63 / 466
第2章
第63話 ケーキ試食会
しおりを挟む
数日後に、パウンドケーキの販売を開始するので、試食に来てほしいと言われて、僕は兄様と一緒にまたエルスト商会に行った。
試食なら、屋敷に持ってきてもらう事も出来ると思うんだけど、叔父様は忙しくて行けないから、来てほしいんだって。
商会の階段を上って商談室に向おうとしたところで、ミラ嬢が来店した姿が見えた。
「ミラ嬢。こんにちは!」
兄様がミラ嬢を見つけて、挨拶をする。ミラ嬢は、兄様の声に気がついて、振り向き、にっこりと微笑んだ。
「ケニー様、ソーマ君、ごきげんよう」
軽く膝を曲げて挨拶をしてくれる。
ミラ嬢は今日は、荷物を持ったメイドさんを何人か引き連れていた。
聞くと、午後からパーティに出席するんだって。
それも、エスコート相手は、ヨナス・モーガン侯爵令息だそうだ。
それを聞いて兄様は、眉をピクリと動かした。
兄様が言いたい事を察したように、ミラ嬢は、苦笑して言った。
「モーガン侯爵家からは、しっかり話し合ったりして、もっと様子を見てほしいと言われているの」
ミラ嬢のお父上の学園長は、モーガン侯爵家に婚約解消の話をしたらしいのだが、
モーガン家からは、「様子を見てほしい」と言われてしまい、婚約の解消を受け入れてはもらえなかったそうだ。
女性と、商会の店内に一緒にいた、という理由でだけで、ヨナスの有責で婚約解消をするのは難しいみたい。
誤解があるようだ、もっと話し合う機会が必要だからと言われて、今日の午後から開催されるパーティに一緒に行く事になったんだって。
「そう‥‥、なんですね。」
兄様はなんだか納得いっていないような顔をしていた。
ミラ嬢が商会に来たのは、なんとヘアセットの為なんだって。
まだ発売前のヘアアイロン「もっと素敵髪生活」という商品があって、予約すればそれを使用して髪のセットができるからというので予約して来たのだそうだ。
「試すのにも良い機会だから、お願いしようと思って。ケニー様とソーマ君は何かお買い物?」
そう聞かれて僕たちは、新作のパウンドケーキの試食だと言ったら、ミラ嬢の目がキラリと光った。
「‥‥、まだ、販売されていないお菓子なの? 商談を予約しても食べられない‥‥?」
何となく、圧を感じる。
「ミ、ミラ嬢も、もしも時間があるようだったら‥‥。」
兄様はミラ嬢の圧に一瞬怯んだけど、すぐに笑顔でお誘いをしていた。途端にミラ嬢が笑顔になった。
ヘアセットの前に軽くお茶とお菓子をということになって、ミラ嬢も一緒に商談室に行った。ユリアさんにお茶を煎れてもらって
テーブルの上に、お茶とパウンドケーキが並んだとき、ドアがノックされた。
ミラ嬢の家から使者が来たようだった。急ぎの用事らしくて手紙がミラ嬢に渡された。
カップを持っていた手を置いて、ミラ嬢が手紙の入った封書を受け取って、中の手紙を読んだ。
「‥‥。」
ミラ嬢の顔色がみるみる悪くなる。
「ど、どうしたの何か悪い知らせ?」
「‥‥、今日のパーティに一緒に行けなくなったって‥、ヨナスから。」
「え?」
試食なら、屋敷に持ってきてもらう事も出来ると思うんだけど、叔父様は忙しくて行けないから、来てほしいんだって。
商会の階段を上って商談室に向おうとしたところで、ミラ嬢が来店した姿が見えた。
「ミラ嬢。こんにちは!」
兄様がミラ嬢を見つけて、挨拶をする。ミラ嬢は、兄様の声に気がついて、振り向き、にっこりと微笑んだ。
「ケニー様、ソーマ君、ごきげんよう」
軽く膝を曲げて挨拶をしてくれる。
ミラ嬢は今日は、荷物を持ったメイドさんを何人か引き連れていた。
聞くと、午後からパーティに出席するんだって。
それも、エスコート相手は、ヨナス・モーガン侯爵令息だそうだ。
それを聞いて兄様は、眉をピクリと動かした。
兄様が言いたい事を察したように、ミラ嬢は、苦笑して言った。
「モーガン侯爵家からは、しっかり話し合ったりして、もっと様子を見てほしいと言われているの」
ミラ嬢のお父上の学園長は、モーガン侯爵家に婚約解消の話をしたらしいのだが、
モーガン家からは、「様子を見てほしい」と言われてしまい、婚約の解消を受け入れてはもらえなかったそうだ。
女性と、商会の店内に一緒にいた、という理由でだけで、ヨナスの有責で婚約解消をするのは難しいみたい。
誤解があるようだ、もっと話し合う機会が必要だからと言われて、今日の午後から開催されるパーティに一緒に行く事になったんだって。
「そう‥‥、なんですね。」
兄様はなんだか納得いっていないような顔をしていた。
ミラ嬢が商会に来たのは、なんとヘアセットの為なんだって。
まだ発売前のヘアアイロン「もっと素敵髪生活」という商品があって、予約すればそれを使用して髪のセットができるからというので予約して来たのだそうだ。
「試すのにも良い機会だから、お願いしようと思って。ケニー様とソーマ君は何かお買い物?」
そう聞かれて僕たちは、新作のパウンドケーキの試食だと言ったら、ミラ嬢の目がキラリと光った。
「‥‥、まだ、販売されていないお菓子なの? 商談を予約しても食べられない‥‥?」
何となく、圧を感じる。
「ミ、ミラ嬢も、もしも時間があるようだったら‥‥。」
兄様はミラ嬢の圧に一瞬怯んだけど、すぐに笑顔でお誘いをしていた。途端にミラ嬢が笑顔になった。
ヘアセットの前に軽くお茶とお菓子をということになって、ミラ嬢も一緒に商談室に行った。ユリアさんにお茶を煎れてもらって
テーブルの上に、お茶とパウンドケーキが並んだとき、ドアがノックされた。
ミラ嬢の家から使者が来たようだった。急ぎの用事らしくて手紙がミラ嬢に渡された。
カップを持っていた手を置いて、ミラ嬢が手紙の入った封書を受け取って、中の手紙を読んだ。
「‥‥。」
ミラ嬢の顔色がみるみる悪くなる。
「ど、どうしたの何か悪い知らせ?」
「‥‥、今日のパーティに一緒に行けなくなったって‥、ヨナスから。」
「え?」
2
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。

世界樹を暴走させたマッドサイエンティスト、死刑だけは嫌だとごねる!
アメノヒセカイ
ファンタジー
カクヨムにも掲載しております。
これは世界樹の花粉を浴びて老いることがなくなったラメッタと、捨て子として騎士団に拾われ生きてきたクレーエンが、一国の英雄となり、ともに生きると決めるまでの物語である!
<語句>
エアデ王国:クレーエン、ラメッタが住んでいた国。
バオム国:エアデ王国の従属国。魔王軍との前線を仕切る。資源がほとんどなく、魔王軍と戦うことでエアデ王国から支援を受けている。治安が悪い。
世界樹:人々に魔法を授けている。ラメッタが研究のために魔法薬をかけてから、魔法が大幅に弱体化してしまった。
ラメッタ:見た目は子供、中身は七十八才。老いることはない。魔法薬や魔道具の開発をする。己の好奇心を満たすためだけに世界樹に魔法薬をかけたとして死刑判決が出るのだが……。なお、魔王軍と戦うことで処刑が延期される約束を国王らとしている。
クレーエン:捨て子ゆえに騎士団に拾われて育てられたものの騎士団に正式に加入できず、しかしその強さゆえに騎士団の仕事を何度も手伝っていた。自身のことを強さから騎士団で面倒を見るしかない人間と考え、厄介者であると思っているが……。
バオム国の三姫:国王である父が前線に出ているため、三人で統治しているがほぼ機能していない。
長女ディーレ、次女ベリッヒ、三女チルカ。

世界を捨てる、5年前 〜虐げられた聖女と青年の手紙〜
ツルカ
恋愛
9歳の時に神殿に連れてこられた聖女は、家族から引き離され神に祈りを捧げて生きている。
孤独を抱えた聖女の元に、神への祈りの最中、一通の手紙が届く。不思議な男からの手紙。それは5年に渡る、彼女と彼の手紙のやり取りの始まり。
世界を超えて届く手紙は、別の世界からの手紙のようだ。
交わすやりとりの中で愛を育んでいき、そして男は言う。
必ず、助けに行くと。
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる