自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第4章

第141話 市場歩き

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「行ってきます!」
思わずぴしっと敬礼をして、市場に向かった。

護衛のリヒャルトさんとインゴさんにしっかり挟まれた形で、市場を歩く。
以前見た時に比べて、街往く人の数はあまり変わらない気がするけど、出店が多い気がする。
小麦、野菜、豆、果物。凄く珍しそうなものだけ、見たらすぐ買って、それ以外は、市場を一周して一通り見てから、品が良さそうな物を選んで値段交渉をして買うことにした。
品を選んで、値段交渉もして、お金を払うのも僕がやっているのに、お店の人達は、微笑ましいという感じの目線で対応してくれる。
大きいお兄さん達についていって、「初めての買い物体験」をする子供、に見られているみたいだ。
買う量が多いのも余計に、「おつかい」感がでているみたい。
季節柄、果物が多い。ドライフルーツにしたりジャムにする事を考えながら買う。加工は商会の工房に頼まないとな。

買い占めはしないように気をつけていたけど、お店の人とお話していたら、売り切って今のうちに街を移動したいという人もそこそこ居た。
そういう場合は、品質を確認して値段交渉していく。

ターメリックを見つけてテンションが上がった。胡椒、クミン、カルダモン、コリアンダー、唐辛子は既に見つけてあるので、カレーが作れる!

スパイスを沢山買っているとリヒャルトさん達は「品不足の時用の買い物で、なぜそれをそんなに?」って不思議そうだったけど、それとこれとは別ですよ。
これで米もあったら‥‥、いや、こんなに各地から品が揃っている今なら、あるかもしれない‥‥。
買い物をしながら、市場の人に聞きまくったら、それらしいのが有ると聞いて、見せてもらった。
一つは大麦だったけど、次に見つけたのは、まぎれもなく米だった。それもジャポニカ米に近い。
聞いたら、エルストベルク領の近くが産地だった。野生で育った物を収穫してきたらしい。気候が近いならエルストベルクで栽培できるんじゃないのかな。
テンションが上がりすぎて、値段も聞かずに「ください」と言ってしまって、リヒャルトさんからつっこまれてしまった。

「値段交渉を忘れていますよ。」
「そうだった、そうだった。」

米が有れば、味噌や醤油も作れる? 買いながら妄想が広がってしまって、落ち着きがなくなったので、リヒャルトさんとインゴさんに心配されてしまった。

クールダウンするために、休憩することにした。そういえばお昼の時間に近い。
屋台で、串焼き肉でも買おうかなと思っていたら、本通りから一本奥の通りに、目立たないけど食堂らしい看板をみつけた。
古びた建物だ。まだお昼時間の少し前だからか、お客さんはいない。

「ここに入るんですか?」

インゴさんが不安顔。
入り口から奥の厨房の様子がちらりと見えるけど、女将さんっぽい、ちょっとふっくらした女性と、僕と同じくらいの年格好の男の子の姿が見えた。

「ちょっと家庭的な雰囲気あるから、よさそうだよ。それにメニューの文字が綺麗だし。」

入った事がないお店だと、メニューボードの文字が丁寧に書かれているお店は結果的に印象が良かった気がする。
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