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第3章
第98話 お魚も大事だね
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ラルフ君達の冒険者活動は、あまり報酬は高くないけど、経験と実績を詰めるので不満はないそうだ。
順調で何より、と思っていたんだけど、不穏な情報がもたらされた。
「ギュンター様が、平民の女の子に入れあげてるんですわ!」
屋敷に遊びにきたビアンカ嬢の表情がいつもより暗いかな、と思っていたら、出されたお茶を飲み終えてカップを置いてから、いきなりそんなことを言った。
「まあ、一体どういうことなの?」
アリサ姉様はびっくりして、今にも泣き出しそうなビアンカ嬢の背中に手をあてた。
「ギュンター様が、冒険者活動をしているパーティに加わった子なんですって。
服やアクセサリーをプレゼントしているようなのです。」
「まあ!それは本当ですの?」
アリサ姉様が一緒に憤っている。
‥‥冒険者パーティの女の子って、ラルフ君達の話題に出てた子の事かな。
「使用人からそのような噂が出ていると聞いて‥‥。」
「本人に直接聞いた方がいいんじゃないかしら。」
「そうね、聞いてみるわ」
アリサ姉様が、なだめて、新作のナッツ入りチョコレートを試食したりして、その日はなんとか元気になって帰って行ったビアンカ嬢だったけど
数日後、また泣きそうな顔でやって来た。
「贈っているのは、冒険者活動に必要な防具や装具なんですって。
なぜギュンター様が贈る必要があるのか聞いてみたんですけど、
平民でお金がないから十分な装備が買えないんだ、君にはそれを思いやる気持ちがないのか、と言われてしまって」
「それ、ギュンター様が買う理由の説明にはなっていないのではなくて?パーティメンバーは他にもいるのよね」
「ううっ‥‥」
アリサ姉様がそういうと、ビアンカ嬢は余計に涙ぐんでしまった。
うん‥‥。僕が見た見習い冒険者向けの依頼は配達とか、魔獣にも合わない王都内で採取できるような植物の採取依頼とかだったから
防具とか装具とかなくても、困らなそうな気がする。でも、それを今、ここで言ったらダメな気がするよ。
結構可愛い女の子だって言っていたからな‥‥。詳しく知っている訳じゃないし、黙ってよう。
ビアンカ嬢が帰って行って部屋に戻った後に一応、偵察君で見てみたときは、4人で、依頼中なのか街中を何かを運びなら楽しそうに歩いているところだった。
ワンピースに革鎧を着た赤毛の女の子が防御の腕輪と素早さアップのネックレスを身に着けている。
腕輪とネックレスがプレゼントした装備なのかな。
アクセサリーかというと微妙だけど、結構な値段はするはず。
ギュンター君とラルフ君、ロルフ君は背中に大きな布袋を背負っている。女の子は手ぶらだ。いや、腰に小さいポーチを付けている。
もしかしてマジックバックとかなのかな?
じっと見ていると、声がした。
ーーーー小さいポーチにゃ。中には手鏡がはいってるにゃ。お魚すら入ってないにゃ。
マジックバックとかではないみたいだ。
ラルフ君達が背負っている布袋を見ていると、また声がした。
ーーーー布袋にゃ。中には野菜がはいっているにゃ。お魚は入ってないにゃ。
ーーーー布袋にゃ。中には野菜がはいっているにゃ。これにもお魚は入ってないにゃ。
ーーーー布袋にゃ。中には野菜がはいっているにゃ。やっぱりお魚は入ってないにゃ。なぜにゃ?
最後疑問系‥‥。プティ、お腹空いてるでしょう。
一旦ストレージルームを出て、メイドにプティ用にお魚を持って来てもらうように頼んだ。
プティは僕の足にしっぽを絡めて来て機嫌が良さそうだ。
持ってきてもらったお魚をプティが食べるのを眺めながら、先ほどの光景についてちょっと考えてみた。
荷物運びの依頼らしいけど、4人パーティで、荷物を持っているのは3人。
とは言っても、それはパーティ内で決めたことなんだろうから、僕がとやかく言うようなことではない。
力の有る人が荷物を運んで、器用さが必要なときには器用な人が仕事するとかいうルールもあるかもしれない。
まあ、もしビアンカ嬢が見たら、かなりモヤッとするかもしれないというくらいだ。
順調で何より、と思っていたんだけど、不穏な情報がもたらされた。
「ギュンター様が、平民の女の子に入れあげてるんですわ!」
屋敷に遊びにきたビアンカ嬢の表情がいつもより暗いかな、と思っていたら、出されたお茶を飲み終えてカップを置いてから、いきなりそんなことを言った。
「まあ、一体どういうことなの?」
アリサ姉様はびっくりして、今にも泣き出しそうなビアンカ嬢の背中に手をあてた。
「ギュンター様が、冒険者活動をしているパーティに加わった子なんですって。
服やアクセサリーをプレゼントしているようなのです。」
「まあ!それは本当ですの?」
アリサ姉様が一緒に憤っている。
‥‥冒険者パーティの女の子って、ラルフ君達の話題に出てた子の事かな。
「使用人からそのような噂が出ていると聞いて‥‥。」
「本人に直接聞いた方がいいんじゃないかしら。」
「そうね、聞いてみるわ」
アリサ姉様が、なだめて、新作のナッツ入りチョコレートを試食したりして、その日はなんとか元気になって帰って行ったビアンカ嬢だったけど
数日後、また泣きそうな顔でやって来た。
「贈っているのは、冒険者活動に必要な防具や装具なんですって。
なぜギュンター様が贈る必要があるのか聞いてみたんですけど、
平民でお金がないから十分な装備が買えないんだ、君にはそれを思いやる気持ちがないのか、と言われてしまって」
「それ、ギュンター様が買う理由の説明にはなっていないのではなくて?パーティメンバーは他にもいるのよね」
「ううっ‥‥」
アリサ姉様がそういうと、ビアンカ嬢は余計に涙ぐんでしまった。
うん‥‥。僕が見た見習い冒険者向けの依頼は配達とか、魔獣にも合わない王都内で採取できるような植物の採取依頼とかだったから
防具とか装具とかなくても、困らなそうな気がする。でも、それを今、ここで言ったらダメな気がするよ。
結構可愛い女の子だって言っていたからな‥‥。詳しく知っている訳じゃないし、黙ってよう。
ビアンカ嬢が帰って行って部屋に戻った後に一応、偵察君で見てみたときは、4人で、依頼中なのか街中を何かを運びなら楽しそうに歩いているところだった。
ワンピースに革鎧を着た赤毛の女の子が防御の腕輪と素早さアップのネックレスを身に着けている。
腕輪とネックレスがプレゼントした装備なのかな。
アクセサリーかというと微妙だけど、結構な値段はするはず。
ギュンター君とラルフ君、ロルフ君は背中に大きな布袋を背負っている。女の子は手ぶらだ。いや、腰に小さいポーチを付けている。
もしかしてマジックバックとかなのかな?
じっと見ていると、声がした。
ーーーー小さいポーチにゃ。中には手鏡がはいってるにゃ。お魚すら入ってないにゃ。
マジックバックとかではないみたいだ。
ラルフ君達が背負っている布袋を見ていると、また声がした。
ーーーー布袋にゃ。中には野菜がはいっているにゃ。お魚は入ってないにゃ。
ーーーー布袋にゃ。中には野菜がはいっているにゃ。これにもお魚は入ってないにゃ。
ーーーー布袋にゃ。中には野菜がはいっているにゃ。やっぱりお魚は入ってないにゃ。なぜにゃ?
最後疑問系‥‥。プティ、お腹空いてるでしょう。
一旦ストレージルームを出て、メイドにプティ用にお魚を持って来てもらうように頼んだ。
プティは僕の足にしっぽを絡めて来て機嫌が良さそうだ。
持ってきてもらったお魚をプティが食べるのを眺めながら、先ほどの光景についてちょっと考えてみた。
荷物運びの依頼らしいけど、4人パーティで、荷物を持っているのは3人。
とは言っても、それはパーティ内で決めたことなんだろうから、僕がとやかく言うようなことではない。
力の有る人が荷物を運んで、器用さが必要なときには器用な人が仕事するとかいうルールもあるかもしれない。
まあ、もしビアンカ嬢が見たら、かなりモヤッとするかもしれないというくらいだ。
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