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第7章

第322話 足湯

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アイヴィーさんの窓口への男性への申し伝えが済んだ後、別室で再びアイヴィーさんに謝られた。
魔獣避けの香草玉と、僕達の乗っていた馬車が角狼に襲われた因果関係は、はっきりとは証明できない。
香草玉を投げている現場も見えていなかったし。

だけど,僕達の護衛の依頼を受けていたはずのレナードさんとイーサンさんは、角狼がこちらに追い払われてくるということを予測して行動しなければいけなかったそうだ。
確かに、護衛対象だった僕達が近くに居た事も知っているしね。

護衛任務の放棄だけでなくて、護衛対象に対する危険行為と見なされるそうで賠償対象になるんだって。
そもそも魔獣避けの香草玉は、冒険者ギルドからの貸し出し品だったそうだ。どうしても危険な場合に使うということになっていて、依頼が終わったら返却する物らしい。
その品を護衛依頼の人の為以外につかって、更に護衛対象を危険に晒したということになる。
香草玉を貸し出した責任もあるということで、賠償は冒険者ギルドが行う事になった。賠償額は別途話をして決めるらしい。
レナードさん達へは冒険者ギルドから賠償請求とかをするらしいけど、僕達は直接争わなくて済むようだ。

「‥‥なんか色々ややこしかったねぇ。」

冒険者ギルドでの手続きが終わって、足湯に皆で浸かった。

30cmくらいの深さで、お湯が水路から流れて来て一度ここで溜まって、更に水路に流れて行く仕組みになっている場所だ。
普段は洗濯とかに使われているところらしいんだけど、洗濯の足場用に水際に沿って板が設置してあってちょうど座れる感じだったから、足湯にしてみたんだ。気持ちよい~。

あ、足を入れてもよいかどうかはちゃんと、確認をとったよ。下流で洗濯してたら嫌だと思うかもしれないからね。

「ふぅ~‥‥‥、滝を見に行った事が遠い昔のようだよ。」
「だよねぇ。」
「ギルドがちゃんと対応してくれているみたいでよかったよ。王都のギルドだと、何かうやむやにされそう。」
「それは思う!王都だったら賠償とかになっても直接話し合ってくれって言われるよ。」
「そうだよね。ここって‥‥。ああ、エルストベルクの冒険者ギルドかぁ。」

足湯に浸かっている間にギルド談義。ラルフ君の言葉に、領都での事を思い出した。

「そういえば、こっちに来る前にロトヴィックさんにちょっと聞いてみたんだ。アタムスン村って所に行くけど、冒険者ギルドはあるのって?薬草採取とかの現地講習とかしてくれたりしないかなって。」
「え、薬草採取の現地講習って良いね!やってるの?」

僕の言葉に皆が目を輝かせた。あ、そんな期待した目でみられると心苦しい。

「やってないけど、考えてはみるって‥‥。そもそも冒険者ギルドはないって言ってたよ。」
「ギルドあるよね。」
「出張窓口だけっとことじゃないの?」
「出張窓口って、もしかして、最近出来たんじゃないのかな‥‥。」

ラルフ君とロルフ君が、何故かじっと僕の事を見つめた。

「出張窓口が何時出来たのかは知らないよ。ロトヴィックさんに聞いてみようか?」
「いや、窓口が出来た時期は、別に良いんだけど‥‥。えーと、そもそもロトヴィックさんって誰?エルストベルクの冒険者ギルドの職員さん?」
「エルストベルク領都支部のギルドマスターだって。」
「ああ。察し。」
「察し。」

何か納得した様子のラルフ君とロルフ君。
彼らの予想ではロトヴィックさんが僕達がこの村に来るって知ったから、しっかりした職員がいる様に配慮してくれたんじゃないかって。

「ロトヴィックさんがそこまでやってくれるかなぁ。普通のイケオジだよ。」
「普通のイケオジとは。」
「凄い筋肉なの。威圧っていうのをするんだって。蒼い目で睨まれると怖いらしい。あと、髪が真っ赤。」
「それが普通のイケオジ? ‥‥まあでも、強そうな冒険者のイメージだね。」

強そうな冒険者のイメージなのは間違いないなぁ。
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