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第6章
第215話 シーサーペントの革手帳
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青白い光沢がある皮を2枚重ね、3枚重ね。重ねた層の部分を眺めて、僕は首をひねる。
「分厚いね。しかも重いねー。10枚とか無理かなー。」
重ねていたのは、シーサーペントの革だ。
シーサーペントの革は魔力が多くて、魔石なしでも魔法陣を書けば魔法が発動するんだ。
それを利用して、物造りをしようとしたんだけど、一枚一枚が分厚くて重いんだよね。
一枚の地図とか、マジックバッグとかだったら、問題ないんだけど、重ねて手帳みたいにするのは無理かなぁ。
(重ねれば重い本みたいになって、武器になるにゃん)
「そういう用途にするなら、牙とか骨で充分だよね。あ、これに表紙がつくんだよなぁ。」
今、僕が作りたいのは、手帳型の魔道具なんだ。
試しにシーサーペントの革を重ねてみたけど、分厚くて、手帳の頁にするにはちょっと無理みたい。。
「紙だと、魔力含有量が少ないし破れるし、水に弱いよねぇ。」
せっかく背表紙を海の魔獣にしているのに、中のページが水に弱いのは、微妙な気がするよ。
(水に強いのがいいなら、お魚にゃん)
毛繕いをしていた動作を止めて、プティーがキラリとした可愛い瞳でこちらを見た。
「お魚は、水中を泳ぐけど、鱗はカチカチだよね。あと、魔獣じゃないと、魔力がないし。」
(でも美味しいにゃん。お魚食べたいニャン)
「そっかー」
お魚じゃなくても、何か海の素材で良い物があるかもしれない。
プティがお魚食べたいって言うし、海に探しに行ってみようかな。
僕は今、エルストベルク領都にある屋敷の自分の部屋で、工作作業をしていた。
兄様は今王都に住んでいるので、なかなか会えなくなっちゃったんだ。
ダンジョン鉄道を作ったから、もっと頻繁に会えるかな、と思ったけど、片道3時間でもやっぱり遠いみたい。
地図を取り出して、広げてみる。
王都とエルストベルクを結ぶ線は、ぐるりと西に迂回した形になっている。
直線のラインの途中に、黄色い表示のダンジョンがある。
「バラ絵のダンジョン」とか言われているダンジョンだ。このダンジョンがあると直線コースでダンジョン鉄道が作れないんだよなぁ。
以前、少しだけ偵察君で見に行ったけど、良くわからないところだった。
直線コースが作れたら、もっと早く王都に行けるのに。
兄様は今はまだ学園入学前だから、月に2回くらい、2~3日滞在というペースで、帰って来てくれているけど、学園に入学したら
もっと忙しくなるんだろうなぁ。
そうしたら兄様に会えなくなっちゃうのかな。
‥‥もしも、直線コースのダンジョン鉄道ルートができたとしても、それでも兄様は帰って来なくなっちゃうかもしれない。
「‥‥。」
ぎゅうっと鼻の奥が熱くなるのを感じた。
泣いちゃダメ。泣いちゃダメ。
「にゃーん?」
プティが僕の傍まで歩いて来て、とすっと、僕の足に寄りかかった。
「プティ‥‥。」
「にゃーん」
プティを抱え上げて、プティの頭にそっと頬を刷り寄せた。フワフワで温かい。
「分厚いね。しかも重いねー。10枚とか無理かなー。」
重ねていたのは、シーサーペントの革だ。
シーサーペントの革は魔力が多くて、魔石なしでも魔法陣を書けば魔法が発動するんだ。
それを利用して、物造りをしようとしたんだけど、一枚一枚が分厚くて重いんだよね。
一枚の地図とか、マジックバッグとかだったら、問題ないんだけど、重ねて手帳みたいにするのは無理かなぁ。
(重ねれば重い本みたいになって、武器になるにゃん)
「そういう用途にするなら、牙とか骨で充分だよね。あ、これに表紙がつくんだよなぁ。」
今、僕が作りたいのは、手帳型の魔道具なんだ。
試しにシーサーペントの革を重ねてみたけど、分厚くて、手帳の頁にするにはちょっと無理みたい。。
「紙だと、魔力含有量が少ないし破れるし、水に弱いよねぇ。」
せっかく背表紙を海の魔獣にしているのに、中のページが水に弱いのは、微妙な気がするよ。
(水に強いのがいいなら、お魚にゃん)
毛繕いをしていた動作を止めて、プティーがキラリとした可愛い瞳でこちらを見た。
「お魚は、水中を泳ぐけど、鱗はカチカチだよね。あと、魔獣じゃないと、魔力がないし。」
(でも美味しいにゃん。お魚食べたいニャン)
「そっかー」
お魚じゃなくても、何か海の素材で良い物があるかもしれない。
プティがお魚食べたいって言うし、海に探しに行ってみようかな。
僕は今、エルストベルク領都にある屋敷の自分の部屋で、工作作業をしていた。
兄様は今王都に住んでいるので、なかなか会えなくなっちゃったんだ。
ダンジョン鉄道を作ったから、もっと頻繁に会えるかな、と思ったけど、片道3時間でもやっぱり遠いみたい。
地図を取り出して、広げてみる。
王都とエルストベルクを結ぶ線は、ぐるりと西に迂回した形になっている。
直線のラインの途中に、黄色い表示のダンジョンがある。
「バラ絵のダンジョン」とか言われているダンジョンだ。このダンジョンがあると直線コースでダンジョン鉄道が作れないんだよなぁ。
以前、少しだけ偵察君で見に行ったけど、良くわからないところだった。
直線コースが作れたら、もっと早く王都に行けるのに。
兄様は今はまだ学園入学前だから、月に2回くらい、2~3日滞在というペースで、帰って来てくれているけど、学園に入学したら
もっと忙しくなるんだろうなぁ。
そうしたら兄様に会えなくなっちゃうのかな。
‥‥もしも、直線コースのダンジョン鉄道ルートができたとしても、それでも兄様は帰って来なくなっちゃうかもしれない。
「‥‥。」
ぎゅうっと鼻の奥が熱くなるのを感じた。
泣いちゃダメ。泣いちゃダメ。
「にゃーん?」
プティが僕の傍まで歩いて来て、とすっと、僕の足に寄りかかった。
「プティ‥‥。」
「にゃーん」
プティを抱え上げて、プティの頭にそっと頬を刷り寄せた。フワフワで温かい。
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