自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第4章

第158話 救援要請

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部屋割り解決しそうです、と申し出て、1部屋分のキーをもらった。

「坊ちゃん。俺は床で寝ます。」
「インゴさん、何言ってんの?」

インゴさんの申し出に、ちょっとビックリ。
部屋の左右の壁にそれぞれ面した形で配置されているベッド。狭くはないけれど‥‥。

「ちょっとベッド動かしてみていい?」

僕は、マジック財布に部屋のベッドをしまった。急に広くなる部屋。ちょっと邪魔なので、机と椅子もしまっちゃう。
そして、窓に向って縦方向に並んでいたベッドを、横方向に並べてみる。ギリギリ入るし、足下側に狭いけど通路も造れる。
そして、もう一個、ベッドを出した。
縦だと二つしか入らなかったベッドが、横だと三つ入った。まあ、机と椅子は、しまったままだけど。
部屋にぎっしりとならんだベッドを見て、リヒャルトさんとインゴさんは呆れた様子だ。

「坊ちゃん、ベッド迄、持ち歩いているんですか?」
「備えあれば憂いなしでしょう。あ、設置できる事分かったから一旦しまっちゃうね。」

最後に出したベッドをしまい。スペースを見て、もう一つベッドをしまった。
そして、基地局の魔道具と通信の魔道具を取り出した。

「坊ちゃん‥‥。それは‥‥あれ、じゃないですか。」
「そう、あれ。」

起動音とか静かな宿では響くかもしれないから、消音の魔法をかけてから、基地局の魔道具を起動する。
ちゃんと電波塔に接続できたらしくて、全部のランプが点灯した。

「連絡しないと心配してるでしょう。」
「‥‥まあ、そうですよね。」

通信の魔道具を起動して、父様宛にかけた。日が暮れても連絡がなく帰ってこないのでめちゃくちゃ心配されていた。
捜索隊の準備がされていたらしい。

僕は、事情を話した。まあ、正直に起きた事を説明した。
イーチ王子とオリーヴィアさんの争いに巻き込まれて、結果的に王都の結界域外に来てしまった事を伝えると、通話機の向こう側の父様の声が、冷え冷えとしてきたのがわかった。

『あの小僧ども‥‥。わかった、迎えに行く。村の名前は?』
「サキド村って名前だった。」
『サキド村‥‥。遠いな、そんなところ迄連れて行くとは‥‥。すぐ行く‥‥が、少しだけ時間がかかる。待てるかい?』
「え、今から来るの?もう日が暮れて危ないんじゃない?」
『問題ない。すぐ行くからね!』

そう言って父様は通話を切ってしまった。大丈夫かな。

「‥ベッド必要なかったかも。」
「旦那様が今からこちらに向ってきてくださるということですか。それって全員を王都に送って行けるんですかね。」
「‥‥違うかも。」

父様が、今日の話を聞いて、王子達まで全員を送り届ける手配をするかは疑問だ。どうしよう。
他からも迎えがくればいいのかな。

叔父様宛にコールをする。叔父様にも心配をかけてしまったようだ。謝って事情を説明して、他の人のお迎えについて父様に確認してもらって必要なら各家のご家族にも伝えて欲しいとお願いした。
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