を舞った。それがまるでスローモーションの様に見えた。
偵察君を投げた時に風魔法も一緒に発していて、風魔法と偵察君の物理耐性でホットレモネードのカップは空中で支えられているみたいになっていた。だからカップが舞う動きがゆっくりだったみたいだ。
さっと動きだしていたリヒャルトさんとインゴさんが宙を舞っていたホットレモネードのカップを掴み取っていた。
そこは転びそうだったお姉さんを支えるんじゃないのって一瞬だけ思ったけど、お姉さんがザッと出した右足で地面を踏みしめると、身体の向きを変えてトレーから飛び出したカップを両手で一つずつ掴んでいるのが見えた。
おおー!ナイス反射神経!
僕達人数分のホットレモネードのカップは全部で7個。リヒャルトさんが3つ。インゴさんが2つ。そしてカフェのお姉さんが2つ。
少しだけ偵察君の補助が効いたと思うけど、トレーから飛び出したカップは見事に無事だった。
トレーだけが、コロンコロンと地面に転がった。
「おおー!」
なんだかショーを見ているみたいな見事な連携プレーに思わず声を上げた。
「おい!邪魔じゃないか!」
怒鳴ったのはお姉さんにぶつかって来た男の子だった。その子のすぐ後ろからも男の子が来ていて、お姉さんに更に体当たりをした。今度はお姉さんは身構えていたから、よろけなかった。
「そこをどけよ!」
「何するんですか!」
お姉さんが大きな声を出した。男の子の一人は、お姉さんの横をすり抜けようとして一歩踏み出していたけど足を止めてお姉さんを振り返り睨みつけた。
「なんだ?通行を邪魔した上に文句をいうのか?」
「生意気な!お詫びにその飲み物を寄越せ!」
もう一人の男の子も、お姉さんの持っているカップを指差して怒鳴った。
「ふざけないで!これはあちらのお客さんのものよ!」
突然の訳の判らないやり取りにちょっと呆然としていたら、いきなりこちらに注目が集まった。
ジロリとこちらを睨みつける男の子二人。
一瞬、間が生まれた。
なんだかバチバチとした空気?
何これ?喧嘩でも始まっちゃう?と思ったら、バタバタとまた足音が聞こえてきた。
元気な女の人の声が聞こえた。すぐ近くのカフェでテイクアウトをお願いしたら、ここまで持って来てくれるというので頼んでいたんだ。というか、洗濯場はカフェの裏手でカフェが管理している場所だった。
カフェのお姉さんが僕達の姿を確認してこちらに一歩踏み出した時、お姉さんの後ろから、人影が現れてお姉さんの両脇をすり抜けてきた。
小柄な女の子二人。令嬢という方が良いのかな。ひらひらしたドレスを着ている。風でブワッとドレスの裾が広がってる。
「わわっ!」
お姉さんがビックリしてバランスを崩しかけた。あっ!と思って僕は咄嗟にマジック財布に手を突っ込んだ。
偵察君をくっつければ、物理耐性があるからお姉さんが怪我しないって思ったんだよね。マジック財布の中で偵察君を掴んだ時、お姉さんがどっと前につんのめった。
ドン!とお姉さんの後ろから誰かがぶつかって来たんだ。
「やば!」
マジック財布の中から鷲づかみにした偵察君を勢い良く投げた。
ホットレモネードのカップが宙を舞った。それがまるでスローモーションの様に見えた。
偵察君を投げた時に風魔法も一緒に発していて、風魔法と偵察君の物理耐性でホットレモネードのカップは空中で支えられているみたいになっていた。だからカップが舞う動きがゆっくりだったみたいだ。
さっと動きだしていたリヒャルトさんとインゴさんが宙を舞っていたホットレモネードのカップを掴み取っていた。
そこは転びそうだったお姉さんを支えるんじゃないのって一瞬だけ思ったけど、お姉さんがザッと出した右足で地面を踏みしめると、身体の向きを変えてトレーから飛び出したカップを両手で一つずつ掴んでいるのが見えた。
おおー!ナイス反射神経!
僕達人数分のホットレモネードのカップは全部で7個。リヒャルトさんが3つ。インゴさんが2つ。そしてカフェのお姉さんが2つ。
少しだけ偵察君の補助が効いたと思うけど、トレーから飛び出したカップは見事に無事だった。
トレーだけが、コロンコロンと地面に転がった。
「おおー!」
なんだかショーを見ているみたいな見事な連携プレーに思わず声を上げた。
「おい!邪魔じゃないか!」
怒鳴ったのはお姉さんにぶつかって来た男の子だった。その子のすぐ後ろからも男の子が来ていて、お姉さんに更に体当たりをした。今度はお姉さんは身構えていたから、よろけなかった。
「そこをどけよ!」
「何するんですか!」
お姉さんが大きな声を出した。男の子の一人は、お姉さんの横をすり抜けようとして一歩踏み出していたけど足を止めてお姉さんを振り返り睨みつけた。
「なんだ?通行を邪魔した上に文句をいうのか?」
「生意気な!お詫びにその飲み物を寄越せ!」
もう一人の男の子も、お姉さんの持っているカップを指差して怒鳴った。
「ふざけないで!これはあちらのお客さんのものよ!」
突然の訳の判らないやり取りにちょっと呆然としていたら、いきなりこちらに注目が集まった。
ジロリとこちらを睨みつける男の子二人。
一瞬、間が生まれた。
なんだかバチバチとした空気?
何これ?喧嘩でも始まっちゃう?と思ったら、バタバタとまた足音が聞こえてきた。
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