自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第4章

第149話 もめ事の原因

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ラルフ君達見習い冒険者は、単独で王都周辺の薬草採りの依頼は受けられないんだけど、先輩冒険者のサポート付きなら依頼が受けられるということで、何組かの見習い冒険者と学生先輩冒険者で、これから薬草採りの依頼にでかけるんだって。
それで、何で僕まで参加、と思ったらファビアンさんが、続きを説明してくれた。

見習い冒険者の薬草採りの成果が、学園の成績に反映されるらしくて、イーチ王子のグループと、オリーヴィアさんのグループで、成績を競うような流れになったんだっそうだ。

さっきまで、見習い冒険者が奇数だったから担当分けで揉めていて、僕が現れたから偶数になったので、向こうが3人になってしまった。
だから、僕にも参加して欲しいっていうんだ。

いや、僕、そもそも見習い冒険者ではないんですけど。

「頼むよ!人数足らないと、どうしてもこっちが不利になっちゃうんだよ。」

ファビアンさんが、僕に頭を下げる。ファビアンさんは「ファビアン」とだけ名乗ってくれた。
腰に差している剣の柄の紋章は、たしか、クライン子爵家の物だ。ラルフ君達も冒険者活動をしているときは、家名は名乗らないらしいし、
冒険者活動中は家柄を気にしない、という建前なんだと思う。

でも、向こうは殿下だし、オリーヴィアさんも明らかに高位貴族で、ファビアンさんはかなり気を使ってる感じだ。
オリーヴィアさんは、名乗らなかったし、従うのが当たり前でしょって雰囲気なんだよね。
学園の成績とか自分たちで解決してよって思うんだけど、ラルフ君達をみたら、ものすごく不安そうな顔をしていて、心配になってしまう。
ラルフ君達だって、侯爵家なんだから、王子がいるとしても、上手に言えばお断りできそうだけどな。

王都の壁の外は、結界で魔獣が入れない領域に囲まれているらしい。
基本的には安全なんだけど、見習い冒険者は単独では、王都外の依頼を受けさせてもらえず、サポート付きで依頼を達成するとポイントが大きいらしい。
だからラルフ君達も、受けたい気持ちが強いんだけど、妙な争いに巻き込まれて戸惑っているんだって。

こそこそと小声で、ラルフ君が説明してくれたことによると、オリーヴィアさんは、ブランシュ侯爵令嬢で、実はイーチ王子の婚約者なんだそうだ。

ピンクツインテールはレーナさんっていうんだそうだ。集合してから誰かが言っているのを聞いたらしいんだけど平民で光属性魔法の素養が発覚して、聖女候補になって、学園に編入したんだって。
慣れない学園生活を送っているのを、イーチ王子が、何かと気にかけているそうだ。

「‥‥なんか、もめ事の原因だよねぇ」

ロルフ君ばボソッと言った。そう見えるよね。

イーチ王子のチームには、アルベルト・アーレンス伯爵令息とヘルマン・バンデラス伯爵令息がついている。
騎士団長令息と、魔法師団長令息らしい。
オリーヴィアさん側には、ファビアンさんの他に、フィリーネ・ベルガー子爵令嬢と、ペトラ・ホフマン伯爵令嬢。
身に付けている装備は、ほぼドレスみたいなワンピースに革の胸当てだけ。
パッと見、戦力的に負けてない?実は魔法の達人とかかもしれないけど。
女性が多いから、というより、装備的に形だけちょっと冒険者っぽくしてみましたって雰囲気なんだよね。
ファビアンさんだけは一応冒険者らしい装備をしているんだけど。

ラルフ君達が気になるし、ついて行ってみることにした。
勿論、リヒャルトさんとインゴさんも一緒だ。
別の先輩冒険者がついてサポート中の見習い冒険者だと思われたらしくて、ピンクツインテールに絡まれた。

「こっちにきませんかぁ。そのお二人だけでもぉ~」

リヒャルトさんとインゴさんを引き抜こうと、色々言ってくる。ピンクツインテールがイーチ王子に同意を求めていたけど王子は渋そうな顔をして頷かなかった。

良かったぁ。
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