自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

文字の大きさ
上 下
120 / 466
第3章

第120話 リリリリリン

しおりを挟む
僕は検出した映像を、記録魔石に転写してストレージルームを一旦出た。
通話の魔道具の赤い魔石に魔力を通す。
リリリリリン、リリリリリンとコールする音が流れ、2コール目で、叔父様が出た。

『ソーマ? どうしたんだい?』
『叔父様、見て欲しい映像があるんだ。ギュンター君誘拐されたみたい』
『え? すぐそちらに向かうよ!』
『時間ないかもしれない。叔父様今どこ?一人?』
『商会の執務室だよ。一人でいるよ。』
『じゃあ、映像を送るよ』

通話の魔道具を経由して、通話の魔道具の腕輪の緑色の魔石にデータを転送する。

『送るって?? 今、腕輪の緑色の石が光ったよ。点滅している。』
『記録魔石の情報を転送してる。点滅が終わったら緑の魔石を取って再生用の魔道具で映像をできるはずだよ。その場で再生できるようにできればよかったんだけど。
まだ、そこまで作ってないんだ』

データ転送をしてみて初めて、その場で再生する手段がない事に気がついてしまった。
携帯画面みたいな物を作るか、壁とかに投影できるようにしたらいいかな。
急ぎなので、僕が見た内容を説明して詳しくは映像を見て欲しいと伝えた。

『‥‥それは‥場所はわかるかい?』
「市民街の北4番通りと西7番通りの交差したところから2つ先の路地に入ったところだよ。僕はこれからゾフィーを探してみる。」
『わかった。急いで作業室に行って、映像を確認するよ。追加情報が入ったら教えてくれるかい?』
「うん。また後で連絡するね」

僕は通話を切って、またストレージルームに戻った。
検索条件にゾフィーの姿と声を追加して
先ほどギュンター君が建物に連れていた時点以降で検索を開始した。

ストレージルームがシーンと静まり返る。検索の結果が終了するまで待ってみたけれど、何も出てこなかった。
まだあの建物の中にいるってこと?

位置情報を確認してから、扉の向こう側の座標を計算。ゲートを起動すると、直径3cm位の渦ができた。
極小魔道具の「偵察君」をぽいっと渦の中に放り込んでゲートを閉じる。
今の時間はまだ日が沈んでいないのに、扉の向こう側は暗い。それでもなるべく人の目につかないように、天井に近い高さに偵察君を飛ばして室内を見て回った。

扉に閉ざされているところは、また、扉の向こう側の座標にゲートを開いて移動させ、ぐるぐると見て回ってみたんだけど誰もいない。
ギュンター君がこの建物に連れてこられてから既に2日経っている。どこか別のところに連れて行かれてしまったんだろうか。

誰もいないのを確認してから光の魔法を発動させて室内を照らしてみた。
奥の部屋の隅に、靴が置いてあった。
色やデザインから見るにギュンター君の靴のような気がする。ギュンター君がお屋敷から出て来たときの服装と比較してみると、やっぱり一致するようだ。

ギュンター君はこの場所に連れてこられた後、また別の場所に移動させられたってことか。ゾフィーもかな。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

世界樹を暴走させたマッドサイエンティスト、死刑だけは嫌だとごねる!

アメノヒセカイ
ファンタジー
カクヨムにも掲載しております。 これは世界樹の花粉を浴びて老いることがなくなったラメッタと、捨て子として騎士団に拾われ生きてきたクレーエンが、一国の英雄となり、ともに生きると決めるまでの物語である! <語句> エアデ王国:クレーエン、ラメッタが住んでいた国。 バオム国:エアデ王国の従属国。魔王軍との前線を仕切る。資源がほとんどなく、魔王軍と戦うことでエアデ王国から支援を受けている。治安が悪い。 世界樹:人々に魔法を授けている。ラメッタが研究のために魔法薬をかけてから、魔法が大幅に弱体化してしまった。 ラメッタ:見た目は子供、中身は七十八才。老いることはない。魔法薬や魔道具の開発をする。己の好奇心を満たすためだけに世界樹に魔法薬をかけたとして死刑判決が出るのだが……。なお、魔王軍と戦うことで処刑が延期される約束を国王らとしている。 クレーエン:捨て子ゆえに騎士団に拾われて育てられたものの騎士団に正式に加入できず、しかしその強さゆえに騎士団の仕事を何度も手伝っていた。自身のことを強さから騎士団で面倒を見るしかない人間と考え、厄介者であると思っているが……。 バオム国の三姫:国王である父が前線に出ているため、三人で統治しているがほぼ機能していない。 長女ディーレ、次女ベリッヒ、三女チルカ。

世界を捨てる、5年前 〜虐げられた聖女と青年の手紙〜

ツルカ
恋愛
9歳の時に神殿に連れてこられた聖女は、家族から引き離され神に祈りを捧げて生きている。 孤独を抱えた聖女の元に、神への祈りの最中、一通の手紙が届く。不思議な男からの手紙。それは5年に渡る、彼女と彼の手紙のやり取りの始まり。 世界を超えて届く手紙は、別の世界からの手紙のようだ。 交わすやりとりの中で愛を育んでいき、そして男は言う。 必ず、助けに行くと。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

処理中です...