自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第239話 もっと研究しなきゃ

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手帳君の大判ノートバージョンで他の書類も読み取って送る機能も追加した物を作ってみた。
使い勝手とかを叔父様と話し合いながら作って行くのはとっても楽しい。

手帳君は家族と執事のセバシとか騎士団長とか重要な役職の人に使ってもらうことになった。
ラオウル君にも渡そう。なんとなくだけど、ラオウル君は一人で頑張り過ぎちゃうような気がしてちょっと気になるんだ。

「街歩きをしたんだよね。エルスト商会には行ったのかい?」

手帳君を叔父様と試しながらお話をしていたら、街歩きの話題になった。
エルスト商会は本店がエルストベルク領都にあるんだよね。

「行ってないよ。だって叔父様は王都だったし。」
「俺がいないと行かないの?」
「だって、王都のお店と似てるのに叔父様がいないのって寂しくなっちゃうかもしれないから。兄様もいないし‥‥。」

街歩きしたとき、実はエルスト商会に行くのを何となく避けちゃったんだよね。
兄様も一緒じゃないし、知らないお家に行くみたいな感じがして‥‥。
叔父様は、僕の頭をワシワシと撫でた。

「じゃあ、明日一緒に行ってみようか。」
「うん!」

叔父様とお出かけの約束が出来た。凄く嬉しい。

「あ、叔父様はお仕事で商会に行くの?」
「うーん。商会のお店の様子をちょっと見に行くというところはお仕事かな。でもそれだけ。明日はソーマと一緒に街歩きをしよう。」
「やったー!」

その晩は楽しみすぎて中々眠れなかった。


『おはよう。ソーマ、眠そうだね。』

翌朝、朝食の時にテレビ会議で僕を見た兄様に寝不足を見破られてしまった。。

「兄様、おはよう。今日は叔父様と街歩きをするんだよ。楽しみ過ぎてちょっと眠れなかったんだ。」
『ソーマと領都の街歩きかぁ。いいなぁ。僕も行きたいよ。』
「兄様も来る!?」

兄様も来るなら嬉しすぎる! 僕が聞き返すと兄様はちょっと気まずそうな顔をした。

『今日急には難しいかな。‥‥ごめんね。』
「あぅ‥‥。」

兄様は来ないのか‥‥。なんだか鼻の奥がツーンと熱くなってきた。

「ソーマ‥‥。」

叔父様が僕の背中をトントンと叩いた。

『ソーマ、今日は家庭教師の授業があるんだ。ごめんね。今度ね。学園入学前に一度戻るから。』

画面の向こうから兄様が心配そうな声で言った。
僕はハッとして俯きかけた顔を上げた。兄様にご心配をかけたらいけない!

「兄様、お忙しいのに無理しないでね‥‥。僕、大丈夫だから‥‥。」

忙しくて大変なのは兄様なのに‥‥。僕がグズグズ言っていてはいけないよね。
王都とエルストベルク間、片道三時間。馬車で行くよりは凄く短縮できたけど、往復六時間はあまり気軽に行けない距離なんだよね。
もっと所用時間が短縮できるか研究しよう。そうだ、今は王都とエルストベルク間は西側に迂回路を造っているけど、東側に迂回路を造るとかまだ試していない事は沢山ある。
それともバラ絵のダンジョンをなんとか出来るか調べようか。段々やる気が出て来たぞ。

「兄様!僕、頑張るから!」

もっと研究しよう!僕が決意して言ったら、兄様が少し首を傾げた。

『うん?ソーマ?頑張るのはいいんだけど‥‥。何か凄い事考えてない?』
「凄い事?凄くないよ!」
『そう?』

兄様は少し不安顔になった。兄様を安心させたいのになんでだろう。
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