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第7章
第310話 海が見えるダンジョン
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ポーン!ポヨヨン、シュバッ!
「にゃにゃにゃにゃー!!」
ポーン!ポヨヨン、シュバッ!
「にゃにゃにゃにゃー!!」
新しく仲間になったダンジョンマスターは、オレンジ色のスライムだった。ツヤツヤしていてちょっとメタリックな輝きをしたオレンジ色だ。ポヨヨンって撥ねるからプニョン君って名前になったんだ。
プニョン君のダンジョンは、エルストベルクの領都より北部の地域とその西にある領にまたがったエリアだった。
スライムだからか、プニョン君は弾力がある球体とか出したりするのが得意らしい。
さっきから、大きな丸い球体でプティを包み込んで転がし、プティがそれを突き破って出てくるという遊びをしていた。
「やぶけるポヨン。もっとポヨポヨ運びたいポヨン。」
プニョン君のダンジョンの罠は、水たまり形状らしい。液体がプニプニしているイメージ。冒険者がそこにうっかり足を踏み入れちゃうと、プニョプニョした繭みたいなスライムに身体を覆われてダンジョンの外に転がされて行くらしい。
その罠作りが楽しくなっちゃってダンジョンに来た冒険者を片っ端から罠に嵌めて転がして追い出していたら、ダンジョン内のエネルギーバランスが乱れてしまったらしい。それで魔獣溢れが加速してしまったそうだ。
ダンジョンには複数の出入り口があってダンジョンに入ってきた冒険者を単純に外に追い出すだけじゃなくて、別の入り口まで転がして運んで行ったりしているらしい。入ったら転がされて別の所に出ちゃうって、面白いけど大変そう。
「わぁ~。海だ!」
別の入り口について訊いてみたら、あちこちに作った出入り口に案内をしてくれた。
断崖絶壁の崖の途中。ダンジョンの出口からは海が見渡せる。
ちょっと身を乗り出したら、プニョン君のスライム腕みたいなのが僕の前に伸びて来て絶叫マシンの安全バーみたいになった。
掴んでみたらムニョムニョした感触だったよ。
そっか、つかまるところも足場もないからちょっと危ないよね。心配してくれたんだ。
ダンジョン穴は海側から見たら、断崖絶壁の崖の真ん中あたりにぽこんと小さい穴が開いているみたいに見えると思う。
眺めはよいけど、穴から出たらいきなりストーンと海に落ちちゃうかもしれない。それに船が通ったら穴が有るのが見えるよね。まあ、断崖絶壁だから態々登って来てここから入る人は少ないかもしれないけど。
ズズズっと足場を前にせり出させた。そしてダンジョンの内側の壁から木の根みたいなのを伸ばして、柵みたいにする。
バルコニーっぽくなった!これで安全性アップ!でも海側から見たら余計目立っちゃうかな。
僕が柵を眺めながら腕組みをして考えていると、プティが僕の足に尻尾を絡めて来た。
「にゃーん?」
(柵が気に入らないニャ?)
「うん。外から目立たないように木の枝とかでダンジョン穴を隠したいんだけど、ダンジョンの外はダンジョンの力では物を作れないでしょう?どうしようかなって思って。」
(森の中に作るときと違うのにゃ?)
森の中にダンジョン鉄道の出入り口を作る時の事を言っているらしい。そういえば、中が空洞になった岩山みたいなのを作って、入り口は隠蔽魔法をかけてたんだった。
「岩山かぁ~。あんな感じにしてみればいいのか。」
バルコニー状にせり出した足場を中心にして、岩状の壁を作り出した。正面から見ても、少し崖の表面が盛り上がっているみたいに見えるかな。
上部は空けておいた。崖の上から見えそうなので、隠蔽魔法をかけておく。
「‥‥でも眺めを良くしたいね。」
壁で覆っちゃったら暗くなっちゃったし、海が見えなくなってしまった。海側に小さい窓をいくつか作って隠蔽魔法をかけておこう。ダンジョン側からは小窓から海が見える様になった。
バルコニーのような開放感はなくなったけど、強風が吹いてもびくともしない安心感は出た気がする。
「にゃにゃにゃにゃー!!」
ポーン!ポヨヨン、シュバッ!
「にゃにゃにゃにゃー!!」
新しく仲間になったダンジョンマスターは、オレンジ色のスライムだった。ツヤツヤしていてちょっとメタリックな輝きをしたオレンジ色だ。ポヨヨンって撥ねるからプニョン君って名前になったんだ。
プニョン君のダンジョンは、エルストベルクの領都より北部の地域とその西にある領にまたがったエリアだった。
スライムだからか、プニョン君は弾力がある球体とか出したりするのが得意らしい。
さっきから、大きな丸い球体でプティを包み込んで転がし、プティがそれを突き破って出てくるという遊びをしていた。
「やぶけるポヨン。もっとポヨポヨ運びたいポヨン。」
プニョン君のダンジョンの罠は、水たまり形状らしい。液体がプニプニしているイメージ。冒険者がそこにうっかり足を踏み入れちゃうと、プニョプニョした繭みたいなスライムに身体を覆われてダンジョンの外に転がされて行くらしい。
その罠作りが楽しくなっちゃってダンジョンに来た冒険者を片っ端から罠に嵌めて転がして追い出していたら、ダンジョン内のエネルギーバランスが乱れてしまったらしい。それで魔獣溢れが加速してしまったそうだ。
ダンジョンには複数の出入り口があってダンジョンに入ってきた冒険者を単純に外に追い出すだけじゃなくて、別の入り口まで転がして運んで行ったりしているらしい。入ったら転がされて別の所に出ちゃうって、面白いけど大変そう。
「わぁ~。海だ!」
別の入り口について訊いてみたら、あちこちに作った出入り口に案内をしてくれた。
断崖絶壁の崖の途中。ダンジョンの出口からは海が見渡せる。
ちょっと身を乗り出したら、プニョン君のスライム腕みたいなのが僕の前に伸びて来て絶叫マシンの安全バーみたいになった。
掴んでみたらムニョムニョした感触だったよ。
そっか、つかまるところも足場もないからちょっと危ないよね。心配してくれたんだ。
ダンジョン穴は海側から見たら、断崖絶壁の崖の真ん中あたりにぽこんと小さい穴が開いているみたいに見えると思う。
眺めはよいけど、穴から出たらいきなりストーンと海に落ちちゃうかもしれない。それに船が通ったら穴が有るのが見えるよね。まあ、断崖絶壁だから態々登って来てここから入る人は少ないかもしれないけど。
ズズズっと足場を前にせり出させた。そしてダンジョンの内側の壁から木の根みたいなのを伸ばして、柵みたいにする。
バルコニーっぽくなった!これで安全性アップ!でも海側から見たら余計目立っちゃうかな。
僕が柵を眺めながら腕組みをして考えていると、プティが僕の足に尻尾を絡めて来た。
「にゃーん?」
(柵が気に入らないニャ?)
「うん。外から目立たないように木の枝とかでダンジョン穴を隠したいんだけど、ダンジョンの外はダンジョンの力では物を作れないでしょう?どうしようかなって思って。」
(森の中に作るときと違うのにゃ?)
森の中にダンジョン鉄道の出入り口を作る時の事を言っているらしい。そういえば、中が空洞になった岩山みたいなのを作って、入り口は隠蔽魔法をかけてたんだった。
「岩山かぁ~。あんな感じにしてみればいいのか。」
バルコニー状にせり出した足場を中心にして、岩状の壁を作り出した。正面から見ても、少し崖の表面が盛り上がっているみたいに見えるかな。
上部は空けておいた。崖の上から見えそうなので、隠蔽魔法をかけておく。
「‥‥でも眺めを良くしたいね。」
壁で覆っちゃったら暗くなっちゃったし、海が見えなくなってしまった。海側に小さい窓をいくつか作って隠蔽魔法をかけておこう。ダンジョン側からは小窓から海が見える様になった。
バルコニーのような開放感はなくなったけど、強風が吹いてもびくともしない安心感は出た気がする。
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