自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第5章

第205話 ほかほかさん

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「ソーマ、なんだか楽しそうだね。」

屋敷内の庭園の芝生の上に、シーサーペントのホットカーペットを敷いて、その上に足を伸ばして座って、シーサーペントの本で、ダンジョン鉄道の様子を見ていたら
外から帰って来た兄様が声をかけて来た。
兄様は、父様と一緒に午前中は領地内の視察に出ていて、帰って来たところだった。

「兄様。おかえりなさい。」

僕は本を閉じて立ち上がって、兄様に駆け寄って抱きついた。

「視察おつかれさまです。」
「うん。ありがとう。」

兄様が僕の頭を撫でてくれるけど手が凄く冷たい。

「兄様、寒かったですか?」
「この辺りは雪は降らないけど、最近は寒くなったよね。ソーマも外にいると風を引くよ。‥‥なんかホカホカしてるけど。」

ホットカーペットの上にいたから、屋外でも、寒くなかったんだ。

「あ、ホカペ。視察の時、兄様も持って行く?」
「うーん。馬に乗って行くからねぇ。」

馬車なら馬車のシートの上にホットカーペットを引いたりもできるけど、馬にのっていたらそういうわけにはいかないみたいだ。

それなら、と急遽、手袋とマントの裏皮。レッグウォーマー風に足首から脛に巻き付ける物を作ってみた。
マントの裏皮は、持っているマントの裏に止めてしまえばいいようになっている。
それをお試しで、父様と兄様に使ってもらう。王都も寒いので叔父様にも送ろう。

『ソーマ、これとっても暖かいよ。ありがとう。』

商会の叔父様の部屋に、置いておいたら叔父様からお礼の連絡が来た。
喜んでもらえてよかった。

『膝掛けは、アリサへでいいのかな。』
「うん。どうやって送ろうかと思って‥‥。」

通常ルートで王都の送ってもらうと、かなり時間がかかる。
ゲートを使って転送しても叔父様は気にしないでくれるけど、姉様はそうではないので、渡し方を迷って、叔父様への物と一緒に送っておいたんだ。

『ソーマのアイデアだと言って渡しておくよ。きっと喜ぶよ。』
「ありがとう。叔父様。」

叔父様と話していてふと思いついた。王都の人達みんな寒いよね。
だったらカイロみたいなものも売れるんじゃない?
猫型のカイロで、「プティちゃんお願い」って言うと暖かくなるやつ。
アイデアを言うと、叔父様は笑いながら賛成してくれた。

早速試作。タイプは2種類。シーサーペント革で、それだけでシート上のカイロになるやつと、小さいクッション上のもので魔石入りのやつ。
シーサーペント革は転写できないけど、魔石は転写ができるので、量産用。そもそも、シーサーペントの革は、市場では高すぎて販売できないらしい。
身近な人にだけ渡す用かな。

「ほかほかさん」のサンプルを作って送ったら、猫大好きヘンリーさんが狂喜乱舞したらしいので、ヘンリーさんにはシーサーペント革の「ほかほかさん」も贈ることにした。

(神力が上がったにゃん)

ヘンリーさんのお祈りからもだけど、「ほかほかさん」が量産されていって、お祈りをしてくれる人が増えて行くと、プティの神力もどんどん上がって行くみたいで、何よりだ。
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