自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第4章

第153話 サポートとは‥‥

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木陰に敷物を敷く。少し地面が湿っているので、油をしみ込ませて防水効果をつけた布をしいてから、その上に、ラグを敷いた。
そこで、採取した草を並べて、同じ種類に分類して、10束ずつ紐で縛っていく。
しばらくしたらラルフ君達が、こちらに向って駆けて来た。

「うわ、プロだ。プロがいるよ。」
「お店じゃん。」

紐で縛った薬草を種類毎に綺麗に山積みにしていると、確かに行商の人っぽいかも。紐で縛るのは、インゴさんが一番上手だ。
次がリヒャルトさん。僕は、力が足りないらしくて、ゆるゆるになっちゃう事が多くて、インゴさんがチェックして時々縛り直してくれていた。

「ラルフ君達も採取できた。ここに置いて。分類しようよ。」
「あ、うん。」

二人は背負っている布袋をラグの上に降ろした。中に薬草が詰まっている。

「沢山採れたね。あ、黄ニセイヤシ発見。」
「あ、気をつけてたのに‥‥。」
「でも、大体は大丈夫そうじゃん。あ、縛った奴しまっておくね。」

ラルフ君達が座るスペースを作るのに、場所をあけるため、紐で縛った薬草をマジック財布に放り込んで行く。

「それ、マジックバック?」
「うん、市場で偶然掘り出し物を見つけて。」
「いいなぁ。でも目立つとまずいから、こっちにも入れておこうよ。」

ロルフ君は、一度空にした布袋に紐で縛った薬草を入れて始めた。ラルフ君も同じように、布袋にいれていく。
一度ちらりと周囲を見回し、近くに僕たちだけだという事を確認してから、ラルフ君がぼそりと行った。

「マジックバック持っているの知られて絡まれたり、沢山採取できたのを知られて妨害されたり取りあげられたりしたくないじゃん。こっちの袋には『そこそこ』入れておくのがいいと思う。」
「そうそう、やや多めくらいにしておこうよ。」

白イヤシ草は依頼量の3倍。赤ダミ草は依頼量の2倍を布袋にいれて、残りは僕のマジック財布の中。
依頼にない、青シギ草は僕が持ち帰るとして、白イヤシ草と赤ダミ草は全部渡すと言ったんだけど、ラルフ君達に反対された。採取量勝負に勝つ程度でいいって。

「正直さぁ、サポートの先輩達いらないんだけど。」
「ほんとそれな。」

離れた場所に来て、本音が出るラルフ君達。念のため、声が流れて行かないように風魔法で壁を作っておこう。
僕は、マジック財布から、お茶を出して、配った。

「ありがとう。はー、やっとノンビリした気分になった。」

ラグに足を投げ出す用に腰を下ろして、お茶を一口二口飲んで、空を見上げるラルフ君。

「ごろ寝したいけど、さっきからチラッチラッとこっちを見てるんだよね。」

ロルフ君はあぐらをかいてお茶を飲んでいる。
オリーヴィアさん達が、時々こちらを見ているのがわかる。それだけでなく、ギュンター君達もこちらをチラチラみているし、なんかピンクツインテールも、ブンと振り向くたびにツインテールが揺れている。

ギュンター君達も、こっちに呼ぼうかなと、手をあげかけたとき、王子達がギュンター君達を呼んだようだ。
王子達が居る木陰まで歩いていって、採取した薬草を見せている。

「‥‥なんというかさ。僕たち、あの人達の勝負の為に依頼受けてるんじゃないよね。」

お茶をこくんと飲み込んだ後、ロルフ君が言った。

「王都外の依頼請けたかったから来たけどさ、僕たち断った方が、勝負にならなくてよかったかもね。」

ラルフ君はそう言ってはーっと溜め息をついた。
遠くで、ピンクツインテールと、紺色頭の人が、仁王立ちになって、ギュンター君達に何か言っている。予想より採取で来ていなくて文句を言っているのかな。

「ギュンター君達が何を言われているか後で聞いておこう。内容によっては代わりにでも抗議を入れてもらうよ。」
「僕も学園長に文句言いにいく。」

学園長には、エミリア嬢の事件で協力したし、文句を言いに行けるはず。よくわからない授業で、関係ない見習い冒険者に迷惑かけないでって言うんだ。
かなり離れているのに、ピンクツインテールが、何か叫ぶように言っているのがわかる。
見ていると、ブンッとツインテールが揺れた。こっちを見て、いきなり駆け出して来た。
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