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第6章
第287話 依頼を出さない人
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「‥‥君は妹がこの時間に帰ってなくても何とも思わないのか。」
クリフォードさんは怒っている風だけど、本当に疑問に思っているといった様子で子爵令嬢姉に尋ねた。
子爵令嬢姉はモジモジとして居心地悪そうにしながら答えた。
「‥‥それどころじゃなかったんですわ。‥‥ケン様と取れなくなってしまって‥‥。」
「‥‥ふーん‥‥‥。」
クリフォードさんは、呆れたような目で子爵令嬢姉を見つめた後、ロトヴィックさんの方に顔を向けた。
「この人は僕の妹については特に何も知らないようですね。自分の妹の居所も見当がつかないようだ。‥‥この人の妹がギルドの依頼を受けていたりはしてないんですか?」
「調べさせたが何も受けられてはいないようだ。‥‥無理な事ばかり言っていたらしくてね。」
「無理な事?」
「荷物運びやら草取りなど平民がやるような地味なものは嫌だとか、派手な魔獣討伐させろとか、護衛を寄越せとか。武器を寄越せとか‥‥。」
「‥‥へぇ‥‥。」
クリフォードさんが目を細めてジト目になった。うん。それじゃ依頼を受けるとか無理だよね‥‥。
「キーランド達が遭遇した場所が郊外だったなら、勝手に魔獣でも狩りに行ったんですかね。」
「その可能性が高いな。今頃、目的なく彷徨っているかもしれない。」
「それじゃあ妹とはもう別行動しているかもしれないし、行方を追及しても無駄か。」
クリフォードさんがガックリと肩を落とした。
ロトヴィックさんは、子爵令嬢姉からの聞き込みは終了したとして、子爵令嬢姉に退室を促したけど、子爵令嬢姉はギルド職員の案内を無視して、仁王立ちになって怒りに震えながらロトヴィックさんに向かって怒鳴った。
「戻って良いってどういうことですの!? ケン様を捜しなさいよ!」
「成人した正規冒険者が夜まで帰らなかった程度では捜索はしないんだよ。特に依頼でもないかぎりは。依頼出すの?」
「‥‥。」
ぐぬぬと言った様子で、唇を噛み締めてロトヴィックさんを睨みつける子爵令嬢姉。
もう、依頼出したら良いんじゃないの?そんなに捜して欲しいならなんで出さないんだろう。
疑問に思ってみていたら子爵令嬢姉は、涙目になって、ロトヴィックさんを更に睨んだ。
「‥‥お金が‥‥ないんですわ!」
「‥‥。」
ロトヴィックさんはそれを聞いて少し固まった後、ふぅと溜め息をついた。厳しい目線を子爵令嬢姉に向ける。
「金がないなら、正規冒険者の帰りぐらい騒がず待ってろよ。未成年の妹の事ならともかく。」
「でも!あの女に唆されたにきまってるんですわ!早く連れ戻さないと!」
「相談する先間違ってるでしょ。まず、家に相談しなさいよ。」
「‥‥お母様は出かけていて留守ですの。」
「そう、それならケン君の家にでも問い合わせなさい。」
「あ‥‥。」
子爵令嬢姉がロトヴィックさんの提案に思いも寄らなかったという顔をしたので、ロトヴィックさんはもう一度溜め息をついた。
ギルド職員に言って、子爵令嬢姉を今度こそ部屋から連れ出させた。
クリフォードさんは怒っている風だけど、本当に疑問に思っているといった様子で子爵令嬢姉に尋ねた。
子爵令嬢姉はモジモジとして居心地悪そうにしながら答えた。
「‥‥それどころじゃなかったんですわ。‥‥ケン様と取れなくなってしまって‥‥。」
「‥‥ふーん‥‥‥。」
クリフォードさんは、呆れたような目で子爵令嬢姉を見つめた後、ロトヴィックさんの方に顔を向けた。
「この人は僕の妹については特に何も知らないようですね。自分の妹の居所も見当がつかないようだ。‥‥この人の妹がギルドの依頼を受けていたりはしてないんですか?」
「調べさせたが何も受けられてはいないようだ。‥‥無理な事ばかり言っていたらしくてね。」
「無理な事?」
「荷物運びやら草取りなど平民がやるような地味なものは嫌だとか、派手な魔獣討伐させろとか、護衛を寄越せとか。武器を寄越せとか‥‥。」
「‥‥へぇ‥‥。」
クリフォードさんが目を細めてジト目になった。うん。それじゃ依頼を受けるとか無理だよね‥‥。
「キーランド達が遭遇した場所が郊外だったなら、勝手に魔獣でも狩りに行ったんですかね。」
「その可能性が高いな。今頃、目的なく彷徨っているかもしれない。」
「それじゃあ妹とはもう別行動しているかもしれないし、行方を追及しても無駄か。」
クリフォードさんがガックリと肩を落とした。
ロトヴィックさんは、子爵令嬢姉からの聞き込みは終了したとして、子爵令嬢姉に退室を促したけど、子爵令嬢姉はギルド職員の案内を無視して、仁王立ちになって怒りに震えながらロトヴィックさんに向かって怒鳴った。
「戻って良いってどういうことですの!? ケン様を捜しなさいよ!」
「成人した正規冒険者が夜まで帰らなかった程度では捜索はしないんだよ。特に依頼でもないかぎりは。依頼出すの?」
「‥‥。」
ぐぬぬと言った様子で、唇を噛み締めてロトヴィックさんを睨みつける子爵令嬢姉。
もう、依頼出したら良いんじゃないの?そんなに捜して欲しいならなんで出さないんだろう。
疑問に思ってみていたら子爵令嬢姉は、涙目になって、ロトヴィックさんを更に睨んだ。
「‥‥お金が‥‥ないんですわ!」
「‥‥。」
ロトヴィックさんはそれを聞いて少し固まった後、ふぅと溜め息をついた。厳しい目線を子爵令嬢姉に向ける。
「金がないなら、正規冒険者の帰りぐらい騒がず待ってろよ。未成年の妹の事ならともかく。」
「でも!あの女に唆されたにきまってるんですわ!早く連れ戻さないと!」
「相談する先間違ってるでしょ。まず、家に相談しなさいよ。」
「‥‥お母様は出かけていて留守ですの。」
「そう、それならケン君の家にでも問い合わせなさい。」
「あ‥‥。」
子爵令嬢姉がロトヴィックさんの提案に思いも寄らなかったという顔をしたので、ロトヴィックさんはもう一度溜め息をついた。
ギルド職員に言って、子爵令嬢姉を今度こそ部屋から連れ出させた。
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