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第4章
第162話 祈り
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いや、正確な結界でなくても、魔獣を邪魔するとか、何か協力できることがあるかもしれない。
僕は、翠の腕輪と一緒に、身に付けていたプティマークの腕輪を、はずして手に握りしめた。
そしてインゴさんを見ていう。
「わかったよ。僕、お祈りするね。皆無事でいるように‥‥。」
インゴさんが少し口角を上げ、頷いたので、僕はプティの腕輪を手にしたまま両手を組んで、目を閉じた。
(プティお願い。皆を守って。)
(にゃーん)
プティの呼応する声と同時に、門の方に向かっている彼らが、強化されたのが分かった。
同時に何か押し寄せてくる大量の魔力。それが漏れ出てきて、彼らとぶつかる。
多分、亀裂から出て来た魔獣と対峙しているところなんだろう。
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。
(神力上がるとまだ、何かできる?)
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。魔力圧をかけられるにゃ。
(じゃあ、お願い)
(にゃーん)
魔獣を押し返すように魔力の圧をじわじわと駆けて行く。魔獣の勢いが少し鈍ったような気がする。亀裂から漏れ出てくる頻度も下がった。
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。
(まだ他に何かできる?)
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。ヒント!魔獣がむかってるところがあるにゃ。
(またヒント!? 魔獣が向ってるところってなに?)
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。魔獣が向っている方向を見るニャ。
(方向?)
意識を門の付近の魔獣に向ける。方角は‥‥こっち? 僕たちの居る方向。宿の更に向こう? 背後に意識を向けた途端、ぞくっとする禍々しい存在感を感じた。
何かが、後方に存在している。
何?
ーーーー魔獣が寄ってくるにゃ!
魔寄せ? 魔寄せの呪石がある。しかも、あのブローチより遥かに強い力のもの。
そんな物が、村の中にあったなら、魔獣が押し寄せてくるのも頷ける。でもいつから? どうして?
いや、これをなんとかしないといけない。
凄いエネルギーを感じる。存在感がこれだけ強いなら、位置を把握して結界で包めるかもしれない。
ぐっと、組み合わせた手に力がこもった。
(プティ。お願い。力を貸して)
祈りを込める。
ーーーー神力が上がったにゃ。お手伝いするにゃ。
(にゃーん)
プティの声が聞こえた。目標の場所に、注意深く結界を展開する。範囲は、出来るだけ小さめ。目標物の情報から網のように広げ、包むようにしながら段々範囲を狭くしていった。
結界の網が呪石を覆うと、門に集中していた魔獣の勢いが少しばらけて来た。押し返すのも少しだけ楽になる。
もう少し、もう少し。
魔獣の圧を押し返す事に集中していたら、魔獣からの圧が突然途切れた。
凄い力が竜巻のように魔獣を吹き飛ばしたようだ。その魔力は覚えている。
「‥‥ああ、父様が来た‥‥。」
僕は、翠の腕輪と一緒に、身に付けていたプティマークの腕輪を、はずして手に握りしめた。
そしてインゴさんを見ていう。
「わかったよ。僕、お祈りするね。皆無事でいるように‥‥。」
インゴさんが少し口角を上げ、頷いたので、僕はプティの腕輪を手にしたまま両手を組んで、目を閉じた。
(プティお願い。皆を守って。)
(にゃーん)
プティの呼応する声と同時に、門の方に向かっている彼らが、強化されたのが分かった。
同時に何か押し寄せてくる大量の魔力。それが漏れ出てきて、彼らとぶつかる。
多分、亀裂から出て来た魔獣と対峙しているところなんだろう。
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。
(神力上がるとまだ、何かできる?)
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。魔力圧をかけられるにゃ。
(じゃあ、お願い)
(にゃーん)
魔獣を押し返すように魔力の圧をじわじわと駆けて行く。魔獣の勢いが少し鈍ったような気がする。亀裂から漏れ出てくる頻度も下がった。
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。
(まだ他に何かできる?)
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。ヒント!魔獣がむかってるところがあるにゃ。
(またヒント!? 魔獣が向ってるところってなに?)
ーーーー祈りで神力があがったにゃ。魔獣が向っている方向を見るニャ。
(方向?)
意識を門の付近の魔獣に向ける。方角は‥‥こっち? 僕たちの居る方向。宿の更に向こう? 背後に意識を向けた途端、ぞくっとする禍々しい存在感を感じた。
何かが、後方に存在している。
何?
ーーーー魔獣が寄ってくるにゃ!
魔寄せ? 魔寄せの呪石がある。しかも、あのブローチより遥かに強い力のもの。
そんな物が、村の中にあったなら、魔獣が押し寄せてくるのも頷ける。でもいつから? どうして?
いや、これをなんとかしないといけない。
凄いエネルギーを感じる。存在感がこれだけ強いなら、位置を把握して結界で包めるかもしれない。
ぐっと、組み合わせた手に力がこもった。
(プティ。お願い。力を貸して)
祈りを込める。
ーーーー神力が上がったにゃ。お手伝いするにゃ。
(にゃーん)
プティの声が聞こえた。目標の場所に、注意深く結界を展開する。範囲は、出来るだけ小さめ。目標物の情報から網のように広げ、包むようにしながら段々範囲を狭くしていった。
結界の網が呪石を覆うと、門に集中していた魔獣の勢いが少しばらけて来た。押し返すのも少しだけ楽になる。
もう少し、もう少し。
魔獣の圧を押し返す事に集中していたら、魔獣からの圧が突然途切れた。
凄い力が竜巻のように魔獣を吹き飛ばしたようだ。その魔力は覚えている。
「‥‥ああ、父様が来た‥‥。」
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