自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第279話 事情聴取

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クリフォードさんの背中を支えているフォンゾさんの顔色もあまり良く無い。凄く疲れているみたいだ。ずっと探しに走り回っていたのかな。
泣き崩れそうな様子のクリフォードさんに、叔父様が話しかけた。

「今から状況を聞こうとしていたところだったんだよ。‥‥あちらで座らないかい?」
「あなたは?」
「僕の叔父様だよ!」

クリフォードさんが初めて叔父様に気がついたみたいに顔を上げたので僕が叔父様の事を紹介した。

領都の冒険者ギルドは、王都とちがってフロアに酒場が併設されていない。隣の建物に酒場兼食事処があるんだって。酔っぱらったまま依頼を受けちゃダメってことらしいんだけど、静かでいいよね。

酒場の方にはには行かずに、冒険者ギルド内で個別のお話をする為の部屋を借りて入った。
ギルドの人と内密な依頼のお話とかをする場所なんだって。

「大変失礼いたしました!領主家の方と存じ上げず‥‥!」

部屋に入るなりクリフォードさんとフォンゾさんが頭を下げてしまった。
さっき、ギルドマスターのロトヴィックさんとクリフォードさん達が相談をしていたときに、ジョスさんのことを領主家の関係者と紹介されたんだって。領主家の代理で行方不明の件の状況を訊きに来たって。

「俺は領主でもなんでもないからね。そう畏まらないで。」
「ソーマ君が高位貴族の子息だろうとは思っていましたけど、まさか辺境伯様のご子息とは思っていなくて‥‥。」
「え?僕?」
「護衛らしき人が三人もついていれば、ね。貴族なら察しますよ。」

お忍びと思ってあえて家名を名乗らずにフランクに接してくれてたらしい。優しい~。でも、三人?
きょろっと見回すと、リヒャルトさんとインゴさんの隣で、ラオウル君がちょっと恥ずかしそうにしていた。あ、ラオウル君の事を言ってたのか。

「ラオウル君は友達だよ! あ!リヒャルトさんとインゴさんもね、お兄さんみたいなんだ!」
「そう‥なんだね。」

クリフォードさんが微笑む。でもその笑顔に元気がない。

「テッサ達の話だよね。何時から居なくなったの?」

僕が訊くとクリフォードさんが頷いて、説明をしてくれた。

今日はクリフォードさんはフォンゾさんと一緒に朝から討伐依頼を受けて領都郊外に出かける予定だった。
テッサ達も一緒に付いて行きたがって、出がけにちょっと揉めたけど、話し合ってテッサ達は見習い冒険者向けの薬草採取の依頼を受けることにしたんだそうだ。
そして一緒に冒険者ギルドまで行って、ギルドの窓口で一緒に手続きをした後に別れたらしい。
その後、クリフォードさん達が討伐依頼から戻って来たときに、ギルド内でテッサ達が待っているかなと思って少し探してみたけど姿がみえなかったそうだ。その時に僕達とあったんだって。
先に帰ったのかと思って帰宅したけど、いつまで待っていても帰って来ないので、フォンゾさんと一緒にギルドに確認にきたそうだ。

冒険者ギルドの職員に相談をしたら、薬草採取の場所の近くで同じような依頼を受けていた人に聞き込みをしてくれたんだって。
でも赤い革鎧の三人組が薬草を摘んでいたというのを見かけた人はいたけど、それ以上の情報が得られなかったそうだ。
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