自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

文字の大きさ
上 下
294 / 466
第6章

第294話 謝罪とお礼

しおりを挟む
『それで、その馬車を追いかけて行ったんだな。』
『私は追いかけてないわよ。馬車を追いかけてた子を追いかけていただけよ。』
『そうか。‥‥で、彼女は馬車を追って山の中まで入ったのか?』
『途中で見失ってたみたい。山の中に入ったに違いないって言ってた。なのに山の中に入るから、私まで迷っちゃったじゃない!」
『テッサまで山の中に入ることはなかっただろう?』
『だってストラップが!』

結局テッサ達は、山の中に入ってしばらくして道に迷ってしまったらしい。
子爵令嬢妹は、転んでドレスが汚れて馬車を追う気持ちが折れたらしく泣き出した所で、テッサはストラップを回収したそうだ。
でもその頃にはテッサも帰り道が分からなくなってしまったんだって。

『あの子の家、お金がなくて靴が買えないから、ストラップで敏捷性をアップさせて魔獣を討伐するつもりだったんですって。
意味わかんない。結局靴どころかドレスまで台無しにしちゃったみたいだし。お金がない癖にめちゃくちゃ偉そうだし。』
『テッサ、プライドだけが高い貴族というものはいるんだよ。多分うちと同じで魔獣溢れで財を失ったんだろうね。』
『それなら真面目に冒険者をやって稼ぐとかすればいいのよ!私達みたいに!』
『そうだね。‥‥でもね、僕たちだって装備が立派すぎるとか言われただろう?売ってお金にすれば良いって言われたこともある。』
『これは!お父様がずっと前からレッドリザードの革を用意してくれていたからじゃない!それを売るなんてできないもん!』
『傍からみたら僕たちも拘ってるみたいに見えるかもってことさ。』
クリフォードさんがテッサを諭している。
確かに赤い革鎧は目立つよね。一目で貴族の子息子女だろうなって思うし。

目立って目を付けられちゃうことこもあるかもしれないけど、逆に子供だけど貴族だろうからって絡まれたりしない効果もあるみたいだ。
それに、捜索の時は赤い革鎧は目印になって見つけやすかったかもしれないよね。

『結局のところ、エルシャ・ルフラン子爵令嬢にされたことは、そのストラップチャームを奪われたってことだけのようだが、本当に抗議をするのか?』
ロトヴィックさんが渋い声で言っている。
『ええ、結果的にそれでテッサ達が危険な目にあったんです。しっかり抗議するつもりです。今後の牽制の意味もありますからね。』
クリフォードさんがきっぱりした声で答えていた。
確かに大騒ぎの元になったんだもんね。
『そうか、ではそのように報告はしておく。だが、追いかけずにすぐに戻って訴え出るという方法だってあったはずだ。
今回魔獣に襲われなかったのは、ほぼ奇跡に近いんだぞ。腕や足を失ってから抗議をしたって遅いってことも理解してほしい。』
『それは‥‥。そうですね。僕もテッサ達と別行動をする時によく注意をしておくべきでした。後でしっかり言い聞かせておきます。テッサもギルドの人達に迷惑をかけたんだから
謝りなさい。あとお礼もね。』
『はぁい‥‥。ご迷惑をかけてごめんなさい。助けてくれてありがとうございました!』
クリフォードさんに促されてテッサが、謝罪とお礼を言っていた。
でも、無事見つかって本当に良かったね!
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

世界樹を暴走させたマッドサイエンティスト、死刑だけは嫌だとごねる!

アメノヒセカイ
ファンタジー
カクヨムにも掲載しております。 これは世界樹の花粉を浴びて老いることがなくなったラメッタと、捨て子として騎士団に拾われ生きてきたクレーエンが、一国の英雄となり、ともに生きると決めるまでの物語である! <語句> エアデ王国:クレーエン、ラメッタが住んでいた国。 バオム国:エアデ王国の従属国。魔王軍との前線を仕切る。資源がほとんどなく、魔王軍と戦うことでエアデ王国から支援を受けている。治安が悪い。 世界樹:人々に魔法を授けている。ラメッタが研究のために魔法薬をかけてから、魔法が大幅に弱体化してしまった。 ラメッタ:見た目は子供、中身は七十八才。老いることはない。魔法薬や魔道具の開発をする。己の好奇心を満たすためだけに世界樹に魔法薬をかけたとして死刑判決が出るのだが……。なお、魔王軍と戦うことで処刑が延期される約束を国王らとしている。 クレーエン:捨て子ゆえに騎士団に拾われて育てられたものの騎士団に正式に加入できず、しかしその強さゆえに騎士団の仕事を何度も手伝っていた。自身のことを強さから騎士団で面倒を見るしかない人間と考え、厄介者であると思っているが……。 バオム国の三姫:国王である父が前線に出ているため、三人で統治しているがほぼ機能していない。 長女ディーレ、次女ベリッヒ、三女チルカ。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

処理中です...