自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第271話 ビシィ!

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僕がそう言うと、一瞬間があった後、クリフォードさんがくすりと笑った。

「ああ、そんな感じだね。」
「僕も、兄様離れしてないって姉様に言われちゃったんだ。」
「そうだったんだね。‥‥それで、今は?兄様離れ、できた?」

クリフォードさんは少し首を傾げてじっと僕を見つめた。僕は元気よく頷いた。

「出来た!と思う!兄様は今王都に住んでるけど、離れてても大丈夫だもん!寂しくないよ!」

本当だよ。一日一回通話はするけどね。お話しはしたいもんね。

「そうなんだ。もしかしてお兄さんは、王都の学校に?」
「うん。今入学準備中だよ。」
「そうか、じゃあ、同じ学校かもしれないね。‥‥それでソーマ君はどうやって兄様離れしたの?」

「うーん‥‥?」

僕は首を傾げた。
どうやって?どうやったんだろう。
寂しかった時もあったんだけど‥‥。

「兄様は婚約者が出来て‥‥。兄様の『大事』な相手が変わった気がして‥‥。僕は僕で生きていかなきゃって思って。」

あ、なんだか鼻の奥がツーンとしてきちゃったぞ。

「そ、そうか‥‥。中々シビアな現実に直面したんだね。‥‥でも、まだちょっと寂しいのかな‥‥。」
「‥‥大丈夫。兄様が大事な家族なのは変わらないから。」

えへへと笑うと、クロフォードさんも微笑みを浮かべた。遠くからテッサが何か怒鳴ってこちらに向かって走ってくる。

「クリフォードお兄様! どうして戻って来ないの? ちょっと、あなた! クリフォードお兄様は私のお兄様なんだからね!」
ビシィ!と僕を指差してくるテッサを見て、思わず笑ってしまった。ポーズが決まってるぅ。

「アハハ。」
「何よ!」
「このポーズ、格好いい!」

両足を開いて、一度状態を横に向けて捻りを入れながら、右腕を上から下ろして指を差す。ピストルを撃つみたいな感じ?左手は右腕を前に突き出すと同時に腰に当てる。
やってみたら、テッサが真っ赤になって止めて来た。

「ちょっと!やめてよ!」
「え?だって、格好よかったよ。ビシィ!って。こんな風に!ねえ、ギルベルト君。」

僕がギルベルト君の方を向くと、ギルベルト君も同じポーズをとってくれた。ラオウル君も一緒にやってくれる。やっぱり格好いい!並んでやると更にいい!

「やめてってばー!」

テッサが顔を両手で覆って俯き、クリフォードさんは何故か声を上げて笑ってる。
赤い鎧軍団の人達が、やってきたので、ポーズを見せると、みんなでやって見せてくれた。楽しい!

「もう!皆でやるなんて!」
「テッサが最初にやったんじゃないか。」

クリフォードさんが、やってみせたらテッサがクリフォードさんの右腕にぶら下がった。

「お兄様まで~!」
「は~、意味不明におかしいね。なんだろうこれ。」

クリフォードさんは楽しそうに笑った後、身体をかがめてテッサの頭を撫でた。

「テッサ。僕が王都に行っても、テッサが僕の大事な家族なのは変わらないからね。」
「‥‥お兄様‥‥。」
「寂しくなったら、このポーズをとろう。」
「なんでよ!」
「だって、皆でこのポーズ取ると、ばかばかしさが凄い。」

ほら、と言ってテッサを除く赤い鎧軍団がそろってポーズをとった。あ!アイドルっぽい!

「ばかばかしさって‥‥。」
「テッサもやってごらんよ。」

そう言われてテッサも加わって赤い鎧軍団全員でビシィー!!
思わず手を叩いちゃった。
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