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第3章
第95話 専属さんがついたようだ
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依頼票を見ていたら、ボードにすっと手が伸びた。
野菜配達の依頼票をその手が掴んだとき、声がかかった。
『その依頼のお荷物はかなり重いので、こちらの依頼をオススメします。』
依頼票を取ろうとしていた手が止まる。別の映像に、ギュンター君が振り向いたところが映っていた。近くにラルフ君とロルフ君も居る。
受付に座っていたのを見た事が有る女の人が、手に書類を持って立っていた。人が居ない窓口の方を指し示して『こちらにどうぞ』と案内した。
あの人が専属の受付になったのかな。
ラルフ君達は窓口に案内され、なにやら依頼を紹介され、うんうんと頷いている。満足そうな様子なので、貼られていた依頼より条件がいいのかもしれない。
依頼内容をメモしてニコニコして、ギルドを出て行った。
良い依頼が受けられたなら何よりだ。
『おい、出て行ったぞ』
『うん』
何か、気になる声がした。
赤茶けた髪をした痩せている男性と、赤毛の女の子がギルドから出て行く後ろ姿が見えた。
ギルド外の映像を見てみる。
ラルフ君達が歩いて行く姿が映っている。後からギルドを出た男女は、ラルフ君達とは別方向に歩いて行った。
ラルフ君達の跡を追うわけではなかったようだ。貴族を避けたかっただけかな。
ラルフ君達と一緒に冒険者活動できなかったけど、危ない目に会ってほしくないから、ちょっと心配しちゃうよ。
ほっと息を吐いた。
コンコン、とノックの音がした。
部屋のドアをノックされたときは、ストレージルームにも聞こえるようにしてあるんだ。
僕はプティと一緒にストレージルームを出て返事をした。
兄様が部屋に入って来た。
「あれ、兄様、家庭教師は?」
「午後からだから、まだだよ。それよりお昼だよ」
出かけていたから、もう午前中は過ぎていたような気になっていたけど、お昼はこれからだったみたいだ。
僕が食堂におりてこないから、兄様が呼びに来てくれたらしい。
「ソーマ、大丈夫?冒険者ギルドでのこと何か気にしてる?」
食堂に向いながら兄様が話しかけて来た。僕が部屋に籠って出てこなかったから、心配させちゃったようだ。うーん、冒険者ギルドに偵察君を送って、見学してましたとはちょっと言えないかな。
「ううん、別に。大丈夫だよ。魔道具に夢中になっちゃってた。ごめんなさい」
「そうか。」
僕がそういうと、兄様は微笑んで、僕の頭を撫でた。
昼食にはブラックボア肉のソテーと、パン、野菜スープだった。
ブラックボアのお肉!タイムリーだね。
生姜焼きっぽい味付けで美味しかったよ!
野菜配達の依頼票をその手が掴んだとき、声がかかった。
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あの人が専属の受付になったのかな。
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依頼内容をメモしてニコニコして、ギルドを出て行った。
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『うん』
何か、気になる声がした。
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ラルフ君達と一緒に冒険者活動できなかったけど、危ない目に会ってほしくないから、ちょっと心配しちゃうよ。
ほっと息を吐いた。
コンコン、とノックの音がした。
部屋のドアをノックされたときは、ストレージルームにも聞こえるようにしてあるんだ。
僕はプティと一緒にストレージルームを出て返事をした。
兄様が部屋に入って来た。
「あれ、兄様、家庭教師は?」
「午後からだから、まだだよ。それよりお昼だよ」
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僕が食堂におりてこないから、兄様が呼びに来てくれたらしい。
「ソーマ、大丈夫?冒険者ギルドでのこと何か気にしてる?」
食堂に向いながら兄様が話しかけて来た。僕が部屋に籠って出てこなかったから、心配させちゃったようだ。うーん、冒険者ギルドに偵察君を送って、見学してましたとはちょっと言えないかな。
「ううん、別に。大丈夫だよ。魔道具に夢中になっちゃってた。ごめんなさい」
「そうか。」
僕がそういうと、兄様は微笑んで、僕の頭を撫でた。
昼食にはブラックボア肉のソテーと、パン、野菜スープだった。
ブラックボアのお肉!タイムリーだね。
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