自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第5章

第174話 騒がしい人々

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「ソーマ、あっちにリボンのお店があるよ。お土産にいいかもしれない。」

兄様が、指差した方向を見ると、色とりどりのリボンらしき物を吊るして飾っているお店があった。
近くに行ってみて見ると、艶のあるリボンだとか、いくつもの色の糸を織り込んだリボンとか色々売られていた。
姉様やマーリエが喜びそうだな。
ふと、出がけの姉様の表情を思い出す。
‥‥買って帰って渡したとき、喜んでくれるだろうか‥‥。

「ソーマ、どうしたの?」

僕が一つのリボンを手に考えていると、兄様が覗き込んで来た。

「あ、えーっと‥‥。」
「ああ、綺麗な青い色のリボンだね。」

僕がなんて言おうか考えていると、兄様が僕が手にしたリボンを見て微笑んだ。

「ミラ嬢に似合いそうだ‥‥。」

ボソリと口にする。
僕ははっとして、リボンに目を落とした。そのリボンは水色と青の糸で織られていて、青が丁度ミラ嬢の瞳の色に近い気がする。

「兄様!これ、ミラ嬢にプレゼントする?」
「ソーマが気に入ったのではないのかい。」
「見てただけなので。この青、ミラ嬢の瞳の色に似てるよね。」

僕が言うと兄様はちょっと照れたような顔をした。
そして、そのリボンをお買い上げ。他にも母様は姉様、マーリエのお土産用のリボンを買った。それとプティに似合いそうなリボンもいくつか選んだんだ。

母様達のドレスの布とかに良さそうな物を見つけたいな思ったんだけど、ドレス必要な長さとか、実はよくわかっていなかった。
それならと、撥水性があって軽い魔獣の革で、雨の日用のコート生地を選ぶ。魔獣の革だと、ある程度魔力を保持できるから、魔法付与もできるかもしれない。
物理耐性や魔法耐性がついた外套をプレゼントするのもいいな。

色々見ていたらだんだん楽しくなってきた。

キョロキョロと見ていたら、聞き覚えが有る声がした。

「アルベルト様~。あのランプ素敵~。」
「うん綺麗だね。レーナの寮の部屋に置けそうかい。」
「いいかもぉ~。でもぉ~あっちも素敵~。」

キャッキャという雰囲気。見ると、ピンクツインテールの令嬢が、紺色の髪の男性に引っ付いていた。

「レーナさん!婚約者がいる男性にべたべたすべきではないですわ!」
「そうですわ!ペトラ様の言う通りですわ!」

ラルフ君達と行った、見習い冒険者ツアーの時の先輩冒険者の面々。イーチ王子とオリーヴィアさんの姿は見えない。

「ペトラ。レーナは、学園に編入したばかりで不慣れなんだ。それに聖女候補だ。親切にしないと。」
「そうです~。未来の聖女ですから~。」
「聖女候補が聖女になるとは限りませんわ!」
「なんですって?」
「こんなところで、口論はよさないか。」

ピンクツインテールのレーナさんと、ペトラさんが主に言い争いをしていて、フィリーネさんがペトラさんに加勢。
アルベルトさんは、ピンクツインテールの味方? 
ヘルマンさんは、展示品の方に興味があるらしい。ファビアンさんは、なんかオロオロしている。

「私は近い内に聖女に認められるのよ!」
「あら、いつかしら~?」

言い争うのを見ていると、兄様が僕の手を引いて、別の方向に促した。

「騒がしいから、あっちに行こうね。」
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