自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第265話 講習開始

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ギルベルト君は彼らから視線をはずし、こんな顔出来るのというくらい思い切り嫌そうな顔をした。そして声を潜めて言った。

「ソーマ君。あの人達を知ってるの?」
「昨日、あんな感じの状況を2回目撃しただけ。」
「うわぁ‥‥。昨日2回で、今日もってこと‥‥。」

ギルベルト君は細めの眉を顰めて溜め息をついた後、ラオウル君に目線を向けた。

「僕なら関わり合いになりたくなくて避けようとすると思うのに、心配して来てくれるってすごい。」
「格好いいよね!」

僕もギルベルト君に同意する。ラオウル君はなんでもなさそうに軽く肩を竦めた。そのポーズ格好いい!

パンパン、と手を叩く音がして振り向くとギルド職員の制服を着た女性と冒険者の格好をした大柄な男性が入り口に立っていた。

「はい。君たち、入り口前に突っ立っていると邪魔だから、あっちに移動して。」
「な、何ですの?無礼ではなくて?」
「下がりなさい!平民が!」

大柄な男性は多分講師の人かな。腕に「初級野営」って書いてある緑色の腕章を付けている。髪が青い。腕章がついている腕の筋肉凄い。髭面でちょっと怖そう。
その男性が、令嬢達に移動するようにというと、言われた令嬢達が怒りだした。でも、男性は平然としていた。

「俺は今回の初級野営の講師を務める、ダリル・アトゥールだ。さっさと移動して。」

ダリル・アトゥールと名乗った講師の声が少し低くなった。

「アトゥール‥‥?‥‥貴族‥‥?」

講師の男性が家名を名乗ったからか、怒りまくっていた令嬢達の顔が硬直した。ずずっと半歩後ろに下がる。

アトゥールさんは貴族なのかな。首を傾げて見ていたら、ボソリとリヒャルトさんが小声で教えてくれた。アトゥール家は伯爵家なんだって。リヒャルトさんの知っている人なのかな。
僕も貴族の家名を覚えないとなぁ。


「こっちは助手のアイリスだ。」

ダリルさんが隣に立っていたギルド職員の女性を紹介した。アイリスさんは口元に笑みを浮かべてお辞儀をした。

「今日の初級野営は新人冒険者のパーティが徒歩で少し遠出をして野営をする場合を想定している。
休むための場所作り。魔獣避けの設置。火起こし。湯沸かし。交代での見張りを実習する。
班での実習となるが今集まっている単位でいいだろう。一人参加の人はどこかに参加させてもらってほしい。
班が決定したら道具を取って来てくれ。」

ざわざわとし始めた周囲を見回す。周囲に一人参加であぶれていたりする人はいなさそうだ。少し離れたところに居た一人参加の人はその人の近くのグループに話しかけていた。僕たちはこのままグループになることにした。

「道具を持ってきます。」

インゴさんが道具運びをすると言い出した。
「あ、じゃあ、僕も行くよ。」

僕がインゴさんについて行こうとすると、ラオウル君が僕の腕を掴んだ。

「いや、俺が行くよ。身体が大きい人が行ったほうが早く済むだろ。」
「皆で行くのが一番早くない?」

結局人手が多い方がいいだろうと皆で道具を取りに行く事にした。
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