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第6章
第302話 その後の講習会
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赤白令嬢を含む犯人達の目的は、辺境伯令息を誘拐するか誘惑をして人質にとり、エルストベルク領に攻め込むことだったらしい。
国境線の向こう側のズーデン王国の企みだったようだ。
屋敷に戻って来てから父様は、ケン様を送り届けたり、犯人達を護送したりと色々手続きで急がしそうだった。
顛末を訊いた兄様は、テレビ会議の画面の向こうで不機嫌そうな顔をしていた。
『僕がエルストベルクに居ないうちにそんな事が起きているなんて。下手したら僕の代わりにソーマが危険な目に遭ってたかもしれないじゃないか。』
「兄様、僕はちゃんと護衛も付けてもらっているから大丈夫だよ。」
『そうだね。でもね、気をつけるんだよ。そっちは国境が近いんだから。』
「はあい。」
兄様は心配し過ぎたら、こっちに戻って来ちゃいそうだ。せっかく学園入学準備で王都に行っているのに心配で落ち着けないと困るよね。
ああ、でももうちょっとダンジョン鉄道での所要時間が短くなったら兄様も気軽に王都とエルストベルクを行き来できるんだよね。どうにかできるといいんだけどなぁ。
それから数日経って、ラオウル君から見習い冒険者向けの講座が増えたから参加しないかって連絡があった。
勿論参加するって返事をした。そして講習会当日、会場に行ってみたらテッサ達が参加していた。
「あ~!」
僕達に気がつくとクリフォードさんはニコニコして挨拶をしてくれたけど、テッサは何だかむすっとしていた。どうしたのかな思ったら
実はその講習会は、テッサ達が行方不明になった事のアフターフォローで開催されたものだったとかで、気まずかったらしい。
「草原で薬草採取」
そんなタイトルの講習会だったけど、内容的には「丈の高い草の群生地は見通しが悪いから無闇に動き回らない」とか「仲間と逸れない」とか
「逸れた場合のに使う魔道具の紹介」とか、確かに行方不明事件を踏まえて構成された内容に思えた。でも実際知っておくと役立ちそうな事が一杯だった。
「凄い勉強になったね! 丈の高い草の群生地の場所とか、沼地の位置とか色々教えてもらえたし。」
講習会が終わってそう言ってみたけど、テッサはまだ唇をちょっと尖らせてむっすりしていた。
「役に立ちそうなのはわかるのよ。でも、参加強制っていうのがちょっと嫌だったの。」
「強制されちゃったの?」
行方不明になったから、絶対受けろって言われたのかと思ったら、ちょっと違った。
「私だけじゃなくて。見習い冒険者はこの講座を受けないと、薬草採取を受けられないってことになっちゃったのよ。もう、気まずくって!」
「ああー!そういうことかぁ!」
ギルベルト君が納得した様子で言った。
「依頼受けようとしたら、窓口の人から講習会紹介されたんだよ。凄く強引だったからビックリしたんだ。」
ギルベルト君がその時受けようとしていた依頼は、領都郊外の薬草採取とかではなく街中の依頼だったらしいんだけど、ギルド職員が熱心に講習会を勧めるのでちょっと不思議だったんだって。でも、講習会だったら僕を誘えるから特に反発せず受けることにしたそうだ。
でも何度も薬草採取の依頼を受けていた他の見習い冒険者からしたら、講習会を受けないと次の依頼を受けちゃダメって言われたら確かに戸惑いそうだよね。
「そうなるとあの子爵令嬢妹も講習会に来てたのかな。」
今日の講習会では姿を見なかったけど、別の日に参加をするのかなと思って口にしたら、テッサが微妙な顔をした。
国境線の向こう側のズーデン王国の企みだったようだ。
屋敷に戻って来てから父様は、ケン様を送り届けたり、犯人達を護送したりと色々手続きで急がしそうだった。
顛末を訊いた兄様は、テレビ会議の画面の向こうで不機嫌そうな顔をしていた。
『僕がエルストベルクに居ないうちにそんな事が起きているなんて。下手したら僕の代わりにソーマが危険な目に遭ってたかもしれないじゃないか。』
「兄様、僕はちゃんと護衛も付けてもらっているから大丈夫だよ。」
『そうだね。でもね、気をつけるんだよ。そっちは国境が近いんだから。』
「はあい。」
兄様は心配し過ぎたら、こっちに戻って来ちゃいそうだ。せっかく学園入学準備で王都に行っているのに心配で落ち着けないと困るよね。
ああ、でももうちょっとダンジョン鉄道での所要時間が短くなったら兄様も気軽に王都とエルストベルクを行き来できるんだよね。どうにかできるといいんだけどなぁ。
それから数日経って、ラオウル君から見習い冒険者向けの講座が増えたから参加しないかって連絡があった。
勿論参加するって返事をした。そして講習会当日、会場に行ってみたらテッサ達が参加していた。
「あ~!」
僕達に気がつくとクリフォードさんはニコニコして挨拶をしてくれたけど、テッサは何だかむすっとしていた。どうしたのかな思ったら
実はその講習会は、テッサ達が行方不明になった事のアフターフォローで開催されたものだったとかで、気まずかったらしい。
「草原で薬草採取」
そんなタイトルの講習会だったけど、内容的には「丈の高い草の群生地は見通しが悪いから無闇に動き回らない」とか「仲間と逸れない」とか
「逸れた場合のに使う魔道具の紹介」とか、確かに行方不明事件を踏まえて構成された内容に思えた。でも実際知っておくと役立ちそうな事が一杯だった。
「凄い勉強になったね! 丈の高い草の群生地の場所とか、沼地の位置とか色々教えてもらえたし。」
講習会が終わってそう言ってみたけど、テッサはまだ唇をちょっと尖らせてむっすりしていた。
「役に立ちそうなのはわかるのよ。でも、参加強制っていうのがちょっと嫌だったの。」
「強制されちゃったの?」
行方不明になったから、絶対受けろって言われたのかと思ったら、ちょっと違った。
「私だけじゃなくて。見習い冒険者はこの講座を受けないと、薬草採取を受けられないってことになっちゃったのよ。もう、気まずくって!」
「ああー!そういうことかぁ!」
ギルベルト君が納得した様子で言った。
「依頼受けようとしたら、窓口の人から講習会紹介されたんだよ。凄く強引だったからビックリしたんだ。」
ギルベルト君がその時受けようとしていた依頼は、領都郊外の薬草採取とかではなく街中の依頼だったらしいんだけど、ギルド職員が熱心に講習会を勧めるのでちょっと不思議だったんだって。でも、講習会だったら僕を誘えるから特に反発せず受けることにしたそうだ。
でも何度も薬草採取の依頼を受けていた他の見習い冒険者からしたら、講習会を受けないと次の依頼を受けちゃダメって言われたら確かに戸惑いそうだよね。
「そうなるとあの子爵令嬢妹も講習会に来てたのかな。」
今日の講習会では姿を見なかったけど、別の日に参加をするのかなと思って口にしたら、テッサが微妙な顔をした。
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