自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第288話 第一報

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その後、僕達はギルド長室を出て先程まで居た個室に戻って来たんだけど、なんだか疲れた気がした。
ジョスさんが、お茶を出してくれた。蜂蜜が入った赤いハーブティだ。
酸っぱくて甘くて美味しい!
個室にはお湯を沸かす所とかないのに、ささっと持って来てくれるの凄い。

「話聞いてみたけど、結局良くわからなかったね。テッサは追いかけっこして迷っちゃったかな。」

お茶のカップを置いて叔父様に言ってみた。

「そうだね。」

叔父様は難しそうな顔で頷くと、胸ポケットから懐中時計を取り出して時計に目を落とした。

「‥‥そろそろ、山の方に捜索に向かった冒険者達から何か連絡があるかもしれないよ。」
「おお!」

僕は、ストラップチャームの場所を表示している地図を広げて見た。
現在地の緑の丸がある近くに青い丸が4つ。山の中に青い丸が一つだ。

「青い丸の位置がさっきより少し変わったんじゃないかな。」

叔父様がそういうので、地図の表示を拡大してみた。
じっと見ていると青い丸が少しずつ移動しているのがわかった。

「移動してるってことは、ストラップを持ってるってことかな。‥‥テッサが持ってるのか、子爵令嬢妹か‥‥。」
「落として誰かが拾っているという事もあり得るね。」
「えー?」

どうしよう。魔獣とかがくわえて持ってっていたら。

山の中だったら魔猿とかがキーキー鳴きながらストラップを握りしめて木に上ってるかもしれない。角狼だったら凄い勢いで移動しちゃっていそう。色々想像していたら、ノックの音がしてインゴさんが部屋に入って来た。いつの間にか個室を出てギルド内に情報収集に行っていたらしい。

「冒険者から魔鷹でギルドに連絡がありました。テッサという娘が見つかったそうです。無事だそうですよ。」
「わぁ、良かった!」

僕は立ち上がって、インゴさんの所に近付き片手を上げた。インゴさんが手を差し出してはハイタッチしてくれた。
その後、叔父様、ジョスさん、ラオウル君、リヒャルトさんにもハイタッチする。
ま、僕は何もしてないんだけどね!ほっとしたんだもん!

「子爵令嬢妹も一緒なの?」

一通りハイタッチした後に思い出してインゴさんに聞いてみた。インゴさんは首を横に振った。

「第一報では『女の子が見つかった』とだけしか。」
「ええー? もしかして、見つかったのはテッサじゃなくて子爵令嬢妹だったとか?」
「いえ、それは流石にないかと思います。ちゃんと確認はしているはずです。ただ、捜索に行く冒険者は暗がりの山の中で手紙を書いたりは
難しいので、あらかじめ魔鷹に運ばせるメッセージを用意してたはずです。追加の情報があったとしても書いてないでしょう。」

インゴさんが説明してくれた。山の中だと魔獣とかも居るから、第一報は急いで送るだろうって。
安全な場所に移動してから追加情報を送ってくれるかもしれないけど、何羽も魔鷹を連れて来てなかったらそのまま戻って来てから報告になるみたいだ。

「そっかー。」

テッサが見つかったのは良いけど、子爵令嬢妹がどうなったか気になるなぁ。山の中ではぐれてたらちょっと危ないよね。
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