自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第4章

第140話 任務

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叔父様は、羊皮紙をくるくると丸めたものを出して来て、それを広げた。王都近郊の地図らしい。
王都周辺の街道や村、他の領に行くルートとかが記載されている。いくつか渦巻きのマークがあった。

「このマークがダンジョンだよ。王都の南のダンジョンが一番近いけれど、ここは今はスタンビートの兆候がでていないけれど、
この南のダンジョンから少し離れた南西にあるダンジョンでは兆候が出始めているんだ。このダンジョンでスタンビートが発生するとこの街道が潰れる。それからこっちも‥‥。」

王都周辺に、規模の大小はあるけれど思ったよりダンジョンの数が多い。
叔父様はいくつかのダンジョンでスタンビートが発生した場合に影響を受ける交易ルートとかを、教えてくれた。

「‥‥もし、一斉にスタンビートが発生したりしたら‥‥。」
「王都に閉じ込められてしまうね。」
「え、まずいんじゃないの。『魔獣の入れ替え』の時期ってことはそうならないとは限らないんだよね。王都に入る商品が来なくなるとか、食料不足とかになったりしない?」

「そうだね‥‥。可能性はあるね。」

叔父様の落ち着いた様子からすると、エルスト商会では品不足とかの対策済みってことかな。

僕のストレージルームのストレージボックスは、未だに時間停止機能は搭載されていないんだけど、十倍以上は時間の経過が遅くなるようにはできるようになったんだ。
かなり広くなったし、冷凍と冷蔵もできるようになったので、食料品とか買いだめしておこうかな。
まあ、エルストベルク家の分は父様と叔父様が対策してくれているんだろうけれど、なんとなく。
マジック財布だけでもそこそこ容量があるし。

「今のうちに沢山買っちゃっていいと思う? 品不足になるからあまり買わない方がいい?」
「今はまだ流通が滞っているわけではないし、問題ないよ。気になった物は買っておきなさい。‥‥そうだね。お勉強にしようか。」

叔父様は、そういうと、ずしっと重そうな革袋を持って来て、僕に差し出してきた。

「え、まさか?」

革袋の口を少し開けて中をそおっと覗くと、金色の硬貨が何枚も見えた。
いいんですか?子供にこんな大金?

「ソーマのお財布は容量が大きいみたいだからね。お勉強の為に、色々買ってみなさい。ただし、お財布に詰め込んでいるところは人に見られないように。
屋敷に配送してもらってもいいんだからね。それを、毎日でなくていいから一ヶ月くらい続けてご覧。市場の商品の値段の変化もわかってくるだろうから。」

「あ、はあい。」

勉強、か。品不足に備えて何を準備したらいいか、考えて買うってことかな。
確実に品不足になるなら、その時に提供できる物が有れば役に立つということかな。
沢山買っておいて、うっかり腐らせたりとかも、しないように考えないといけないってことだよね。
何だか凄い任務を請け負ったような気持ちになってくる。
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