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第5章
第203話 モーニングミーティング
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王都では、叔父様がほぼ毎日エルストベルク邸に寄ってくれて、その時に姉様と一緒に、通信をしてくれている。
朝食の時間を合わせて、映像も表示してテレビ会議みたいにして、情報共有をしているんだ。
既に王都は雪が積もっているみたいで、叔父様が、お皿の上に丸めた雪を乗せてみせてくれた。
マーリエが、其れを見てはしゃいでいる。
「雪~。見たかった~。」
僕達が王都にいたとき、ほんの少しだけ雪がちらついたことがある。ひらひら舞う白い雪は、手の上ですぐ解けてしまったけど、楽しかったのをマーリエも覚えてるんだ。
『そんなこと言っていられないくらい、降って来てるのよ。そのうち出かけられなくなっちゃいそう。』
王都は寒いのか、フワフワしたショールを羽織った姉様が、ちょっと憂鬱そうに言った。
『このままだとお茶会も行けなくなっちゃいそうよ。』
「あら、冬場は、王都ではほとんどお茶会はないわよ」
クスクスと母様が笑った。
『はぁ?』
「雪が多いのにお出かけしないでしょ。」
『か、母様。それで王都に残っていていいっておっしゃったの?』
「王都に残りたいって言ったのはアリサでしょう?」
『うう‥‥。』
姉様が悔しそうだ。
「叔父様は、雪の中、屋敷に通ってくれてるんですよね。ありがとうございます。」
兄様が、叔父様に言う。
『こうして皆の顔を見るのが楽しみだからね。問題ないよ。』
叔父様はニコニコ微笑んでいた。
軽く談笑しながら朝食を終えた後は、メインは父様と叔父様のお仕事関係の話。僕たちは席を立って部屋に戻っていてもいいって言われているけど、
そのまま一緒に話を聞いている。
「王都近辺は魔獣がまた増えているのか。」
『辺境の程ではないですけどね。王都の人達には脅威なようですよ。』
エルストベルクの周辺は魔獣が多いから、叔父様は、「ちょっと増えて来たな」と思う位の状態に見えても、王都の人達は、かなり怯えているらしい。
スタンビートの脅威の記憶もまだ冷めてないから、余計に、不安が広がっているようだ。
『大市で来ていた商人が王都を出た後でよかったですけどね。』
大市のために各地から来ていた商人達は、情報に敏感だからか、大市が終わったら、さっさと、冒険者を護衛に雇って、王都を後にしていたようだ。
雪が本格的に降る前にというのもあったのかもしれない。
「念のため、騎士を向かわそう」
僕達がエルストベルクに戻ってくる時に、護衛で同行していた騎士さん達を、王都に戻す話をしていた。
『エルストベルクを護っていた方がいいのでは。こちらの屋敷の警護は問題なさそうですが。』
「エルストベルクは問題ない。積雪が酷くなる前に移動させる。」
父様はメモを書いて、侍従に手渡した。ちょっと室内に緊張が走る。叔父様も真剣な顔だ。
「マーカス。アリサを頼む。」
『承知しました。』
叔父様が頷いた。姉様が、何かギョットした様子でキョロキョロと父様と叔父様の間で目線を彷徨わせてる。
『え?王都危ないの?え、どうしよう。』
「アリサ、念のためよ。いざという時慌てないために準備しているの。しゃんとなさい。」
母様は、少し厳しい声で、姉様に言った。姉様は小さい声で、「わかりました。」といって頷いた。
王都、大丈夫なの?
ちょっと心配になったので、いざと言う時のためにもダンジョン鉄道の開発を進めよう。列車は、座席まで、きちんと出来上がっていた。
実験で、沢山走らせたかったらしくて、一時間位に出発するくらいに、本数が出来上がってる。誰もお客さんがいない状態で、既に毎時間エルストベルクから王都行きの列車が出発していて、王都から来る列車も到着もしてきているんだ。凄くない?
朝食の時間を合わせて、映像も表示してテレビ会議みたいにして、情報共有をしているんだ。
既に王都は雪が積もっているみたいで、叔父様が、お皿の上に丸めた雪を乗せてみせてくれた。
マーリエが、其れを見てはしゃいでいる。
「雪~。見たかった~。」
僕達が王都にいたとき、ほんの少しだけ雪がちらついたことがある。ひらひら舞う白い雪は、手の上ですぐ解けてしまったけど、楽しかったのをマーリエも覚えてるんだ。
『そんなこと言っていられないくらい、降って来てるのよ。そのうち出かけられなくなっちゃいそう。』
王都は寒いのか、フワフワしたショールを羽織った姉様が、ちょっと憂鬱そうに言った。
『このままだとお茶会も行けなくなっちゃいそうよ。』
「あら、冬場は、王都ではほとんどお茶会はないわよ」
クスクスと母様が笑った。
『はぁ?』
「雪が多いのにお出かけしないでしょ。」
『か、母様。それで王都に残っていていいっておっしゃったの?』
「王都に残りたいって言ったのはアリサでしょう?」
『うう‥‥。』
姉様が悔しそうだ。
「叔父様は、雪の中、屋敷に通ってくれてるんですよね。ありがとうございます。」
兄様が、叔父様に言う。
『こうして皆の顔を見るのが楽しみだからね。問題ないよ。』
叔父様はニコニコ微笑んでいた。
軽く談笑しながら朝食を終えた後は、メインは父様と叔父様のお仕事関係の話。僕たちは席を立って部屋に戻っていてもいいって言われているけど、
そのまま一緒に話を聞いている。
「王都近辺は魔獣がまた増えているのか。」
『辺境の程ではないですけどね。王都の人達には脅威なようですよ。』
エルストベルクの周辺は魔獣が多いから、叔父様は、「ちょっと増えて来たな」と思う位の状態に見えても、王都の人達は、かなり怯えているらしい。
スタンビートの脅威の記憶もまだ冷めてないから、余計に、不安が広がっているようだ。
『大市で来ていた商人が王都を出た後でよかったですけどね。』
大市のために各地から来ていた商人達は、情報に敏感だからか、大市が終わったら、さっさと、冒険者を護衛に雇って、王都を後にしていたようだ。
雪が本格的に降る前にというのもあったのかもしれない。
「念のため、騎士を向かわそう」
僕達がエルストベルクに戻ってくる時に、護衛で同行していた騎士さん達を、王都に戻す話をしていた。
『エルストベルクを護っていた方がいいのでは。こちらの屋敷の警護は問題なさそうですが。』
「エルストベルクは問題ない。積雪が酷くなる前に移動させる。」
父様はメモを書いて、侍従に手渡した。ちょっと室内に緊張が走る。叔父様も真剣な顔だ。
「マーカス。アリサを頼む。」
『承知しました。』
叔父様が頷いた。姉様が、何かギョットした様子でキョロキョロと父様と叔父様の間で目線を彷徨わせてる。
『え?王都危ないの?え、どうしよう。』
「アリサ、念のためよ。いざという時慌てないために準備しているの。しゃんとなさい。」
母様は、少し厳しい声で、姉様に言った。姉様は小さい声で、「わかりました。」といって頷いた。
王都、大丈夫なの?
ちょっと心配になったので、いざと言う時のためにもダンジョン鉄道の開発を進めよう。列車は、座席まで、きちんと出来上がっていた。
実験で、沢山走らせたかったらしくて、一時間位に出発するくらいに、本数が出来上がってる。誰もお客さんがいない状態で、既に毎時間エルストベルクから王都行きの列車が出発していて、王都から来る列車も到着もしてきているんだ。凄くない?
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