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第6章

第216話 海岸探索

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以前、アリサ姉様に、兄様離れしなさいと言われたのを思い出す。
兄様は、婚約したばかりだし、婚約者のミラ嬢の傍にいたいから、学園入学前なのに王都に住む事を選んだんだよね。
だったら、僕は兄様のご負担にならないように、兄様がいなくても、元気でやってるって兄様にアピールしないと。

でも、やっぱり時々は兄様とお話したいから、通信の魔道具の改良版を作って見ているんだ。

イヤーカフと腕輪の通信の魔道具で王都に住む兄様や叔父様とお話はできるけど、
以前、姉様が、腕輪の操作が良くわからなくて通話先を間違えた事があった。
通信の魔道具の腕輪は、腕輪に連なっている魔石に魔法陣が書いてあって、通信先の相手用の魔石に魔力を通して、通話を行うようにしていたんだけど
通信先の数が多くなると、誰がどの魔石なのか、わからなくなっちゃうんだよね。

それは、作った時から気がついてはいたんだ。
でも、僕がお話したい人はそんなに多くなかったから、その時はそれでいいかなって思ったんだよ。

でも、もうちょっと改良したいな、と思って、手帳型で作ってみているところなんだよ。

「一頁に沢山の人のリストが入るようにすればいいかもしれないけど、それでもシーサーペントの皮は分厚すぎるかなー。‥‥ようし!」

僕は、プティーを膝の上から降ろして立ち上がった。

「何か海の素材を探そう!」
「にゃーん?」
(海に行くにゃん?)
「行かないような、行くような?」

危ないからお出かけは兄様か父様が一緒の時って言われてるんだ。凄く近場だったら、護衛のリヒャルトさんとインゴさんが一緒なら良いみたいなんだけど。
海は遠いからダメだよね。
今は、兄様も父様の一緒じゃないから「基本」お出かけしないんだよ。

ストレージルームの入り口を開けて中にはいった。最近はストレージルームの中は、かなり広くなっている。
エルストベルクの屋敷分くらいはあるのかなあ。
広すぎても落ち着かないから、僕の部屋くらいの大きさの空間を作って大抵はそこを使っているんだ。

僕がソファーに腰を下ろすと、プティがピョンとソファーに飛び乗って、僕の隣にぴたっとくっついた。
僕は、プティの喉を指先で撫でて、それから耳を軽く摘んでみた。プティの耳がピコピコ動く。

(海見るにゃ?)
「うん。海岸を映そう」

プティが喉をグルグル言わせて訊いて来たので、僕は頷いて、エルストベルクの東端の海岸の映像を、壁に映し出した。
昼間だけど、冬だからか空の色も海の色も寒々しく見える。波が荒々しく岩にぶつかって弾ける

ゴヴァーーーー!!

岩の近くに何かないかな、と偵察君で岩に近づいて行く。岩の上辺りに到着した途端、大きな音がして、映像が暗くなった。

ゴヴァゴヴァヴヴァヴァヴァ‥‥

暫く濁った大きな音が続いた後、少し静かになったので、暗視を強化してみた。
何か狭い洞窟っぽい空間だ。そしてその洞窟の壁が動いている。

ゴゴゴゴゴゴボボボボボ‥‥

先程より音は小さいけど、響く。
ビチャン!パチャン! 魚が撥ねて、水面を叩いた。

もしかして、これって何かのお腹の中?
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