自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第3章

第109話 混乱中

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転写の操作をしていたら、部屋の扉をノックする音がした。
出ると、ラルフ君とロルフ君が立っていた。

「僕達はこれから父上と一緒に、お茶会開いていたハーン伯爵家と、ビアンカ嬢のシュナイダー伯爵家に謝罪に行ってくることになったよ。」
「そうなんだね‥‥。」

ラルフ君が僕の鼻をきゅっと指でつまんだ。

「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫だよ。僕らはあの場に乱入しちゃったけど、それだけだから。ギュンター君とももうパーティメンバーではないですって
説明してくるよ。」

ラルフ君達は既に冒険者ギルドに行って、パーティ脱退の手続きは済ませてるんだって。
まあ、確かに、冒険者パーティメンバーの責任をって言われる前に伝えておいた方がいいのかもね。

「状態異常の件で、念のため聖水を飲ませてもらったんだ。凄いね、聖水を常備しているなんて。状態異常の事は、調べるから、今は口外しないでって言われたよ。
ソーマ君も、他の人に言わないでね。シュナイダー伯爵令嬢とかにもだよ。」
「うん。分かった!」

来たときより、大分元気な様子で、ラルフ君達は去って行った。

それからまた、映像のチェック再開する。
ビアンカ嬢が、装備品を奪わせたって疑われた件から確認してみよう。時間帯を昨日から今日に絞り込んで、ゾフィーとギュンター君達が近くに居るのを条件に検索してみる。

検索結果の映像を16分割の早送りで一気に再生したら、それらしい映像が見つかった。
ゾフィーを3人組の男達が取り囲んでいて、ゾフィーが身に付けていたペンダントを掴んで、鎖を引きちぎった。

『金目の物持ってるじゃねえか!借金払えねえならこれをもらってくぜ!』
『いやぁ!やめてよぉ~!それおきにいりなのにぃ~かえしてぇ~』
『恨むなら、借金返せねえ兄貴を恨めよ!こっちの腕輪も利子位にはなるだろう。』
『やだぁ~』
『文句言うならてめえを売り飛ばすぞ!』

腕を掴んで、腕輪も無理矢理奪い取った。そこに遠くからギュンター君の声がした。

『何してる!!ゾフィーから離れろ!!』

ギュンター君が駆けてくる。後ろをラルフ君とロルフ君が走ってきている。

『チッ!』

3人組の一人がゾフィーを突き飛ばした。ゾフィーが地面に転ぶ。
ギュンター君がゾフィーに駆け寄り、助け起こそうとしている間に3人組は駆けて行く。
3人組。覆面してないけど、あの大根役者の破落戸3人組と同じ服装してるじゃん‥‥。

『ゾフィー大丈夫か?怪我は?』
『ギュンターさまぁ~!ペンダントとうでわを~とられちゃってぇ~』
『何だって!? 待てー!貴様ら!?』
『あ! ギュンターさまぁ!だめ!』

3人組を追いかけようとしたギュンターの腕を、ゾフィーが両手で掴んで止めた。

『ゾフイー?』
『だめよぅ~。おいかけちゃぁ~』
『何故だ! 奪われた物を取り返さないと!』
『でもぉ~』
『どうしたんだ、ゾフィー。まさか脅かされているのか?』

ゾフィーはモゴモゴとしている。ちらっちらっと、3人組が逃げて行った方を見てる。

『‥‥あのぅ~、あたしぃ~こわくってぇ~』
『やっぱり脅かされてるのか? ‥‥まさか! ビアンカか!?』
『え?ビアンカって? え、あのぅ~‥‥』

いや、ギュンター君、何で突然、ビアンカ嬢の名前が出てくるの?
ゾフィーもビアンカ嬢の名前を聞いてきょとんとした顔をしてる。ギュンター君が気にせず更に問いつめてる。

『ゾフィー、君の事は俺が守るから、怖がらずにはっきり言ってくれ。ビアンカに脅かされて、ペンダントを奪われたのか?』
『え~、あのぅ~。う~ん‥‥。うん‥‥。』

ゾフィーは挙動不審にキョロキョロと目を動かして何か考えている様子だったが、結局頷いた。

『やっぱり! ビアンカめ!!』

『ちょ、ちょっと、ギュンター君、それはちょっと考え過ぎじゃない?』

近くで聞いていたラルフ君が、困惑した様子で、ギュンター君に言った。

『そうだよ。それより早く追いかけないと‥‥』

ロルフ君は、3人組が駆けて行った方向を見ながら言う。

『何言っているんだ。ゾフィーがビアンカに取られたって言ってるんだぞ。そうだよな。ゾフィー!』
『う、うん‥‥』
『ほら見ろ!被害者が証言しているんだ。間違いない!』

ギュンター君の勢いに押されて、無理やり頷いているみたいに見えるんだけど‥‥。
ーーーー「混乱」状態にゃ。思考力が低下してるにゃ。ちょっとついてけにゃいにゃ。

ここで、プティ式鑑定。 見たまんまだけど、感想付きだね。
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