自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第282話 位置確認

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話を聞いた方がいいのかなと思って一歩踏み出そうとしたら、急にぐいっと半ば抱えられるようにしてギルド奥に移動させられてきちゃった。
再び個室があるエリア。クリフォードさん達がいる部屋とは別の部屋に入った。

「状況は確認させるけど近付かない方がいいからね。勝手にこの部屋から出たらだめだよ。」
「はあい。」

個室に入ったらインゴさんだけ姿が見えない。フロアの様子を見に行ってくれているらしい。

インゴさんの帰りを待っている間に、もう一度地図を確認しよう。
シーサーペントの革をくるくると筒状に丸めた物を取り出して広げる。シーサーペントの革は丸まった時のクセが残り難いのがいいね。広げると端っこの方が少し曲線になった状態になるけど、くるくると巻き戻ったりしないんだ。
地図を広げて領都周辺の様子を表示する。
地図の端っこの魔法陣のパラメータの設定を弄って,青丸を表示してみた。

「ちょっ‥‥これ‥‥?」

ラオウル君が不思議そうな顔で見ている。叔父様は冷静な様子で青い丸と緑の丸を指差した。

「緑の丸が現在の位置かな。この散らばっている青丸が彼らが居る位置、または彼らが持っていたストラップの位置だね。これは草原の辺りかな。距離は四半刻内の距離だね。捜索が始まればすぐ見つかるだろう。」

流石叔父様!地図の見方講習会が必要なさそうだね!

「え?これ?あの子達の居場所なの?それなら知らせにいった方が!」

ラオウル君が慌てて立ち上がろうとする。叔父様はラオウル君の肩の上に手をやって止めた。

「落ち着いて。大体の位置は既にギルドには伝えてあるから。」
「え?でもさっきギルドの職員の人は特に何も‥‥。」
「ギルドマスターには連絡してあるから大丈夫。この青丸の位置はソーマが彼らにあげたというストラップチャームの位置らしいんだよ。もし落としたり、誰かに取りあげられたりしていると
この位置だけを目指して捜索をしてしまうと、他の場所への捜索が遅れる可能性がある。
だから青い丸の位置は優先的に探してもらうけれど、他の場所も念のため捜索をした方が安全なんだ。」
「‥‥そ、‥‥そうですか‥‥。」
ラオウル君がちょっと脱力して椅子に座り込んだ。

叔父様はラオウル君が部屋を出るのをやめたのを確認した後、現在位置から一番遠い青丸を指し示した。

「こっちは、ナルリ山の山中だな。峠の近くだ。馬を飛ばして半刻かな。」
「こっちも誰か向かってるの?」
「ああ、優先的に上級冒険者を指名して動いてくれているはずだよ。もう向かっていると思う。」
「そっか、よかった!」

良かった、と言ってもストラップの位置だもんね。できればストラップ無くさないで持っていて欲しいけどね。
僕がそんな事を考えていたら、ラオウル君がじっと地図を覗き込んでいた。

「ねえ、この緑丸と青丸が密集しているところって、ここの位置だよな。もしかして俺が貰ったストラップの位置も表示してるの?」
「あ、全部出てたね。分かりにくいから消しておくね!」

パラメータをちょっと弄って、赤い革鎧軍団に渡したストラップの位置情報だけの表示に切り替えた。表示がすっきり!
「いや‥‥わかりにくいっていうよりさ‥‥。俺の位置とかもわかっちゃうってこと?」
「ストラップを持っていたら、だけどストラップをなくした時に探す為に付けた機能だから、普段はオフになってるよ。」
「そうか‥‥。」

ラオウル君が微妙な顔。あ、個人情報だから嫌なのかな。ちょっと気にしなさすぎたかも。
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