自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第3章

第123話 潜入捜査?

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『村長、何か?』
『今何か動いた気が。気のせいか‥‥』
『虫かなんかじゃないっすかね』

村長と呼ばれた灰色の髪の男に話しかけた人物は、御者台にいた男だった。
僕はその場にいるわけではないけど凄くドキドキする。偵察君を動かしたらまた感づかれるかもしれない。
この偵察君はこのままにしておいて、部屋の外にゲートを開いて、新しい偵察君を送り込もう。

いくつかの部屋を見て回ると大根役者の破落戸二人と、他に何人かが酒を飲んでわいわいとしているのが見えた。
その部屋の奥にまた扉があった。

偵察君に隠蔽の魔法がかかっていることを、2回くらい確認しながら、奥の扉の方に向って、天井近くを移動させる。こちらの声は聞こえないのはわかっているのに、思わず息を潜めてしまう。

「にゃーん」

突然、隣のプティの声がして、びくんと跳ね上がってしまった。

(颯真にゃん、びびりすぎにゃ)
「プティ、脅かさないでよ。なに?どうしたの?」
(ビビってるから声かけてみたにゃ)
「ひどぅい」
(落ち着くニャ。)
「う、うん‥‥。」

偵察君が見つかったとしても、すぐに何だかは分からないはずだ。落ち着いてやろう。
偵察君が部屋の奥の扉までたどり着いた。扉の向こう側辺りの座標にゲートを開く。ゲートの向こうに移動しようとしたときに、会話が聞こえて来た。

『”業者”が来るのって明日だっけか?』
『ああ、そろそろだな』

『貴族の坊ちゃん、高く売れるかね』
『奴隷になったら貴族とか関係ないだろ。”元貴族”って肩書きで多少上乗せできるかどうかだな』

奴隷商人!?「売る」とか言っていたからそういうことなのか。
明日来るってこと? 急がなきゃ。

偵察君をゲートで移動させようとしていたけど、他の情報も入るかもしれないから、この偵察君はここに待機させて、別の偵察君を扉の向こう側に送り込もう。

奥の扉の向こう側には廊下があって、廊下の隅の扉の向こう側に狭い階段があった。薄暗くて見え辛い。
階段の下にある扉の向こうから、何かうめき声のような声が聞こえた。
声が聞こえたあたりにゲートを開いて、偵察君で中の様子を見ようとしたら真っ暗だった。地下室だから窓もなく、照明も一切ついていないようだ。

真っ暗のところを見るとしたら赤外線カメラだろうか。

魔石を二つ用意して、一つは赤外線を照射するイメージで魔法陣を作成。もう一つは赤外線で照射された情報を詠み込む魔法陣を作成した。

光属性があるせいだろうか、曖昧なイメージを自動で補正してくれたような気がする。
出来上がった魔法陣魔石と、偵察君を合わせるて暗視機能付きの偵察君を作成した。
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