自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第268話 魔獣避けの効果は?

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石を積み上げてつくった簡易竃。その中で枝が赤く燃えている。煙が結構出るんだな。煙く無い方向に移動して石の上に水の入った鍋をそうっと置く。
一人でやろうとしたら「危ないから」って言ってリヒャルトさんが僕の後ろから両手を回して一緒に鍋を持ってた。というか、ほぼリヒャルトさんが持ってた感じだ。
重みでひっくり返しちゃったら台無しになっちゃうもんね。今度もっと小さいお鍋のときに一人でやらせてもらおうっと。

鍋を簡易的な竃の上に設置したらお湯が沸くまで待機するんだよ。
どのくらいでお湯が沸くかなと見ていたら、少し離れた場所から声がしてきた。

「は?なんですの。石を拾えと?」
「えー?これ手で集めるとか無理ぃ。」

石を集めて簡易竃を作る段階で文句を言っている人達がいるようだ。それ嫌だったら、講習会受ける意味ないんじゃないの?

「はー、うっさい。」

ちょっと呆れて見ていたら、彼女達の声を聞いていたらしいテッサがうんざりした様子で吐き捨てるように言った。苛々していたらしくて、木の枝で乱暴に地面を突いている。

「テッサ、他人の事は放っておきなさい。薪で遊んでないで、もっと石を拾って来て。足りなそうだよ。」
「あ、はーい。」
クリフォードさんに諌められて、木の枝を置いて石集めを始めるテッサ。
石はそこら中に落ちているから、用意された道具には入ってないんだよね。落ちているというより、講習の為にあちこちに置いてあるのかな。クリフォードさんのチームの様子をみてみたら、組み立てた竃が小さすぎたみたいで思うように中に木の枝が入れられなかったみたいだ。

うちのチームはすんなり竃が組み立てたけど、それはリヒャルトさんやインゴさんが慣れているからじゃないかと思う。
実際に石を組み立てたのはラオウル君が中心になってやっていて僕とギルベルト君が補佐。リヒャルトさんインゴさんは監督的な感じで指示を出してた。ラオウル君も結構慣れた感じでやっている。
ラオウル君はお父さんと旅をしていたから野営は全くの未経験者じゃないらしい。
でも、色々勝手が違うから勉強になるって言ってた。

鍋の中の水の底の方から気泡のような物が出来ているのが見えた。お鍋が少し温まって来たみたいだ。カップとかも準備を始めよう。
朝の袋から出したカップを並べる。お湯が沸いたら一度カップにお湯を入れてさっと洗い流すんだって。でもその前にカップを逆さにしてホコリとか入っていないようにしておく。
カップにお湯が注ぎやすいようにお鍋の近くに持っていっておかなきゃ。

「きゃ!くさーい!」

カップを何処におこうかとキョロキョロしていたら、近くで声がしたのでビックリした。
振り向くと赤白の外套の令嬢が僕達のチームの魔獣避けのお香の前で顔を顰めてた。

それは魔獣避けです。魔獣っぽい人は近寄らないでください。

というか、石は集まったの?

「ルイーサ、どうかしたのかい?」

ケン様が赤白令嬢の姿を見つけて駆け寄って来た。

「ケン様~、ここ、もう出来てるみたいよ。」

赤白令嬢ルイーサがケン様に言った。

「ああ、本当だ。よく見つけたね。」

ケン様がニコリとルイーサに微笑んだ。そして僕たちにもニコリ。

「君達、ご苦労だった。もう行っていいよ。」

は?
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