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第3章
第103話 それって冒険者活動?
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パンケーキを食べて少し元気になったラルフ君とロルフ君が、今日の出来事の事を話し始めた。
「ゾフィーが僕達のパーティに加わって、最初は楽しかったんだ。平民の生活の事も聞けるし、冒険者としての活動の事も聞けるし、見た目可愛いしね。」
「だから、ゾフィーを守ってあげたいって気持ちになってたんだけど、なんかだんだん、あれ?って思う事が有って‥‥。」
「そうそう。例えば荷物運びの依頼とか、ゾフィーは力がないんだから、力持ちが持ってあげるのがパーティってもんだって、ギュンター君が言い出して、
ゾフィーの依頼分の荷物を、僕達二人が運んでたんだよね。」
「ギュンター君は?」
僕は思わず口を挟んでしまった。あの映像で見た光景のことか。あの女の子の分を持っていたのはラルフ君達だけだったんだ。
ラルフ君とロルフ君は、そろって首を横に振った。
「パーティリーダーだから、とっさの判断をするのに余裕があった方がいいとか言って。僕達3人分の荷物の割合も、ギュンター君がちょっと少ないくらいだったんだ。」
「えー‥‥。」
「それだけじゃなくて‥‥。僕ら見習い冒険者の報酬って凄く少ないんだ。報酬が少ないのは最初から承知だったから、それ自体はいいんだけどね。
経験を積むためって思ってたし‥‥。」
「でも、ギュンター君は報酬を全額ゾフィーに渡しちゃうんだ。僕たちの分も。」
「はぁ?」
え、荷物運びは手ぶらで、報酬だけ4人分もらうの?
「それはちょっとおかしいんじゃないかって言ったら、『ゾフィーの家は貧しいんだぞ。高々銅貨数枚の事で、セコいことを言うのか』ってギュンター君が‥‥。」
「『ぼうけんしゃパーティはぁ~、たすけぇあうものなのぉ~』ってゾフィーも言っていて」
ロルフ君の物まねが、かなり上手い。アリサ姉様が、紅茶を吹きそうになっていた。
「いや、それは冒険者活動ではなくて、ボランティアだろう。」
兄様が呆れたように言った。僕もそう思うよ。
「報酬の件、冒険者ギルドは知ってるの?何も言われなかった?」
「え、依頼達成時にカウンターのところで、ゾフィーに渡してたから、知ってるはずだけど。特に何も‥‥。」
「‥‥それは冒険者ギルドにも問題があるね。」
兄様曰く、見習い冒険者や新人冒険者は、パーティメンバーから不当な報酬の分配を受ける場合が結構あるから、
それらしい様子を見つけたら冒険者ギルドが確認して注意するものなんだって。
ギルド規則にも書いてあるそうだ。
冒険者パーティの中で、何かお金を貯めていてそういう方針の場合もあるかもしれないけど、何も聞かれなかったってことは、冒険者ギルドの職員は
スルーしちゃったんだね。専属の受付がついていたはずなのに
「‥‥、報酬とかの話も酷くてとても残念だと思うわ。うちの子が、そんな扱いを受けたら冒険者ギルドと伯爵家は潰れてるわね。‥‥今日の出来事のいきさつを聞きたいわ。」
母様が言った。うん、色々大変だったみたいだけど、今日の事を確認しないといけないよね。
「ゾフィーが僕達のパーティに加わって、最初は楽しかったんだ。平民の生活の事も聞けるし、冒険者としての活動の事も聞けるし、見た目可愛いしね。」
「だから、ゾフィーを守ってあげたいって気持ちになってたんだけど、なんかだんだん、あれ?って思う事が有って‥‥。」
「そうそう。例えば荷物運びの依頼とか、ゾフィーは力がないんだから、力持ちが持ってあげるのがパーティってもんだって、ギュンター君が言い出して、
ゾフィーの依頼分の荷物を、僕達二人が運んでたんだよね。」
「ギュンター君は?」
僕は思わず口を挟んでしまった。あの映像で見た光景のことか。あの女の子の分を持っていたのはラルフ君達だけだったんだ。
ラルフ君とロルフ君は、そろって首を横に振った。
「パーティリーダーだから、とっさの判断をするのに余裕があった方がいいとか言って。僕達3人分の荷物の割合も、ギュンター君がちょっと少ないくらいだったんだ。」
「えー‥‥。」
「それだけじゃなくて‥‥。僕ら見習い冒険者の報酬って凄く少ないんだ。報酬が少ないのは最初から承知だったから、それ自体はいいんだけどね。
経験を積むためって思ってたし‥‥。」
「でも、ギュンター君は報酬を全額ゾフィーに渡しちゃうんだ。僕たちの分も。」
「はぁ?」
え、荷物運びは手ぶらで、報酬だけ4人分もらうの?
「それはちょっとおかしいんじゃないかって言ったら、『ゾフィーの家は貧しいんだぞ。高々銅貨数枚の事で、セコいことを言うのか』ってギュンター君が‥‥。」
「『ぼうけんしゃパーティはぁ~、たすけぇあうものなのぉ~』ってゾフィーも言っていて」
ロルフ君の物まねが、かなり上手い。アリサ姉様が、紅茶を吹きそうになっていた。
「いや、それは冒険者活動ではなくて、ボランティアだろう。」
兄様が呆れたように言った。僕もそう思うよ。
「報酬の件、冒険者ギルドは知ってるの?何も言われなかった?」
「え、依頼達成時にカウンターのところで、ゾフィーに渡してたから、知ってるはずだけど。特に何も‥‥。」
「‥‥それは冒険者ギルドにも問題があるね。」
兄様曰く、見習い冒険者や新人冒険者は、パーティメンバーから不当な報酬の分配を受ける場合が結構あるから、
それらしい様子を見つけたら冒険者ギルドが確認して注意するものなんだって。
ギルド規則にも書いてあるそうだ。
冒険者パーティの中で、何かお金を貯めていてそういう方針の場合もあるかもしれないけど、何も聞かれなかったってことは、冒険者ギルドの職員は
スルーしちゃったんだね。専属の受付がついていたはずなのに
「‥‥、報酬とかの話も酷くてとても残念だと思うわ。うちの子が、そんな扱いを受けたら冒険者ギルドと伯爵家は潰れてるわね。‥‥今日の出来事のいきさつを聞きたいわ。」
母様が言った。うん、色々大変だったみたいだけど、今日の事を確認しないといけないよね。
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