297 / 466
第6章
第297話 レッドホワイトボア
しおりを挟む
ぐいぐいぐいっと偵察君を近づけてテーブルの上に出された書類をクローズアップさせた。
『親愛なる父上、アンドレ・エルストベルク辺境伯様へ
私、ケン・エルストベルクは、ベルティーナ・ルフラン子爵令嬢との婚約を解消して、美しきズーデン王国の由緒正しき令嬢であるルイーサ・メリウス男爵令嬢との婚約を結び、両国の友好の架け橋となりたいと思います。
是非、ご賛同いただき支援をお願いいたします。
エルストベルク辺境伯長男 ケン・エルストベルク』
誰だよ!ケン・エルストベルクって!
僕の兄様はケニーだよ。正式名称はケネスだけど!ちょっと名前が似ているかもしれないけど!
『ケン様は、ケン・エルサスって‥‥。』
『うん。冒険者ギルドにはそのように登録したよ。ちょっと通称っぽくするのがツウだと聞いたからね。』
ツウってなんだ?誰がそんな事を教えたの?
『ええ‥‥。通称ケン・エルサス様の本名は、ケン・エルストベルク様では?』
『いや、僕はケン・エルスラント。ケント・エルスラントだよ。』
『はあああああ!!!!!!??????』
赤白令嬢が地の底から吹き上がるような大声を出した。椅子から立ち上がってケン様を睨みつけた。ケン様はビックリした様子で少し身体をのけぞらせた。
『私を騙したんですの?』
『騙してなんていないよ。ケン・エルサスはケント・エルスラントの通称として登録しただけだって。』
『紛らわしいんですわよ!!!!!!!』
『そう言われても困るなぁ。』
『辺境伯邸から令息が馬車で出かけたときいたのに!違うってどういうことですの?』
『馬車ででかけたって?いつのこと?』
『最初ですわ!さ・い・しょ! 転んだ私を助け起こしてくださって運命の出会いをした時ですわ!』
『ああ、歩道を凄い勢いで走って来たときがあったね。』
転んだ?うん?
何か記憶にあるぞ。
『辺境伯令息との出会いを求めて、辺境伯邸から待ちに続く道を監視させていたんですのよ!
それでやっと令息が馬車で出かけて、あの通りで馬車を降りたと聞いたのでせっかく向かって行ったというのに!
おかげで黄色いコートが汚れで台無しでしたわ!』
『代わりにそのコートを贈ったじゃないか。』
『そうですが!そうじゃありませんわよ!辺境伯令息でないってどういうことですの!?騙してたんですの!?』
『僕は辺境伯令息だなんて名乗った事はないと思うよ。』
『ケン・エルサスと名乗られたではないですか!』
『それは通称だから。』
『紛らわしいんですわよ!!!!!!!』
赤白令嬢が先程と同じ台詞を言ってキレている。
黄色いコートの令嬢が転んだところを見た記憶がある。領都に家族抜きで遊びに行った最初の時じゃないかな。
あれ?辺境伯邸から馬車で街に出かけた令息って、もしかして僕の事だったのかな。
僕があの赤白令嬢に突進されてたかもしれないの?
うわぁ、僕が吹っ飛んじゃうよ!
あの令嬢はグレートボアかなにかかな。あ、赤白だからレッドボアの仲間か?レッドホワイトボア?
『親愛なる父上、アンドレ・エルストベルク辺境伯様へ
私、ケン・エルストベルクは、ベルティーナ・ルフラン子爵令嬢との婚約を解消して、美しきズーデン王国の由緒正しき令嬢であるルイーサ・メリウス男爵令嬢との婚約を結び、両国の友好の架け橋となりたいと思います。
是非、ご賛同いただき支援をお願いいたします。
エルストベルク辺境伯長男 ケン・エルストベルク』
誰だよ!ケン・エルストベルクって!
僕の兄様はケニーだよ。正式名称はケネスだけど!ちょっと名前が似ているかもしれないけど!
『ケン様は、ケン・エルサスって‥‥。』
『うん。冒険者ギルドにはそのように登録したよ。ちょっと通称っぽくするのがツウだと聞いたからね。』
ツウってなんだ?誰がそんな事を教えたの?
『ええ‥‥。通称ケン・エルサス様の本名は、ケン・エルストベルク様では?』
『いや、僕はケン・エルスラント。ケント・エルスラントだよ。』
『はあああああ!!!!!!??????』
赤白令嬢が地の底から吹き上がるような大声を出した。椅子から立ち上がってケン様を睨みつけた。ケン様はビックリした様子で少し身体をのけぞらせた。
『私を騙したんですの?』
『騙してなんていないよ。ケン・エルサスはケント・エルスラントの通称として登録しただけだって。』
『紛らわしいんですわよ!!!!!!!』
『そう言われても困るなぁ。』
『辺境伯邸から令息が馬車で出かけたときいたのに!違うってどういうことですの?』
『馬車ででかけたって?いつのこと?』
『最初ですわ!さ・い・しょ! 転んだ私を助け起こしてくださって運命の出会いをした時ですわ!』
『ああ、歩道を凄い勢いで走って来たときがあったね。』
転んだ?うん?
何か記憶にあるぞ。
『辺境伯令息との出会いを求めて、辺境伯邸から待ちに続く道を監視させていたんですのよ!
それでやっと令息が馬車で出かけて、あの通りで馬車を降りたと聞いたのでせっかく向かって行ったというのに!
おかげで黄色いコートが汚れで台無しでしたわ!』
『代わりにそのコートを贈ったじゃないか。』
『そうですが!そうじゃありませんわよ!辺境伯令息でないってどういうことですの!?騙してたんですの!?』
『僕は辺境伯令息だなんて名乗った事はないと思うよ。』
『ケン・エルサスと名乗られたではないですか!』
『それは通称だから。』
『紛らわしいんですわよ!!!!!!!』
赤白令嬢が先程と同じ台詞を言ってキレている。
黄色いコートの令嬢が転んだところを見た記憶がある。領都に家族抜きで遊びに行った最初の時じゃないかな。
あれ?辺境伯邸から馬車で街に出かけた令息って、もしかして僕の事だったのかな。
僕があの赤白令嬢に突進されてたかもしれないの?
うわぁ、僕が吹っ飛んじゃうよ!
あの令嬢はグレートボアかなにかかな。あ、赤白だからレッドボアの仲間か?レッドホワイトボア?
0
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
元おっさんは異世界を楽しむ
たまゆら
ファンタジー
不慮の事故によって死んだ須藤ナイト(45)は16歳に若返って新たな世界に転移する。
早々に人狼の幼女達と出会ったナイトは、とりあえず幼女の村で世話をしてもらうことになる。
と、思いきや、幼女の村に強大なモンスターが襲撃してきて……。
そんなドタバタな始まりを迎えるも、元おっさんの異世界生活は順調です!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~
次元謄一
ファンタジー
タイトル変更しました→旧タイトル 「デッドエンドキングダム ~十五歳の魔剣使いは辺境から異世界統一を目指します~」
前世の記憶を持って生まれたオスカーは国王の落とし子だった。父の死によって十五歳で北の辺境王国の統治者になったオスカーは、炎を操る魔剣、現代日本の記憶、そしてなぜか生まれながらに持っていた【千里眼】の能力を駆使し、魔物の森や有翼人の国などを攻略していく。国内では水車を利用した温泉システム、再現可能な前世の料理、温室による農業、畜産業の発展、透視能力で地下鉱脈を探したりして文明改革を進めていく。
軍を使って周辺国を併合して、大臣たちと国内を豊かにし、夜はメイド達とムフフな毎日。
しかし、大陸中央では至る所で戦争が起こり、戦火は北までゆっくりと、確実に伸びてきていた。加えて感染するとグールになってしまう魔物も至る所で発生し……!?
雷を操るツンデレ娘魔人、氷を操るクール系女魔人、古代文明の殺戮機械人(女)など、可愛いけど危険な仲間と共に、戦乱の世を駆け抜ける!
登場人物が多いので結構サクサク進みます。気軽に読んで頂ければ幸いです。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
【完結】猫化の呪い持ちを隠して嫁がされたのに何故か溺愛されています!
長船凪
恋愛
ヴィルシュテッター帝国、ゼーネフェルダ子爵家の長女にとして生まれたエリアナ・ド・ゼーネフェルダ。
満月の晩に獣に変身する(猫耳に尻尾を持つ姿)呪い持ちの子爵令嬢。
旦那様は竜族の血を引子孫のゴードヘルフ・ラ・クリストロ小公爵。
そこに嫁ぎ、子を産むと早死にすると世間では恐れられていた。
今の公爵夫人は再婚で二人目。
呪い持ちを隠して輿入れさせられたのは、父が事業に失敗したあげく、カジノで起死回生を狙うも失敗し、借金が増えた為。
そんな中、不意に届けられた竜族の血を引く一族の末裔、クリストロフ公爵家からの子爵家への求婚状。
何故か子爵家の令嬢なら誰でも良いような書き方で、しかし結婚支度金が多く、金に目が眩んだ子爵は即、娘を売り飛ばすことにした。
しかし、満月の夜にケモ耳っ娘に変身する呪い持ちのエリアナだったが、実はある特殊な権能があった。その権能はデメリットつきではあるが、夢の中の図書館にて異世界の記録、物語、知識等を得られるものであった。
*カクヨム等で先行投稿しています。
召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました
桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。
召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。
転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。
それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
【完結】冒険者になる!え?クマさんも一緒だよ?〜魔力が少ない少年の思考錯誤冒険記録〜
Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
ファンタジー
【あらすじ】
魔力が少なく、自分で攻撃魔法を放つ事が出来ない落ちこぼれ。
自分には、剣の才能も魔法士の才能もない。
文官になれる程の頭脳もない。
自分には何が出来るか模索する。
そこで見つけたのが魔法陣を描くことだった。
自分で描いた魔法陣を駆使して、狩りをして行く物語。
※戦うクマさん
※クマさんは保護者
※設定ふんわり
※独自設定あり
※ご都合主義
※R15は保険
◇◇◇
【HOT女性向けランキングに載りました!ありがとうございます♪】
2022.9.01 100位
2022.9.02 97位 → 86位 → 77位
2022.9.03 67位 → 65位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる