自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第3章

第94話 依頼票をみてみよう

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他の偵察君がギルドのホールに到着したらしくて、先ほどまでいたフロアの映像が映し出された。

『おい、聞いたか?今朝アントンが絡んでた子供、貴族のお坊ちゃんだったらしいぜ』
『マジか、黒剣の響きも終わったな』

声を拾ったところの映像は、凄く人との距離が近い。壁に偵察君が張り付いていて、この人たちは壁際に立って話をしているようだった。

『ああ、アントンざまぁ!あいつ態度でかかったからな。いい気味だよ。』
『しかしお坊ちゃん達は登録したんだろ。これから俺たちも気をつけないと二の舞になるぜ』
『逆にチャンスじゃね?近づいて恩を売れば‥‥』

ラルフ君達、注目されてるな‥‥。ホールの映像の端に、先ほどのギルマスが奥から出て来た様子が映った。凄い怖い顔をしたまま、大股歩きでギルドから出て行った。
‥‥、あの顔はデフォルトなんだろうか。

『ギルマスがいつもにも増して怖い顔ででていったぜ。何かあったのか』
『今朝のアントンの件じゃね?』
『ギルマスはいつもあの顔だろ』

ホールの中がざわついていて、色々な声を拾っている。
おっと、音声を聞く目的じゃなかったんだった。ギルドの依頼票をよく見てみたかったんだよね。

ギルドの壁に、木製のボードが貼付けられていて、ボードには、いくつも釘のような物が突き出ている。依頼票らしき紙に釘が突き刺さって貼付けられているようだ。
依頼票を見ていた人が、一枚掴んで、引っ張ると、ピッと釘が刺さっていた部分が破けて取れる。

複数依頼がある場合は、同じところに何枚も依頼票が貼付けられているらしい。
等級別に貼付けられている位置が違うみたいだ。
最初に見ていたところは、ボードの一番上に銅級の色のタグがついているので銅級の依頼のようだ。

ーーーーブラックボアの討伐。エリア:王都南、グラウ平原。報酬:小金貨5枚。
ーーーーレッドリザードの討伐。エリア:王都西。ゲルプ砂地付近。報酬:小金貨8枚。

討伐依頼が多そう。ブラックボアのお肉は美味しいんだよね。王都近くにもいるんだな。凄い勢いで突進してくるから、落とし穴とか作って待ってるのがいいと思う。

レッドリザードは足は遅いけど、火を吐くから、熱くて面倒なんだよね。火を吐き出そうと口を開いたときに、土魔法かなにかで口に石とか突っ込むと火を吐けなくなって喉がやけて、苦しくなって暴れたりするんだ。
野営に連れて行ってもらったときに、遭遇したんだけど、どちらも凄く大きかったよ。

倒せても絶対一人で討伐に行ったりしたらダメだって言われちゃったんだ。
野営に一人でいってもつまらないから行かないけどね。あ、今はプティもいるけど。‥‥父様や兄様に心配かけたくないから一人では行かないことにしよう。

ブラックボアとか凄く大きいけど、持ち帰られるのかな、と思って依頼票をもう一度見てみたら、下の方に少し小さい字で討伐証明は魔石って書いてあった。
他の部位も持ち帰られれば素材として買い取ってくれるらしい。

見習い冒険者用の依頼も張り出されているのかな。
さっきの話だと、ラルフ君達への依頼は専属の人が紹介するって言っていたけど、他にも見習い冒険者は居るはずだよね。
ぐるっとフロアを見渡すと、木のタグが貼られているボードを見つけた。

冒険者ギルドのランクは、木、石、青銅、鉄、銅、銀、金、白金ってなってるんだったはず。一番下の級が木だから、正規の冒険者の最初のランクは石級で、
見習い冒険者は木級だ。冒険者のランクの付け方も、僕が作ったゲームと同じだ。
異世界で言語が違うのにアルファベットでAとかBとか飛んでSとか表現するのも難しいなと思ったんだよね。

木級用の依頼票ボードを見てみる。

ーーーー薬草配達。王都薬師ギルドに薬草を配達。報酬:銅貨3枚。
ーーーー野菜配達。フォンダン食堂に市場から野菜を届ける。午前中のみ。報酬:銅貨5枚。
ーーーー薬草採取。ペリペリ草。30本一束。銅貨1枚。

配達とか荷物運び系が多いのかな。ペリペリ草は湿布とかに使う薬草だけど、雑草みたいにそこらに生えるので、王都内でも採取できるんだろうけど、銅貨1枚なんだ。
銅貨1枚が100円位かな。ラルフ君達は生活には困ってないだろうから、経験を積むということでよいかもしれないけど、
見習い冒険者で生活していこうとしたら、大変そうだね。
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