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第6章

第217話 鯨魔獣

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壁に海岸線が見える位置に配置していた別の偵察君からの映像を別で表示してみた。
何かに飲み込まれたっぽい偵察君の位置情報を元に、近づかせて行くと、海面にクジラのような背中が映し出された。
魔力の反応が強い。多分魔獣だ。

「鯨に呑み込まれちゃったのか‥‥。」

鯨魔獣はどんどん沖の方に泳いで行くようだ。追いかけて飛ばしていたら、途中で鯨魔獣からの位置情報がわからなくなった。
そして、追いかけていた偵察君が止まった。
通信を中継している範囲の限界に達したみたいだ。

「諦めちゃダメ」

限界値付近に小さいゲートを開いて、そこから中継の魔道具を送り込んだ。
普段は、通信範囲拡大の為、自動的に増産と配置をするようにしていたんだけど、他の場所への配置を停止して、今は海に集中だ。

鯨魔獣から、偵察君を取り返せない場合は、いつか誰かの手に渡らないように偵察君を壊しておきたい。でも壊すにもコントロールの範囲内にしておかないといけないんだ。
鯨魔獣を見失ったのは十数秒程度で、すぐに、時折海面から飛び上がったりする鯨魔獣の映像が見えるようになった。鯨魔獣のお腹の中の偵察君も制御範囲内になったようだ。

鯨魔獣を追いかける事が出来ているうちに、なんとかしないと。
鯨魔獣のお腹の中の偵察君から、雷魔法を放った。

バチャン!

鯨魔獣は水面から飛び上がった後、変な感じに着水。動きが鈍った。もう一度、先程より弱めの雷魔法を放つ。
泳ぐ姿がふらふらした感じになって、速度も遅くなってきた。

海上上空から鯨魔獣を追っている偵察君から、火魔法を放って、鯨魔獣を追い立てた。
腹の中からも断続的に攻撃を続け、海中深くに潜る隙を与えないようにする。

海上の偵察君からの映像に小さい島が映り込んでいたので、その島に向かって追い立ててみる。

ドン!

火魔法を強く、鯨魔獣の後方付近に叩き込んだ。

ドン!ドン!ドーン!

強めに魔法を放ったら、大きな波が出来た。小さい島の海岸に鯨魔獣が押し流された時、
腹の中から強めに雷魔法。

バリバリ!バリ!バリ!バリ!

何度か連続で雷魔法を放ったら、鯨魔獣から反応がなくなった。
死んでしまったようだ。

(‥‥えげつないにゃ)
「うん? 時間かかったねぇ。」

海中深く潜っちゃったら、逃げられてしまったかもしれない。やっかいな相手だった。見ていたプティにも心配かけちゃったかもしれない。
ゲートを開いて、鯨魔獣を取り込んだ。

鯨魔獣は初めてだから何か良い素材がとれるかもしれない。とりあえず解体してしまおう。
呑み込まれてしまった偵察君も回収できて、一安心だ。

ドドーン!ドドーン!

小さい島を移している映像から、何か音が聞こえる。

偵察君を少し上空に移動させて、見回してみると、先程の鯨魔獣より小型の鯨魔獣が、ポーンと飛び出して来た。
見ると、岩場近くに穴が開いている。そこから、次々に魔獣が飛び出して来ている。牙の生えた亀。やたら大きな蟹。
穴から放り出された魔獣は、海岸に落ちて、そこから海に入って行っている。
この穴はダンジョンなのかな。

映像では、魔獣の大きさとの対比で判り難いが、穴の大きさは人が入れそうではある。

出てくる魔獣が、海の魔獣ばかりということは、海中ダンジョンの出口が島に出来たんだろうか。
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