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第6章
第234話 手帳っぽい魔道具
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夕食が終わって部屋に戻ってきたら、魔道具作りの続きをすることにした。
街中でラオウル君を見かけて声をかけられなかった事を思い出す。ああいう時、手軽に連絡がとれるようになったら便利だと思う。
商会で販売できるような持ち歩き用の通信の魔道具ができればいいんだよね。まあ、販売されなくても使っていても目立たなければいいのかな。
出かける前に実験の途中だったものを取り出してみた。海の素材の匂いが強いものは除外するとしても、魔石や魔獣の骨を粉末にして練り込んだシートは魔力保持力が高いから使えそうな気がする。
メモ帳サイズに何枚か切りだして、シーサーペントの革を加工した表紙で挟む。接合部に小さい魔石をいくつか埋め込んだ。
そして、ペン。
ペン先や軸に魔石を埋め込んで、手に触れる部分を魔獣の革で巻いた。それを紐で手帳型魔道具につなぐ。
「うん、手帳っぽい!」
見た感じはいかにも手帳という感じだ。
(それは何の魔道具にゃ)
「手帳型魔道具、ちょっとお洒落でしょう?」
プティが机を覗き込んで興味深そうに見ている。
(どういう作りにゃ?)
「まだ何も。形から作ろうと思って。」
(にゃ?)
魔力の保持が出来る素材なら後から魔法陣を埋め込めば色々出来ると思って、とりあえず形だけ先に作ったんだ。
なので、目の前にあるのは正確には魔道具ではなくてただの「魔力保持率が高い手帳」だ。
手帳を持ち上げるとペンがぶらぶらと揺れる。
ペンは取り外しできるようにもするけど、ぶらぶらしないように固定できたほうがいいね。
とりあえずフックで引っ掛けるようにだけしておこう。
ペンを手帳に固定できるようにしてから手帳を開く。お試しなので中の頁は数枚。
僕はペンを握って頁の一枚をなぞった。
「この頁一枚で宛先一人用にして、何か書くと宛先の相手が持っている手帳の頁に書き込まれるようにしよう。」
(面白いにゃん。試すにゃん。)
手帳に通信先のリストを管理する機能、指定した通信先の頁を開いて専用ペンで書き込むと相手の手帳の頁に表示されるようにする機能を魔法陣で作成する。
通信先リストはアドレス帳用の頁をつくってそこに登録をするようにしよう。
プティの名前を登録して選択。手帳を開いたら上部にプティの名前が書かれた頁になった。
(プティの名前にゃ)
プティが僕の膝の上にのって身を乗り出してくる。
「プティにお手紙書くよ。」
(にゃ。早く書くニャ)
プティが僕の手に頭を擦り付けてくる。
「待って待って。プティ用の手帳を用意するから。」
プティの頭をグリグリ撫でて、空いている方の手でいくつか作った手帳のうちの一つを取り出した。
まずは使用者を登録。プティに差し出したらちょいっと前足で触れた。
プティの魔力が登録された後、ランダムに出力された番号が手帳に刻まれた。これが手帳の識別番号。携帯番号みたいなやつかな。
そして僕の番号も登録して準備OK!
さっそく僕の手帳からメッセージを書く。
ーーーープティ。大好きだよ。
「にゃーん」
(プティも大好きニャ!)
プティがご機嫌な様子で手帳の頁をパタパタとつついた。
街中でラオウル君を見かけて声をかけられなかった事を思い出す。ああいう時、手軽に連絡がとれるようになったら便利だと思う。
商会で販売できるような持ち歩き用の通信の魔道具ができればいいんだよね。まあ、販売されなくても使っていても目立たなければいいのかな。
出かける前に実験の途中だったものを取り出してみた。海の素材の匂いが強いものは除外するとしても、魔石や魔獣の骨を粉末にして練り込んだシートは魔力保持力が高いから使えそうな気がする。
メモ帳サイズに何枚か切りだして、シーサーペントの革を加工した表紙で挟む。接合部に小さい魔石をいくつか埋め込んだ。
そして、ペン。
ペン先や軸に魔石を埋め込んで、手に触れる部分を魔獣の革で巻いた。それを紐で手帳型魔道具につなぐ。
「うん、手帳っぽい!」
見た感じはいかにも手帳という感じだ。
(それは何の魔道具にゃ)
「手帳型魔道具、ちょっとお洒落でしょう?」
プティが机を覗き込んで興味深そうに見ている。
(どういう作りにゃ?)
「まだ何も。形から作ろうと思って。」
(にゃ?)
魔力の保持が出来る素材なら後から魔法陣を埋め込めば色々出来ると思って、とりあえず形だけ先に作ったんだ。
なので、目の前にあるのは正確には魔道具ではなくてただの「魔力保持率が高い手帳」だ。
手帳を持ち上げるとペンがぶらぶらと揺れる。
ペンは取り外しできるようにもするけど、ぶらぶらしないように固定できたほうがいいね。
とりあえずフックで引っ掛けるようにだけしておこう。
ペンを手帳に固定できるようにしてから手帳を開く。お試しなので中の頁は数枚。
僕はペンを握って頁の一枚をなぞった。
「この頁一枚で宛先一人用にして、何か書くと宛先の相手が持っている手帳の頁に書き込まれるようにしよう。」
(面白いにゃん。試すにゃん。)
手帳に通信先のリストを管理する機能、指定した通信先の頁を開いて専用ペンで書き込むと相手の手帳の頁に表示されるようにする機能を魔法陣で作成する。
通信先リストはアドレス帳用の頁をつくってそこに登録をするようにしよう。
プティの名前を登録して選択。手帳を開いたら上部にプティの名前が書かれた頁になった。
(プティの名前にゃ)
プティが僕の膝の上にのって身を乗り出してくる。
「プティにお手紙書くよ。」
(にゃ。早く書くニャ)
プティが僕の手に頭を擦り付けてくる。
「待って待って。プティ用の手帳を用意するから。」
プティの頭をグリグリ撫でて、空いている方の手でいくつか作った手帳のうちの一つを取り出した。
まずは使用者を登録。プティに差し出したらちょいっと前足で触れた。
プティの魔力が登録された後、ランダムに出力された番号が手帳に刻まれた。これが手帳の識別番号。携帯番号みたいなやつかな。
そして僕の番号も登録して準備OK!
さっそく僕の手帳からメッセージを書く。
ーーーープティ。大好きだよ。
「にゃーん」
(プティも大好きニャ!)
プティがご機嫌な様子で手帳の頁をパタパタとつついた。
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