自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第6章

第238話 移動中実験

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ダンジョン鉄道が快適って褒められたことは後でダンジョンマスター達にも伝えて上げよう。頑張った事、褒めてもらえるのは嬉しいよね。

ーーーー今「クー駅」いう所を通過したよ。

クーちゃん駅だ。クーちゃんのダンジョン付近だね。
地図を取り出して広げてみる。そうだ手帳の位置情報を表示してみよう。
地図の中で狐のダンジョンの近くに緑色の丸の表示がある。ダンジョン鉄道のルートの上を少しずつ移動している。

ーーーーまだ1/3くらいだね。一人で乗っていて退屈じゃあない?
ーーーーもうそんなに進んでいるのかい? ちっとも退屈じゃないよ。手帳もそうだけど興味深い事ばかりだよ。

通信箱君の受信ボックスの魔石が光った。引き出しを開けてみるとエルスト商会のパッケージに包まれたナッツのチョコレートが入っていた。うわーい。早速お礼を書き込もう。

ーーーーチョコ届いたよ! ありがとう!
ーーーーどういたしまして。こちらから送信もできたようだね。もう少ししたらもう一度何か送ってみるよ。
ーーーー僕も何か送るね。

せっかく叔父様が実験につきあってくれているんだから移動している間に物が送れるか試さないと。
何を送ろうかな。出かけた時のお土産を送ってみよう。
ドライフルーツの入った紙袋を送信ボックスに入れて送信! すぐに叔父様から連絡がきた。
ーーーードライフルーツが届いたよ。ありがとう。
ーーーーよかった。こっちからの送信も成功だね。

中間地点と残り1/3位の地点でも送信実験をした。叔父様は色々お菓子を送ってくれたけど、僕は送る物が思いつかなくなって紙にお手紙を書いて送ったりした。
そんなやり取りをしていたら叔父様が到着した。なんだかあっという間に感じる。

「ソーマ!ちょっと背が伸びたかな?」

叔父様は僕をハグした後、身を屈めて僕の頭に手を乗せた。

「ちょっと伸びたと思うよー。」

通話はちょくちょくしているけど、久しぶりに会うと嬉しい。

叔父様がこちらに来る事は父様達に連絡してあったのか、家族も使用人も皆、全然驚いた様子はなかった。普通に昼食が用意されてあって和やかに食卓を囲んだ。
王都に住んでいた時と変わらない光景だ。‥‥でも兄様がいない。
兄様は学園入学が近づいてきて午前も午後も勉強をしてるんだって。お勉強がお休みの日に往復するにはまだちょっと時間がかかるよね。
叔父様が来てくれたのは凄く嬉しいんだけど、兄様の事を思い出したら少し寂し息持ちになった。

昼食の後は僕の部屋で叔父様と一緒に実験の続きをした。

「この手帳の魔道具は凄く便利だね。通信の方式はどうなってるのかな。」
「あ‥‥イヤーカフの魔道具と同じだよ。」

イヤーカフの通信魔道具は僕が細かくあちこちに飛ばして配置している極小の基地局魔道具を経由している。だからダンジョン鉄道の中でも通信ができるんだ。
エルスト商会の工房で制作されている大きい基地局魔道具だけでの通信だとまだ限定的なエリアでしか利用できないんだよね。

「なるほど。一般に販売するとしても当分先だね。まあ、今はその方がいいかな。」

商会で販売をする物は、工房で製作されている大きい基地局魔道具だけで通信できるものにしているんだ。

「今は販売できなくていいの?」
「うん。今商会で使っている通信魔道具を広める方が先だからね。そうじゃないと今のが売れなくなっちゃうし。」

ふふと叔父様が笑った。

「でも文字でやり取りが出来るのはとても便利だね。持ち運ばない大きいサイズのも作ったらどうだろう。」

FAXとかみたいなイメージ? PCでのメールのやり取りみたいな感じかな。
屋敷や商会で使う物を考えているみたい。書類の内容を写して送ったりできたら便利そうだよね。
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