自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第4章

第163話 救援後

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父様が到着して、村に群がる魔獣を、竜巻の魔法で吹き飛ばした頃、僕は気を失ってしまったらしい。
気がついたら、父様と一緒に馬の背に乗せられていた。
父様が吹き飛ばしたのは、門付近に群がる魔獣だけだったけれど、魔獣の勢いが左右に散っていったので、その後、辺境伯軍が加わったの村の防衛は容易かったそうだ。

叔父様が王家を含む各家に連絡をしてくれたので、次々に援軍が到着したんだって。
朝になると魔獣は完全に霧散していて、僕たちは帰路につく事ができたようだ。

帰ってから僕はお説教された。飛び出していかなかったのに、無理したでしょうって怒られちゃった。

魔獣が霧散した後、村の被害を調査していた際に、宿の裏手に、魔法陣で強化された大きな魔寄せの呪石が有るのが発見されたそうだ。
プティの話では、魔獣が霧散した後ぐらいには、もう結界の効果は切れていたようだ。
そんな物が何時からあったのか、誰が置いたのかは、調査中なんだって。
後で、偵察の魔道具に映っているか確認しよう。

無事に全員王都に戻る事ができて、めでたしめでたしかと思ったけど、
あの後、あまり時間が立たないうちに、王都周辺のダンジョンでの「魔獣の入れ替え」がとうとう本格化したらしく、王都はほぼ封鎖状態になってしまった。
上がりかけていた物価が、一気に跳ね上がった。

備蓄していた品が本格的に大活躍する時期になった。
叔父様を通して、エルスト商会の倉庫に、不足している品を出して行く。エルスト商会直営の店舗や、提携店舗に行き渡るようになる。
せっせと準備をしていたので、エルスト商会と業務提携をしている店舗が王都に多数点在するようになった。

市場での価格が高騰している中、リーヌスさんの食堂を始め、エルスト商会と業務提携をしているお店は、なんとか、値上げを最小限にとどめていた。

今年の収穫物が、魔獣の影響でダメになったところは多いので、スタンビードが治まっても、品不足は続く見込みだそうだ。
なんとか、しのいでほしいな。


偵察の魔道具で、居なくなった御者を追ってみたら、なんと、僕たちより先に、あの村に入っていた。そして、数時間後に村を出ていた。
村の中の映像を確認すると、あの御者が、魔寄せの呪石を宿の裏に置いている映像が映っていた。
何か魔獣の革のような物に包んでいて、村の宿野裏で包みを開けて、ポンと落としていたので、魔獣の革のような包みは、魔寄せの力を遮る何かだったんだろう。
御者はその後、南の方にどんどんと逃げて行き、南の偵察の魔道具の圏外に出てしまった。

顔とかは映像に映っているので、調査を進めてくれているらしいけれど
狙われていたとしたら、第三王子ではないかとのことだった。

第一印象は最悪だったイーチ王子だけど、その後、色々危機に瀕した際に、王子らしいリーダーシップを発揮してくれたので、大分印象が変わった。
オリーヴィアさんとも仲良くやっているようだ。

狙われている可能性があるということで、今は学園も休んで、王宮にいるんだって。

学園長には、見習い冒険者育成サポートに、授業単位目的の学生冒険者を寄越すのはやめて欲しい、と、ラルフ君達の家と連名で抗議した。
学園長自ら、屋敷まで謝りに来てくれたので、きっと改善してくれると思う。

ギルバート君は、魔獣に飛びかかられた時に無傷だったことから、腕輪の効果に気がついたようで、後日、お父さんのヴィルヘルムさんと一緒に商会にやってきた。

ヴィルヘルムさんは相変わらず魔獣討伐であちこち飛び回っていて忙しいようだったけど、ギルバート君とは、よく話すようになったそうだ。

商会に来たとき、丁度、プティちゃん双六の改訂版が入荷したところだったので、嬉しそうに買って帰って行った。

ラルフ君達は、宿では結局、ギュンター君とあまり話はできなかったみたいだけど、その後、一緒にクロケーパンを食べに行ったりしているそうだ。

色々な事が、丸く治まりつつあるのはよかったんだけど、「魔獣の入れ替え」が気がかりなんだよね。
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