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第6章
第266話 鍋運び
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入り口近くの木で出来た棚に道具類が置いてあった。
鍋類が入っているらしい麻袋。敷布。薪用の枝。水桶。結構色々ある。全員で来てよかったなと思いながら麻袋に手を伸ばした。
同時にギルベルト君の手が麻袋の端をつかんでいた。
「「あ」」
ギルベルト君と一瞬見つめ合う。
「それ結構重いだろ。二人で持ったら?」
どうしようと思ってたらラオウル君が助言してくれた。見るともう他の道具はリヒャルトさん、インゴさん、ラオウル君が既に手にしていた。あー!これしか残ってない!
麻袋は口の所に麻紐が通してあって絞るタイプだ。二人で持つの、持ち難いよね。どうしようかなと麻袋の口を広げてみた。
麻袋の中に大きめの鍋が見えた。
ギルベルト君も麻袋の中を覗き込んでる。
「ねえ、鍋とその他にしようか。」
「うん。鍋出してみるね。」
鍋の中に布袋と紙袋が入っている。ちょっと中身を見てみると布袋にはカップ類。紙袋には干し肉とパンが入っているみたいだ。
布袋と紙袋を先に取り出した。それから鍋を麻袋から引っ張り出す。結構重い!
鍋を取り出した後の麻袋の底に小さい麻袋がまだ入ってる。紐を引っ張ってちらっと開いてみると火打石が入っているみたいだ。
鍋以外を麻袋に戻してちょっと重さをチェック。鍋だけの方が軽いかな。
「あんまり変わらないよ。さっさと持って行っちゃおうよ。」
僕が念入りに持ち比べて重さチェックしていると、ギルベルト君がささっと僕の手から麻袋を奪って抱え上げた。ああー、麻袋の方が思いかなと思ったら、重い方取られた!
でもここででグズグズしてるより早く運んじゃった方がいいよね。
皆は僕が鍋を抱えるのを待っていたみたいで、僕が鍋を持ったら皆歩き出した。
「えー?なんで一人だけ鍋持ってるの?」
鍋を抱えて歩いていたら、道具類を取りに来たらしい赤い革鎧のグループから声がかかった。
栗色の髪の女の子だ。テッサとかいってたっけ?
「負可分散だよ。」
真面目に答えてみた。
「フカブンサン? 何それ~?」
ちょっと鼻で笑われた。ぴたっと僕の真横にリヒャルトさんが並ぶ。背中に手を置かれた。あれ、荷物持ってるのに?
チラリと見上げるとリヒャルトさんは敷布をロープで縛って背中に背負ってた。
「テッサが失礼しました。‥‥テッサも鍋担当ね。」
テッサのお兄さん、クリフォードさんが来て謝った。先を歩いていたのに引き返して来たようだ。
「え?私も鍋?」
「そう。ほら、さっさと行く!」
クリフォードさんがトン、とテッサの背中を押した。「もう!」と少し不満気な声を上げて、テッサが頬を膨らませて振り返った。
「そういう顔しない。早く運ばないと講習が進まないよ。早く行って。」
クリフォードさんは、テッサを他のメンバーと一緒に先に行かせてからもう一度僕たちに謝った。
「妹が失礼な事ばかり言ってすみません。初めての事ばかりで落ち着きがないんです。」
「気にしてないですよー。」
申し訳なさそうにしているクリフォードさんに笑って答えておいた。お鍋を運んで、班が集まっている場所に置いてから振り向くと、僕と同じようにテッサが鍋を抱えて歩いていた。チラリと僕の方をみて何か唇を尖らせてた。
鍋類が入っているらしい麻袋。敷布。薪用の枝。水桶。結構色々ある。全員で来てよかったなと思いながら麻袋に手を伸ばした。
同時にギルベルト君の手が麻袋の端をつかんでいた。
「「あ」」
ギルベルト君と一瞬見つめ合う。
「それ結構重いだろ。二人で持ったら?」
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鍋以外を麻袋に戻してちょっと重さをチェック。鍋だけの方が軽いかな。
「あんまり変わらないよ。さっさと持って行っちゃおうよ。」
僕が念入りに持ち比べて重さチェックしていると、ギルベルト君がささっと僕の手から麻袋を奪って抱え上げた。ああー、麻袋の方が思いかなと思ったら、重い方取られた!
でもここででグズグズしてるより早く運んじゃった方がいいよね。
皆は僕が鍋を抱えるのを待っていたみたいで、僕が鍋を持ったら皆歩き出した。
「えー?なんで一人だけ鍋持ってるの?」
鍋を抱えて歩いていたら、道具類を取りに来たらしい赤い革鎧のグループから声がかかった。
栗色の髪の女の子だ。テッサとかいってたっけ?
「負可分散だよ。」
真面目に答えてみた。
「フカブンサン? 何それ~?」
ちょっと鼻で笑われた。ぴたっと僕の真横にリヒャルトさんが並ぶ。背中に手を置かれた。あれ、荷物持ってるのに?
チラリと見上げるとリヒャルトさんは敷布をロープで縛って背中に背負ってた。
「テッサが失礼しました。‥‥テッサも鍋担当ね。」
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「え?私も鍋?」
「そう。ほら、さっさと行く!」
クリフォードさんがトン、とテッサの背中を押した。「もう!」と少し不満気な声を上げて、テッサが頬を膨らませて振り返った。
「そういう顔しない。早く運ばないと講習が進まないよ。早く行って。」
クリフォードさんは、テッサを他のメンバーと一緒に先に行かせてからもう一度僕たちに謝った。
「妹が失礼な事ばかり言ってすみません。初めての事ばかりで落ち着きがないんです。」
「気にしてないですよー。」
申し訳なさそうにしているクリフォードさんに笑って答えておいた。お鍋を運んで、班が集まっている場所に置いてから振り向くと、僕と同じようにテッサが鍋を抱えて歩いていた。チラリと僕の方をみて何か唇を尖らせてた。
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