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第6章
第296話 兄様って?
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偵察君を増量投下して洞窟の中を探索してみることにした。
ふよふよと浮きながら偵察君が洞窟の中を移動して行くと、奥が小部屋のようになっていた。
『ねえ、ルイーサ。僕はそろそろ帰ろうと思うんだ。』
『まあ、ケン様。まだ依頼の赤カプ茸の採取ができていませんわよ。』
『そうだけど。朝食も食べられぬではないか。』
『朝食は先程だされましたでしょう?』
『あの石と靴底か?平民の食べ物なのか冒険者の食べ物なのか判らぬが、僕には合わないようだ。』
ちょっと洞窟の中が薄暗くて顔がよく見えないけどケン様がいるみたいだ。ルイーサっていうのはあの赤白令嬢の事だよね。
偵察君の暗視機能を調整してみた。色はセピアっぽく映っているけど、ケン様と赤白令嬢の姿が見えた。
テーブルに向かい合って座っている。テーブルの上には羊皮紙が置いてある。
偵察君で覗き込んでみると、「赤カプ茸」という文字とキノコらしきものの絵が書いてあった。赤カプ茸というものの採取に来たのか。
あれ?でも冒険者ギルドでは依頼を受けていないって話じゃなかったっけ?
どうなっているんだろう。
『ケン様、そんな事よりベルティーナ様との婚約解消の件はどうなっていますの?』
『‥‥それは‥‥父上に確認をしないと無理なんだよ‥‥。』
『では、お父様の許可が出たら、ベルティーナ様との婚約を解消して、私と婚約してくださいます?』
『‥‥それは‥‥うーん‥‥。父上が‥‥なんていうかなぁ‥‥。』
ケン様はあの子爵令嬢姉との婚約の解消を考えているのかな。
子爵令嬢姉と婚約を解消して赤白令嬢と婚約をするの?
『ではケン様、お父様にお手紙を書きませんこと?』
『手紙かい?』
『ええ、実は既に用意してありましたの。』
『おお!流石、ルイーサは用意がいいんだね!』
『ええ!ほら、ここに。後はケン様のサインだけすれば良いようにしてありますわ!』
赤白令嬢が何か書類を出して来た。ケン様が身を乗り出して書類を覗き込んでいる。
『ケン様、是非サインなさってくださいませ!』
赤白令嬢が羽根ペンをずいっとケン様の方に差し出した。ケン様は書類をじっと見つめていた。
『‥‥ねえ、ルイーサ、この書類ってなんだい?』
ケン様は書類を見つめたまま動かずに、小さめの声で言った。
『ケン様のお父様へのお手紙ですわよ。さあ、サインしてくださいませ!』
『僕の父上‥‥?僕の父上はいつのまに、辺境伯になったんだい?』
『は?』
『うん?』
二人がぽかんとした様子で顔を見合わせた。え?今、何か変な事聞いたような気がするよ?辺境伯?辺境伯って父様の事だよね!
ケン様のお父上が辺境伯だったら、ケン様が僕と兄弟になっちゃうよ。ケン様が僕の兄様?
なにそれ!?
ふよふよと浮きながら偵察君が洞窟の中を移動して行くと、奥が小部屋のようになっていた。
『ねえ、ルイーサ。僕はそろそろ帰ろうと思うんだ。』
『まあ、ケン様。まだ依頼の赤カプ茸の採取ができていませんわよ。』
『そうだけど。朝食も食べられぬではないか。』
『朝食は先程だされましたでしょう?』
『あの石と靴底か?平民の食べ物なのか冒険者の食べ物なのか判らぬが、僕には合わないようだ。』
ちょっと洞窟の中が薄暗くて顔がよく見えないけどケン様がいるみたいだ。ルイーサっていうのはあの赤白令嬢の事だよね。
偵察君の暗視機能を調整してみた。色はセピアっぽく映っているけど、ケン様と赤白令嬢の姿が見えた。
テーブルに向かい合って座っている。テーブルの上には羊皮紙が置いてある。
偵察君で覗き込んでみると、「赤カプ茸」という文字とキノコらしきものの絵が書いてあった。赤カプ茸というものの採取に来たのか。
あれ?でも冒険者ギルドでは依頼を受けていないって話じゃなかったっけ?
どうなっているんだろう。
『ケン様、そんな事よりベルティーナ様との婚約解消の件はどうなっていますの?』
『‥‥それは‥‥父上に確認をしないと無理なんだよ‥‥。』
『では、お父様の許可が出たら、ベルティーナ様との婚約を解消して、私と婚約してくださいます?』
『‥‥それは‥‥うーん‥‥。父上が‥‥なんていうかなぁ‥‥。』
ケン様はあの子爵令嬢姉との婚約の解消を考えているのかな。
子爵令嬢姉と婚約を解消して赤白令嬢と婚約をするの?
『ではケン様、お父様にお手紙を書きませんこと?』
『手紙かい?』
『ええ、実は既に用意してありましたの。』
『おお!流石、ルイーサは用意がいいんだね!』
『ええ!ほら、ここに。後はケン様のサインだけすれば良いようにしてありますわ!』
赤白令嬢が何か書類を出して来た。ケン様が身を乗り出して書類を覗き込んでいる。
『ケン様、是非サインなさってくださいませ!』
赤白令嬢が羽根ペンをずいっとケン様の方に差し出した。ケン様は書類をじっと見つめていた。
『‥‥ねえ、ルイーサ、この書類ってなんだい?』
ケン様は書類を見つめたまま動かずに、小さめの声で言った。
『ケン様のお父様へのお手紙ですわよ。さあ、サインしてくださいませ!』
『僕の父上‥‥?僕の父上はいつのまに、辺境伯になったんだい?』
『は?』
『うん?』
二人がぽかんとした様子で顔を見合わせた。え?今、何か変な事聞いたような気がするよ?辺境伯?辺境伯って父様の事だよね!
ケン様のお父上が辺境伯だったら、ケン様が僕と兄弟になっちゃうよ。ケン様が僕の兄様?
なにそれ!?
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