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第4章
第131話 潮の香り
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エルストベルク領との通信が上手くいったら、他領のエルスト商会の支店に広げるんだそうだ。
他に広げる場合、その経由地の電波塔をアクティベートしないといけないから、叔父様の計画は教えてもらっているんだ。
一般に公開するのは、王国内のネットワークが十分構築されてからになるから、もっと先になりそう。
公開してしまうと、自分の領を優先しろとか言ってくる貴族が絶対いるので、今は密かに準備を進めているんだって。
こちらでの試験はうまくいっているので、近いうちに出来上がった基地局の魔道具と通信魔道具を、エルストベルクまで、馬車で運ぶことになるだろう。
ついでに、騎士さんに渡す防御の腕輪も運んでもらいたい。
サンプルをいくつかつくって、製法を明確にしておけば、エルストベルクにある商会の本店で増産してもらえるはず。
防御の腕輪には、最初に魔力を流しておけば、物理耐性、魔法耐性、火炎耐性が働いて防御する仕組みなっているんだけど
訓練のときに、耐性がないほうがいい場合もあるかもしれないから、手動でオン、オフが可能なようにした。
あ、以前作った腕輪にいれた魅了耐性と混乱耐性も付与しておこう。毒耐性も入れられるかなぁ。
そして悪用されないように、魔力で使用者を固定するようにする。
念のため遠隔でもオンオフができるようにしておこうっと。
基地局の魔道具をエルストベルクに配達する馬車が出発しないうちにと思って、腕輪が出来上がってから急いで、エルスト商会に向った。
商会についたらすぐに叔父様に会えたので、早速腕輪の説明をしたら、なんだか叔父様の眉が、一寸困ったように下がった。
「ソーマ、エルストベルクの海はそんなに魔獣の活動が活発なのかい?」
「うん。クラーケンとかシーサーペントがうようよ」
「何時行ったの?」
「‥‥。」
現地に行ったのばれた!? でも、シーサーペントを見たときは、正確には、現地に行っていないよ。
「魔道具の映像で見たんだよ。実際にシーサーペントに遭遇したりはしていないよ。」
「‥‥そう‥‥。」
叔父様は、僕の頭にポンと手を置いたあと、顔を近づけた。
「‥‥潮の香りがするような気がする‥‥。」
「‥‥。」
「通話は、エルストベルクからしてきたんだよね?」
「‥‥うん‥‥。」
ふぅーっと溜め息をついて、叔父様は、ぽんぽんと僕の頭を撫でながら行った。
「危ない事はしてはいけないよ。それと何かあったらすぐ叔父様を呼ぶんだよ。」
「はぁい。」
「この通信の魔道具は、きちんと試験をして、増産をしてからでないと一般には公開はしない予定と言ったけど、もしも何か有ったときは気にせず使いなさい。」
「え、でも公開前に他に知られると、他の貴族に干渉されて困るんじゃ‥‥。」
「ソーマの方が大事だからね。この魔道具でなくても前の方法でもいいから。」
叔父様がいつになく、真剣な顔をしている。一人で遠くに行ったから心配させちゃったみたいだ。
「わかった。‥‥心配かけてごめんなさい。」
「うん。わかってくれてよかった。」
叔父様の目に微笑みが戻って来た。
「でも通信の実験をしてくれてありがとう。それと、この防御の腕輪も素晴らしいね。一度こちらでも試作をしてみてから、エルストベルクに送るようにするよ。」
「よろしくお願いします。それと、王都に居る騎士さん達にも渡したい」
僕がぺこりとお辞儀をすると、叔父様が頷いた。
他に広げる場合、その経由地の電波塔をアクティベートしないといけないから、叔父様の計画は教えてもらっているんだ。
一般に公開するのは、王国内のネットワークが十分構築されてからになるから、もっと先になりそう。
公開してしまうと、自分の領を優先しろとか言ってくる貴族が絶対いるので、今は密かに準備を進めているんだって。
こちらでの試験はうまくいっているので、近いうちに出来上がった基地局の魔道具と通信魔道具を、エルストベルクまで、馬車で運ぶことになるだろう。
ついでに、騎士さんに渡す防御の腕輪も運んでもらいたい。
サンプルをいくつかつくって、製法を明確にしておけば、エルストベルクにある商会の本店で増産してもらえるはず。
防御の腕輪には、最初に魔力を流しておけば、物理耐性、魔法耐性、火炎耐性が働いて防御する仕組みなっているんだけど
訓練のときに、耐性がないほうがいい場合もあるかもしれないから、手動でオン、オフが可能なようにした。
あ、以前作った腕輪にいれた魅了耐性と混乱耐性も付与しておこう。毒耐性も入れられるかなぁ。
そして悪用されないように、魔力で使用者を固定するようにする。
念のため遠隔でもオンオフができるようにしておこうっと。
基地局の魔道具をエルストベルクに配達する馬車が出発しないうちにと思って、腕輪が出来上がってから急いで、エルスト商会に向った。
商会についたらすぐに叔父様に会えたので、早速腕輪の説明をしたら、なんだか叔父様の眉が、一寸困ったように下がった。
「ソーマ、エルストベルクの海はそんなに魔獣の活動が活発なのかい?」
「うん。クラーケンとかシーサーペントがうようよ」
「何時行ったの?」
「‥‥。」
現地に行ったのばれた!? でも、シーサーペントを見たときは、正確には、現地に行っていないよ。
「魔道具の映像で見たんだよ。実際にシーサーペントに遭遇したりはしていないよ。」
「‥‥そう‥‥。」
叔父様は、僕の頭にポンと手を置いたあと、顔を近づけた。
「‥‥潮の香りがするような気がする‥‥。」
「‥‥。」
「通話は、エルストベルクからしてきたんだよね?」
「‥‥うん‥‥。」
ふぅーっと溜め息をついて、叔父様は、ぽんぽんと僕の頭を撫でながら行った。
「危ない事はしてはいけないよ。それと何かあったらすぐ叔父様を呼ぶんだよ。」
「はぁい。」
「この通信の魔道具は、きちんと試験をして、増産をしてからでないと一般には公開はしない予定と言ったけど、もしも何か有ったときは気にせず使いなさい。」
「え、でも公開前に他に知られると、他の貴族に干渉されて困るんじゃ‥‥。」
「ソーマの方が大事だからね。この魔道具でなくても前の方法でもいいから。」
叔父様がいつになく、真剣な顔をしている。一人で遠くに行ったから心配させちゃったみたいだ。
「わかった。‥‥心配かけてごめんなさい。」
「うん。わかってくれてよかった。」
叔父様の目に微笑みが戻って来た。
「でも通信の実験をしてくれてありがとう。それと、この防御の腕輪も素晴らしいね。一度こちらでも試作をしてみてから、エルストベルクに送るようにするよ。」
「よろしくお願いします。それと、王都に居る騎士さん達にも渡したい」
僕がぺこりとお辞儀をすると、叔父様が頷いた。
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