自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第283話 依頼ではなく要請、とは

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「ラオウル君、勝手に位置情報を設定しちゃったものを渡してごめんね。嫌ならどこかに置いておいたり、何なら捨てちゃってもいいよ。」
「いや。捨てたりしないよ。‥‥寧ろ、他の用途で使えないかなと思って。」
「他の用途?」
「ああ、父さんか母さんに持たせておくといざというとき安心かなって。母さんは大抵家にいるから、父さんかな。」
「それならお父さんとお母さんの分もあげるよ!」

ラオウル君のお父さんは、冒険者活動であちこち移動するから、何かあった時に居場所の情報が分かると安心なんだって。
それなら後でラオウル君の家族専用で位置が表示できる地図を作っておこうかな。それをラオウル君に持たせてあげればいいよね。うん?家族からもラオウル君の位置が分かった方がいいかも。それも後で聞いてみよう。

ノックの音がして叔父様が返事をするとインゴさんが室内に入って来た。

「失礼します。先程の令嬢の騒ぎの件、ギルド職員との話を横から聞いた限りですが、ケント・エルスラント子爵令息と連絡が取れなくなったとのことです。
それで先程ルフラン子爵の長女が冒険者ギルドに捜索の要請をしにきたようです。」
「そう。連絡が取れないという彼はギルドの依頼遂行中だったの?」
「そうではないようです。」
「じゃあ、単に連絡が取れなくなったから探しに来たということか。それでギルドへの依頼か。」
「いえ、依頼ではないようです。ギルドに登録しているんだから探せと。」
「‥‥うん?どういう意味?」

叔父様が首を傾げた。インゴさんは少し困った顔をしている。

「私が直接対応をしたわけではないので‥‥。傍で聞いていた限りの解釈ですが、『貴族が言っているんだから、すぐに探せ。無料で探せ』という事のようです。」
「へぇ‥‥‥。」
「‥‥‥。」

皆静かになっちゃった。何て言っていいか良くわからないよね。

「依頼じゃなきゃどうしようもないよね。まあ、ギルマスも副ギルド長もいるから貴族相手の対応でも問題ないだろう。」

叔父様は軽く溜め息をついた。
叔父様は優しいから、クリフォードさん達みたいに凄く困っていそうだったら緊急依頼出してあげたりすると思うけど、エバリンボさんだと助けたくなくなっちゃうよね。そもそも、ケン様何処行ったんだろうなぁ。そう考えていたら、インゴさんが追加情報をくれた。

「‥‥講習会の時にいた、ルイーサ・メリウス男爵令嬢と一緒に居るのではと言っていましたけど‥‥。」

ルイーサってあの赤白令嬢だよね?

「二人でお出かけしてるかもしれないの?」
「その可能性はあるね。」
「そっかぁ‥‥。」

二人でお出かけかもしれないし、何か事件の可能性とかもあるかもしれないけど、ちゃんと依頼を出してくれないとどうしようもないって。
そうだよね‥‥。あ、赤白だと目立つからすぐ見つかるかも?

「もし領都郊外にいたとしたら、ちょうど別件の捜索が出るから、見かけたら情報が入るだろうと思うよ。」
「そうだねぇ。」
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