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第7章
第317話 襲撃
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「前の道に引き返すぞ。」
「え、ちょっと待ってください。二人が勝手な行動をして申し訳ないんですけど、二人を置いて行くわけには。」
「待っている時間はない。この近くに魔獣がいると言っただろう。依頼遂行中に勝手な行動をした奴など待っていられない。」
「それは本当にすみません!でも、待ってください!」
「そこをどけ。邪魔になる。」
インゴさんとカイルさん達が、馬車を動かすかどうかでまだ揉めていた。
インゴさんの口調が厳しい。激オコみたいだ。
「魔獣が来るぞ!」
外の様子を伺っていたリヒャルトさんが大声を出した。途端に緊迫した空気になる。
遠吠えが聞こえた。比較的近くからみたいだ。
その後、あまり間を置かずに、うなり声のような声が聞こえて来た。
馬車が動き出した。急いで引き返すらしい。
ガルルッ!ガウ!
「うおおお!」
「カイル!大丈夫か!」
馬車の外では既に魔獣との戦闘が始まっているみたいだった。
ドン!と何かが馬車にぶつかるような衝撃。魔獣が体当たりしてきたみたいだ。
「角狼だ!」
小窓から外をみていたラオウル君が叫ぶ様に言った。
リヒャルトさんが馬車の扉に手を駆けた。そして僕達に向かってよく通る声で言った。
「すぐ戻ります。外に出ないでください。」
チラリとリヒャルトさんがラオウル君の方を見た。ラオウル君が頷いて扉と僕達の間を塞ぐように両手を広げた。
「皆、ここで待っていよう。」
リヒャルトさんが馬車の扉を開けた。
「ギャン!」
開けるとほぼ同時に角狼の悲鳴が聞こえた。扉近くに迫っていた角狼を突き刺したらしい。
ひらりとリヒャルトさんが馬車の外に飛び出して行った。ラオウル君がすぐに扉を閉めた。
「ギャン!」
「キャィン!」
ザッ!ザッ!
「ヒェ~!」
「ええー?つえぇ~!」
角狼の悲鳴?それとカイルさん達の声。
馬車が方向転換をする様に動き出した。
「行くぞ!お前達も乗れ!」
インゴさんの声。バタバタ御者席に乗り込む人影。
一旦馬車が停止し、ラオウル君が扉を開けるとリヒャルトさんが戻って来た。
それから馬車が走り出した。
マップで見ると現在地の近くには赤い丸が消えていた。魔獣が近くにいない事を示していた。リヒャルトさんが全部倒しちゃったのかな。追い払われて移動しているらしい赤丸もない。
レナードさんとクラウスさんが駆けて行った方角にも赤丸は見えなかった。
「もう、近くに角狼はいないみたい。」
マップを皆に見せた。
ふぅっと安堵の息が誰からともなく漏れた。もう凄い緊迫感だったよね。
馬車が逸れる前の道まで戻って来た。村に向かう真直ぐの道を少し進んでから、馬車が一旦停止した。また御者席で何か揉めているような声がする。
「あのっ‥‥二人が戻ってくるのを待っていただけませんか?」
「護衛を放棄した冒険者を、護衛対象が助けろと言っているのかな。おかしな事を言っている自覚はある?」
「本当に申し訳ありません!でも‥‥彼らのことも心配で‥‥。」
カイルさんが泣きそうな声になっている。
「カイル!彼奴らは自分達で任務放棄していったんだ。村に戻ろう!」
イーサンさんは強い口調でカイルさんに言った。
「でも‥‥。」
カイルさんはまだ躊躇している様子だった。
「俺達まで任務放棄するわけにはいかないだろ!」
「‥‥ああ‥‥。」
イーサンさんに説得されて、カイルさんは渋々という感じで了承したようだ。馬車が再び動き出した。
「え、ちょっと待ってください。二人が勝手な行動をして申し訳ないんですけど、二人を置いて行くわけには。」
「待っている時間はない。この近くに魔獣がいると言っただろう。依頼遂行中に勝手な行動をした奴など待っていられない。」
「それは本当にすみません!でも、待ってください!」
「そこをどけ。邪魔になる。」
インゴさんとカイルさん達が、馬車を動かすかどうかでまだ揉めていた。
インゴさんの口調が厳しい。激オコみたいだ。
「魔獣が来るぞ!」
外の様子を伺っていたリヒャルトさんが大声を出した。途端に緊迫した空気になる。
遠吠えが聞こえた。比較的近くからみたいだ。
その後、あまり間を置かずに、うなり声のような声が聞こえて来た。
馬車が動き出した。急いで引き返すらしい。
ガルルッ!ガウ!
「うおおお!」
「カイル!大丈夫か!」
馬車の外では既に魔獣との戦闘が始まっているみたいだった。
ドン!と何かが馬車にぶつかるような衝撃。魔獣が体当たりしてきたみたいだ。
「角狼だ!」
小窓から外をみていたラオウル君が叫ぶ様に言った。
リヒャルトさんが馬車の扉に手を駆けた。そして僕達に向かってよく通る声で言った。
「すぐ戻ります。外に出ないでください。」
チラリとリヒャルトさんがラオウル君の方を見た。ラオウル君が頷いて扉と僕達の間を塞ぐように両手を広げた。
「皆、ここで待っていよう。」
リヒャルトさんが馬車の扉を開けた。
「ギャン!」
開けるとほぼ同時に角狼の悲鳴が聞こえた。扉近くに迫っていた角狼を突き刺したらしい。
ひらりとリヒャルトさんが馬車の外に飛び出して行った。ラオウル君がすぐに扉を閉めた。
「ギャン!」
「キャィン!」
ザッ!ザッ!
「ヒェ~!」
「ええー?つえぇ~!」
角狼の悲鳴?それとカイルさん達の声。
馬車が方向転換をする様に動き出した。
「行くぞ!お前達も乗れ!」
インゴさんの声。バタバタ御者席に乗り込む人影。
一旦馬車が停止し、ラオウル君が扉を開けるとリヒャルトさんが戻って来た。
それから馬車が走り出した。
マップで見ると現在地の近くには赤い丸が消えていた。魔獣が近くにいない事を示していた。リヒャルトさんが全部倒しちゃったのかな。追い払われて移動しているらしい赤丸もない。
レナードさんとクラウスさんが駆けて行った方角にも赤丸は見えなかった。
「もう、近くに角狼はいないみたい。」
マップを皆に見せた。
ふぅっと安堵の息が誰からともなく漏れた。もう凄い緊迫感だったよね。
馬車が逸れる前の道まで戻って来た。村に向かう真直ぐの道を少し進んでから、馬車が一旦停止した。また御者席で何か揉めているような声がする。
「あのっ‥‥二人が戻ってくるのを待っていただけませんか?」
「護衛を放棄した冒険者を、護衛対象が助けろと言っているのかな。おかしな事を言っている自覚はある?」
「本当に申し訳ありません!でも‥‥彼らのことも心配で‥‥。」
カイルさんが泣きそうな声になっている。
「カイル!彼奴らは自分達で任務放棄していったんだ。村に戻ろう!」
イーサンさんは強い口調でカイルさんに言った。
「でも‥‥。」
カイルさんはまだ躊躇している様子だった。
「俺達まで任務放棄するわけにはいかないだろ!」
「‥‥ああ‥‥。」
イーサンさんに説得されて、カイルさんは渋々という感じで了承したようだ。馬車が再び動き出した。
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