自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第2章

第68話 なんで居るの?

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映像に最初に映し出されたのは、大きなシャンデリアがある広いフロアに着飾った人達が沢山映っているところだった。
やっぱりコルセットとかしているのかな、女性達のドレスはウエストがきゅーっとしぼられていて、そこからドレスの裾は床すれすれまで広がっている。
よく見るとフロアの中央に色とりどりの衣装をきた人達が沢山集まっているあたりに、オレンジ色の頭の人物が映っていた。

ズームしてみると、ヨナスだ。ヨナスが、この間のピンクブロンドの女性を伴ってい立っていた。

え、ミラ嬢のエスコートをドタキャンして、他の女性をエスコートしてそのパーティに出席してたって事?

妙に、映像が揺れた後、ミラ嬢の姿が映った。

いつものおさげ姿ではなく、金髪の髪がつややかにウェーブしている。淡い水色のドレスを着た姿でミラ嬢が映っていた。ミラは、ちょっと悲しそうな顔をしてぎゅっと唇を惹き結んで、首を横に振った。それから決意したように言った。

「ケニー様、私が殴るわ。」

ちょっと声が低くなっている。
兄様が、ヨナスに殴り掛かろうとしていたのかな。ミラ嬢が、ヨナスを殴るから手をだすなって言っているようだ。

「いや、でも、それは‥‥。」

目が据わったミラ嬢の姿と、ちょっと動揺した様子の兄様の声。
「ケニー様、気にしてくださってありがとう。でもこれは私の問題だわ。」

ミラ嬢が、そう言って一歩前に踏み出したとき、フロアの中が急に、なにやら大きくざわつきだした。

目線が動く。一カ所に人々が集まっていっているところが映った。

兄様が近づいて行っているのか、映像が段々と大きくなっていって、はっきりと見えてきた。

一カ所に集まっている人の間をすり抜けていくと、床に膝をついているジョシュア殿下の姿が見えた。顔色が真っ青だ。
エミリア嬢が、心配そうな顔で、寄り添って、助け起こそうとしている。
一体何があったんだろう。

ジョシュア殿下は、侍従や護衛騎士の人に支えられてヨロヨロと立ち上がると、まだ青い顔をしたまま、笑顔を周囲に向けて、軽く手を挙げた。

「騒がせた。問題ない。」

別室で少し休むと告げて、まだふらつきながら会場を後にした。エミリア嬢も殿下を支えて付き添いながら会場を出て行く。
その後ろ姿がしばらく映った後、視線が、動いた。

兄様が、先ほどのヨナスの居た方向に目を向けたようだ。でもヨナスの姿がない。
会場全体を見回すように、映像がぐるりと動いた。しかし、ヨナスのオレンジ色の頭は、見えず、どこにイルカ分からない様子だった。ピンクブロンドも見えない。

そこで映像が終わっていた。

うん、これは、この後に兄様達が、すぐに帰ったのかどうかはわからないけど、パーティどころじゃなかった感じだね。
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