84 / 466
第3章
第84話 ご挨拶ノルマは達成
しおりを挟む
すこし離れたテーブルのところで、先ほど挨拶をした令嬢の声が聞こえた。
「ギュンター様、こちら評判のお菓子なんですって。あのエルスト商会から、最近発売されたそうですわよ。一緒にいただきません事?」
「ああ、エルスト商会のレーズンサンドだね。先日食べたけど、凄く美味しかったよ」
「まあ、もうご存知でしたの?さすがギュンター様ですわ。」
さっき、甘いものが得意でないと言っていた令嬢が、背の高い令息に、叔父様の商会のお菓子を勧めている。
叔父様の商会の商品が褒められるのは嬉しいけど、ちょっと複雑だなぁ。
「まあ、僕がマナー違反をして嫌われたとかでなければいいか」
嫡男じゃないとかはどうしようもないので、あまり気にしないことにしよう。
ロルフ君が、ドリンクを勧めてくれたので、一緒に飲みながら、今日挨拶した人達のことを思い出す。
「4人‥‥。あ、ラルフ君とロルフ君を入れたら6人か。ならノルマ達成かな。やったー!」
「ノルマ?」
「うん。マナーの先生に、挨拶の練習になるから最低5人とご挨拶してきなさいって言われたんだ。ラルフ君とロルフ君も入れたら6人だから、達成だなと思って」
「そーかそーか」
僕が嬉しそうにしていたら、ラルフ君とロルフ君が僕の頭をぽんぽんとした。
「そーだよね。普通、挨拶の練習とか友達つくったりとかの場所だよね」
「うっかり挨拶もできないとか、変だよねー」
はぁーっと、ラルフ君とロルフ君が同時にため息をついた。
挨拶のノルマも達成したし、挨拶をしても塩対応されるとわかってしまったら、これ以上積極的に挨拶をする気にならない。
ラルフ君とロルフ君も同じらしくて、隅の方のテーブルの傍に立って、目立たないように軽くおしゃべりしながら、お茶会の様子を眺めてた。
「なあ、今度冒険者ギルドに行ってみないか?」
ラルフ君が、ふと思いついたのか、そんな事を言い出した。
ロルフ君がすぐに賛同して、僕の方を見た。
「いいね!ソーマ君って、8歳以上?」
「8歳だよ。冒険者ギルドって登録は12歳以上じゃなかったっけ」
「王都は見習い冒険者制度を採用してるんだよ。見習いは8歳以上は登録可能だよ。」
冒険者ギルドの正規の登録は12歳からになっているんだけど、子供でも経済的な理由などで、冒険者登録をしたい人の為に、見習い冒険者制度というのがあって、それは8歳以上なら登録ができるんだそうだ。
ラルフ君とロルフ君は11歳で後一年待てば、本登録できるからと冒険者制度について調べてたら、見習い冒険者制度を知ったんだって。
「見習い冒険者で、良い実績を残しておくと、12歳で本登録をするときに、一つ上の級からスタートできるらしいよ」
「そうなんだね。冒険者に登録するかは、まだわからないけど、冒険者ギルドは一度見てみたいなぁ」
「決まり。じゃあ、日にちを決めて連絡するよ!」
ちょっと興味深い話題で盛り上がってたからか、声が大きくなっていたのかもしれない。
紺色の髪をした背の高い令息が近づいて声をかけてきた。
「君達、冒険者ギルドに行くの?俺も参加させてもらえないかな。」
さっき令嬢とお菓子を食べていた人だ。
「俺は、ギュンター・トリット。トリット家長男だよ。」
トリット家は、伯爵家だったと思う。長男だから令嬢の態度が違ってたんだな。
ギュンター君も11歳で、来年になったら冒険者登録をしようと思っていたんだって。
ラルフ君とロルフ君は、同い年のギュンター君も一緒に活動すれば、来年本登録したときもパーティで活動できるかもと喜んでいた。
来週あたりに行こうという話になり、話が終わると、またギュンター君は、令嬢達とお話に行ってしまった。
「ギュンター様、こちら評判のお菓子なんですって。あのエルスト商会から、最近発売されたそうですわよ。一緒にいただきません事?」
「ああ、エルスト商会のレーズンサンドだね。先日食べたけど、凄く美味しかったよ」
「まあ、もうご存知でしたの?さすがギュンター様ですわ。」
さっき、甘いものが得意でないと言っていた令嬢が、背の高い令息に、叔父様の商会のお菓子を勧めている。
叔父様の商会の商品が褒められるのは嬉しいけど、ちょっと複雑だなぁ。
「まあ、僕がマナー違反をして嫌われたとかでなければいいか」
嫡男じゃないとかはどうしようもないので、あまり気にしないことにしよう。
ロルフ君が、ドリンクを勧めてくれたので、一緒に飲みながら、今日挨拶した人達のことを思い出す。
「4人‥‥。あ、ラルフ君とロルフ君を入れたら6人か。ならノルマ達成かな。やったー!」
「ノルマ?」
「うん。マナーの先生に、挨拶の練習になるから最低5人とご挨拶してきなさいって言われたんだ。ラルフ君とロルフ君も入れたら6人だから、達成だなと思って」
「そーかそーか」
僕が嬉しそうにしていたら、ラルフ君とロルフ君が僕の頭をぽんぽんとした。
「そーだよね。普通、挨拶の練習とか友達つくったりとかの場所だよね」
「うっかり挨拶もできないとか、変だよねー」
はぁーっと、ラルフ君とロルフ君が同時にため息をついた。
挨拶のノルマも達成したし、挨拶をしても塩対応されるとわかってしまったら、これ以上積極的に挨拶をする気にならない。
ラルフ君とロルフ君も同じらしくて、隅の方のテーブルの傍に立って、目立たないように軽くおしゃべりしながら、お茶会の様子を眺めてた。
「なあ、今度冒険者ギルドに行ってみないか?」
ラルフ君が、ふと思いついたのか、そんな事を言い出した。
ロルフ君がすぐに賛同して、僕の方を見た。
「いいね!ソーマ君って、8歳以上?」
「8歳だよ。冒険者ギルドって登録は12歳以上じゃなかったっけ」
「王都は見習い冒険者制度を採用してるんだよ。見習いは8歳以上は登録可能だよ。」
冒険者ギルドの正規の登録は12歳からになっているんだけど、子供でも経済的な理由などで、冒険者登録をしたい人の為に、見習い冒険者制度というのがあって、それは8歳以上なら登録ができるんだそうだ。
ラルフ君とロルフ君は11歳で後一年待てば、本登録できるからと冒険者制度について調べてたら、見習い冒険者制度を知ったんだって。
「見習い冒険者で、良い実績を残しておくと、12歳で本登録をするときに、一つ上の級からスタートできるらしいよ」
「そうなんだね。冒険者に登録するかは、まだわからないけど、冒険者ギルドは一度見てみたいなぁ」
「決まり。じゃあ、日にちを決めて連絡するよ!」
ちょっと興味深い話題で盛り上がってたからか、声が大きくなっていたのかもしれない。
紺色の髪をした背の高い令息が近づいて声をかけてきた。
「君達、冒険者ギルドに行くの?俺も参加させてもらえないかな。」
さっき令嬢とお菓子を食べていた人だ。
「俺は、ギュンター・トリット。トリット家長男だよ。」
トリット家は、伯爵家だったと思う。長男だから令嬢の態度が違ってたんだな。
ギュンター君も11歳で、来年になったら冒険者登録をしようと思っていたんだって。
ラルフ君とロルフ君は、同い年のギュンター君も一緒に活動すれば、来年本登録したときもパーティで活動できるかもと喜んでいた。
来週あたりに行こうという話になり、話が終わると、またギュンター君は、令嬢達とお話に行ってしまった。
4
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

世界樹を暴走させたマッドサイエンティスト、死刑だけは嫌だとごねる!
アメノヒセカイ
ファンタジー
カクヨムにも掲載しております。
これは世界樹の花粉を浴びて老いることがなくなったラメッタと、捨て子として騎士団に拾われ生きてきたクレーエンが、一国の英雄となり、ともに生きると決めるまでの物語である!
<語句>
エアデ王国:クレーエン、ラメッタが住んでいた国。
バオム国:エアデ王国の従属国。魔王軍との前線を仕切る。資源がほとんどなく、魔王軍と戦うことでエアデ王国から支援を受けている。治安が悪い。
世界樹:人々に魔法を授けている。ラメッタが研究のために魔法薬をかけてから、魔法が大幅に弱体化してしまった。
ラメッタ:見た目は子供、中身は七十八才。老いることはない。魔法薬や魔道具の開発をする。己の好奇心を満たすためだけに世界樹に魔法薬をかけたとして死刑判決が出るのだが……。なお、魔王軍と戦うことで処刑が延期される約束を国王らとしている。
クレーエン:捨て子ゆえに騎士団に拾われて育てられたものの騎士団に正式に加入できず、しかしその強さゆえに騎士団の仕事を何度も手伝っていた。自身のことを強さから騎士団で面倒を見るしかない人間と考え、厄介者であると思っているが……。
バオム国の三姫:国王である父が前線に出ているため、三人で統治しているがほぼ機能していない。
長女ディーレ、次女ベリッヒ、三女チルカ。

世界を捨てる、5年前 〜虐げられた聖女と青年の手紙〜
ツルカ
恋愛
9歳の時に神殿に連れてこられた聖女は、家族から引き離され神に祈りを捧げて生きている。
孤独を抱えた聖女の元に、神への祈りの最中、一通の手紙が届く。不思議な男からの手紙。それは5年に渡る、彼女と彼の手紙のやり取りの始まり。
世界を超えて届く手紙は、別の世界からの手紙のようだ。
交わすやりとりの中で愛を育んでいき、そして男は言う。
必ず、助けに行くと。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる