自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第4章

第165話 ダンジョン潰し

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プティは、ダンジョンに同情?しているみたいだけど、スタンビートの被害が甚大だから、これで何とかなるなら、やった方がいいだろう。

魔力に、まだ余裕があったので、王都近くのダンジョンでも同じようにやっておいた。
翌日、魔力が回復していたので、近いダンジョンで「魔獣の吐き出し」が始まっているところを選んで、また実行した。
4つ目のダンジョンで処理が終わった時、突然アナウンスの用な声が聞こえて来た。

ーーーーダンジョンコアの疲弊により、機能が著しく低下しました。ダンジョンの制御権が移動します。受けますか?(Yes or No)

は?

「プティ、何か言った?状態異常耐性さんとか」
(何もいってないにゃ)

ーーーーダンジョンの制御権が移動します。受けますか?(Yes or No)

アナウンスが繰り返される。えーい。

「Yes」

思い切って、「Yes」を選択した途端、力が一気に、僕の中に流れ込んで来たのがわかった。

「あ、これ、最初の永久循環のダンジョンか。」

制御権という物を手にしたからか、わかる。ダンジョンコアは、アップデート前の魔獣が居なくならないから吐き出しを続け、エネルギーを消費し続ける上に、前の魔獣の魔力が毒のようになって、力が弱まっていったんだ。そして、先ほど、限界がきた。

ダンジョンコアが機能低下したから、魔獣の吐き出しが止まった。
でも魔獣の吐き出しが出来ずに少しずつ少しずつ機能低下が進んで行っている。

ちょっと様子を見に行ってみることにした。

ダンジョン最下層にゲートを開く。制御権があるからか、楽にゲートを開く事ができた。ダンジョンも持ち家みたいな感覚だ。
ゲートをくぐり抜けると、淀んだ空気が漂っていた。

「うわ、なんだこれ。」
(ダンジョンが死にかけてるニャ)

ダンジョンコアは罅が入っているところを中心に白く濁っている。
周囲に満ちている魔力に、毒のような物が含まれているようで息苦しい。
フロアの片隅に、乾涸びたような、小さな生き物が蹲っていた。
一瞬死んでいるのかと思ったけど、ぷるぷると小さく震えている。
なんか、やせ細った狐?でもしっぽが沢山ある。

「生きてるか?どうしたんだ?」
「‥おまいがー、おまいが、やったコン‥‥。」

狐がしゃべった。ぷるぷる震えながら、ゆっくりとこちらを振り向いた。
じっと見てみたら、なんとなくわかった。

「あ、ダンジョンマスター‥‥。」
「元!コン! おまいに制御権を奪われたコン!」

ふらふらしながら、狐は起き上がり、僕を睨みつけた。

「ごめんね。スタンビートを止めないと、僕達がこまっちゃうんだよ。」

僕をじっと睨みつけていた狐は、あきらめたように再び蹲った。

「‥‥もう‥‥このダンジョンはおしまいだコン。もうすぐダンジョンが死ぬコン。」
「‥‥。」

どうしたらいいんだろう。この狐がこのまま死んでしまうのは何だか可哀想なんだけど、解決方法が思いつかない。

このままいくとダンジョンの機能も近いうちに完全に停止する。
考え込んでいたら、再びアナウンスが聞こえて来た。

ーーーーダンジョンコアの疲弊により、機能が著しく低下しました。ダンジョンの制御権が移動します。受けますか?(Yes or No)

「あ、また?」
別のだとすると、昨日、永久巡回させたもう一つのダンジョンかもしれない。
ーーーーダンジョンの制御権が移動します。受けますか?(Yes or No)

「Yes」

「No」を選択したところで、ダンジョンの疲弊は変わらなそうなので「Yes」を選択する。
また、ダンジョンマスターに恨まれるだろうけどね。

また、力が一気に入ってきたのがわかった。やっぱり、王都近くのダンジョンのようだ。
「ごめんね、向こうにも行ってくるね?」
「コン?」

狐がちらりと目を開けてこちらを見た。僕は、ゲートを開けて、もう一つのダンジョンに向った。
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