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第4章

第151話 御貴族様の課外活動

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ギルベルト君の腕輪をじっと見つめながら考えていると、ふと、ギルベルト君が僕に向かって言った。

「なんだよ。やっぱ子供っぽいとか思ってんのか。」
「え?」

そんな事思うわけないじゃん。
僕は、ぱっと自分の左腕を上げた。袖口からちらりと、翠色の腕輪を見せる。

「あ!」
「えへ、おそろ。」
「え、もしかして、それ流行ってたりする?」
「僕も欲しくなってきた!」

ガヤガヤと皆盛り上がる。ギルベルト君の表情も明るくなって来たのでよかったな、と思っていたら、
甲高い声が、響き渡った。

「キャー!イーチ様!その大剣素敵ですわぁ!!今日、その剣で魔獣をバッタバッタと斬り倒すのですねぇ!」
「ハハハ、まあな。」

ピンクツインテールが、イーチ王子の剣に歓声をあげている。馬車の中なのに、ぴょんぴょん跳ねそうな勢いだ。
イーチ王子もまんざらでなさそうな態度でいる。
周囲の二人も、うんうんと相づちを打っている。

「‥‥今日、薬草採り‥‥だね‥‥。」

ボソリとラルフ君。

「うん、薬草採り、頑張ろう。大丈夫。僕ら見習いが行くところは、魔獣もいないエリアなはずだから‥‥。」

ロルフ君も声を潜めながら言う。

平和な場所で薬草採りをするはずなのに、なんで大剣だろう。魔獣を倒すってどういうこと?って、いいたいよね。

「オリーヴィア様、素晴らしい弓をお持ちですのね。」
「ええ、我が領には良い弓師がいるの。」
「さすがですわ。」
「これで今日の依頼も成功間違いなしですね。」

オリーヴィアさんのところからも、話し声のトーンが強くなった。武器マウントか?

「今日の薬草採取楽しみだなぁ‥‥」
「薬草採取、だよね‥‥。」

ベルンハルト君とギルベルト君もぼそりぼそりと、不安げに言った。
見習い冒険者育成サポートなのに、見習い冒険者を不安にさせているよ。

その後も武器、武力自慢合戦みたいな状況が続き、ピリピリした中、馬車がゴトゴトと揺れながら進んで行った。
やっと馬車がとまったときには、見習い組は、気持ち的に疲れた様子だった。
馬車を降り立つと、早速チームに分けられる。

「おい、お前達、負けるなよ」
「貴方達の成果にかかっているのよ。早く始めなさい。」

馬車を降りると、草原が広がっていた。所々に木が生えていて少し先に小高い丘が見える。遠くの方に山もある。沢山の植物が生えているけれど、どれが目的の薬草なんだろう。
薬草について教えてくれるのかな、と先輩冒険者の方を向いたら、そんな言葉。

「あの、僕たち、初めてでどれが薬草かわからないんですけど。」

ラルフ君が、思い切った様子でオリーヴィアさんに言った。

「‥‥依頼書に書いてあるでしょう?」

オリーヴィアさんは、風で髪が乱れるのを気にしながら答えた。
点在している木のところに行っていたペトラさんとフィリーネさんが、手を振って声をあげている。

「オリーヴィア様、こちらの木陰なら、休めそうですよ。」
「あら‥‥、何もないところだけど、日焼けしないですみそうね。」
「オリーヴィア様、足下に御気をつけて。」

木の方に向って歩き出したオリーヴィアさん。オリーヴィアさんを気遣うファビアンさん。
ファビアンさんは、そのままオリーヴィアさんについて行くのかと思ったら、くるりと振り返って、懐から小冊子を出して、ラルフ君に手渡した。

「これ、薬草の特徴とか採取の仕方とかが詳しく書いてあるから。‥‥ごめんね。僕は護衛してないといけないけど、時々なら質問しに来てくれて大丈夫だから。‥‥ごめんね。」

ファビアンさんが小さい声でラルフ君に謝っていると、離れたところからオリーヴィアさんがファビアンさんを振り返って呼んでいた。

「ファビアン、敷物は貴方が持っているのよ。」
「は、はい。今行きます。」

もう一度「ごめんね。」といってファビアンさんは、オリーヴィアさんの方へ駆けていった。
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