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第3章
第82話 初めてのお茶会
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新緑の木々を揺らす風は涼しく、暑くはないはずなのに、おもむろに扇を広げた令嬢は、口元をその扇で隠し、冷めた目をして、僕から視線をそらし。
ふぅっとあからさまな感じにため息をついた。
「まあ、エルストベルク辺境伯家次男様、
せっかくお声をかけていただいたのに申し訳ございませんが、わたくしは、甘いものが得意ではございませんの。失礼いたしますわ。」
そう言ってその令嬢はささっと他の人達が集まっている方に移動してしまった。
何だろうこれ?何回目だこれ?
僕は、子供達だけのお茶会というものに呼ばれたんだ。
同年代の子供達で交流を深めましょうということで、招待をされたんだよ。
僕はとっても楽しみにしていたんだ。だって、僕が招待されたのって初めてだったし。それに、それになんと今日は一人!一人で参加なんだ。
兄様は心配して一緒に来るって、言ってくれたんだけど、学園の入学準備で、王都での家庭教師の人が初めて来る日だったし、
招待されている年齢層からすると、兄様はちょっと年上になっちゃうので、思い切って、僕一人で参加することにしたんだ。
お茶会に一人で参加なんて初めてだから、緊張したけど、わくわくもしていた。だって、大人みたいじゃない?
綺麗に髪を整えて、王都に来てから仕立てたお洋服を着て、シュミット伯爵家の庭園で開催されているお茶会に参加をしたんだけど、
塩! 塩だよ。
家庭教師のマナーの先生にもちゃんとOKをもらったご挨拶をしているのに、挨拶をしたご令嬢が皆、なぜか塩対応なんだ。
「僕、何かまずい事しちゃったのかな?マナー間違ってる?」
目が合って、お辞儀をするところまではニコニコしていた令嬢が、僕が名乗って、あちらのお菓子が評判のようですから一緒に食べませんか?と誘ったら、皆、
凄く冷めた目をして、なんか適当なことを言って、いなくなっちゃうんだ。
お菓子は、最近エルスト商会で発売されて人気が出ているフルーツのパウンドケーキが出されていたから、それをおすすめしようとしていたんだ。
甘い物が苦手な人は確かにいると思うんだけど、お声かけた人全員?
僕は、ちょっと考えて、はっと青ざめた。
「ダ、ダイエット中の人にお菓子をオススメしちゃたのかな?」
ダイエット中の女性にお菓子を勧めたら、そりゃ怒るよね。食べたいのに食べれないんだもの。
「いや、そうじゃないと思うよ」
がっくりと肩を落とした僕の背中を、ポンと誰かが叩いた。
振り向くと黄色っぽい髪の令息が二人。同じ顔。僕より頭半分くらい背が高い。
髪の色の濃淡がちょっと違う
「やあ、僕は、ラルフ・ツヴァイトベック。こっちは双子の弟のロルフ・ツヴァイトベック。」
「あ、僕は、ソーマ・エルストベルクです。あれ、もしかして‥‥。従兄弟?」
ツヴァイトベック侯爵家は、母様の実家だ。
「うん。ソーマ君だよね。僕たちの父上は君の母上の兄にあたるはずだよ。従兄弟だから名前で呼んでね。君もソーマ君て呼んでよい?」
「もちろん!わあ! 従兄弟の人に会うの初めて!初めまして!」
僕は嬉しくなって、改めて深々とお辞儀をして挨拶をした。
ラルフ君とロルフ君は、くすくすと笑いながら、お辞儀を返してくれた。
「ソーマ君、こういうお茶会来るの初めてでしょ」
「うん、なんでわかったの?」
「あちこち挨拶してたからね」
「え、挨拶したらダメだったの!?」
びっくり、まさか挨拶がマナー違反だった?
ふぅっとあからさまな感じにため息をついた。
「まあ、エルストベルク辺境伯家次男様、
せっかくお声をかけていただいたのに申し訳ございませんが、わたくしは、甘いものが得意ではございませんの。失礼いたしますわ。」
そう言ってその令嬢はささっと他の人達が集まっている方に移動してしまった。
何だろうこれ?何回目だこれ?
僕は、子供達だけのお茶会というものに呼ばれたんだ。
同年代の子供達で交流を深めましょうということで、招待をされたんだよ。
僕はとっても楽しみにしていたんだ。だって、僕が招待されたのって初めてだったし。それに、それになんと今日は一人!一人で参加なんだ。
兄様は心配して一緒に来るって、言ってくれたんだけど、学園の入学準備で、王都での家庭教師の人が初めて来る日だったし、
招待されている年齢層からすると、兄様はちょっと年上になっちゃうので、思い切って、僕一人で参加することにしたんだ。
お茶会に一人で参加なんて初めてだから、緊張したけど、わくわくもしていた。だって、大人みたいじゃない?
綺麗に髪を整えて、王都に来てから仕立てたお洋服を着て、シュミット伯爵家の庭園で開催されているお茶会に参加をしたんだけど、
塩! 塩だよ。
家庭教師のマナーの先生にもちゃんとOKをもらったご挨拶をしているのに、挨拶をしたご令嬢が皆、なぜか塩対応なんだ。
「僕、何かまずい事しちゃったのかな?マナー間違ってる?」
目が合って、お辞儀をするところまではニコニコしていた令嬢が、僕が名乗って、あちらのお菓子が評判のようですから一緒に食べませんか?と誘ったら、皆、
凄く冷めた目をして、なんか適当なことを言って、いなくなっちゃうんだ。
お菓子は、最近エルスト商会で発売されて人気が出ているフルーツのパウンドケーキが出されていたから、それをおすすめしようとしていたんだ。
甘い物が苦手な人は確かにいると思うんだけど、お声かけた人全員?
僕は、ちょっと考えて、はっと青ざめた。
「ダ、ダイエット中の人にお菓子をオススメしちゃたのかな?」
ダイエット中の女性にお菓子を勧めたら、そりゃ怒るよね。食べたいのに食べれないんだもの。
「いや、そうじゃないと思うよ」
がっくりと肩を落とした僕の背中を、ポンと誰かが叩いた。
振り向くと黄色っぽい髪の令息が二人。同じ顔。僕より頭半分くらい背が高い。
髪の色の濃淡がちょっと違う
「やあ、僕は、ラルフ・ツヴァイトベック。こっちは双子の弟のロルフ・ツヴァイトベック。」
「あ、僕は、ソーマ・エルストベルクです。あれ、もしかして‥‥。従兄弟?」
ツヴァイトベック侯爵家は、母様の実家だ。
「うん。ソーマ君だよね。僕たちの父上は君の母上の兄にあたるはずだよ。従兄弟だから名前で呼んでね。君もソーマ君て呼んでよい?」
「もちろん!わあ! 従兄弟の人に会うの初めて!初めまして!」
僕は嬉しくなって、改めて深々とお辞儀をして挨拶をした。
ラルフ君とロルフ君は、くすくすと笑いながら、お辞儀を返してくれた。
「ソーマ君、こういうお茶会来るの初めてでしょ」
「うん、なんでわかったの?」
「あちこち挨拶してたからね」
「え、挨拶したらダメだったの!?」
びっくり、まさか挨拶がマナー違反だった?
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