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第2章
第62話 ジュシュア殿下
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鑑定が終わって、商談室を出て、一階のフロアに降りると、エミリア嬢の姿が見えた。
「アドラー公爵令嬢」
兄様が声をかけると、エミリア嬢と、隣に居た金髪の男性が振り向いた。すっと、男性の周りに居た人たちが、前に出て、少し緊張感が走った。
あ、これ、偉い人ってことかな。
「マーカス卿、ケニー様、ソーマ君。ごきげんよう」
エミリア嬢が、にこりとして挨拶をした。銀髪のドリルヘアが、以前よりもツヤツヤ輝いて鋭利さを増している。
エミリア嬢の隣に居た人は、エミリア嬢の婚約者になったノルヴァン王国の第三王子のジョシュア殿下だった。
ジョシュア殿下が留学しにきたので、案内をしているんだって。既に商談室を予約しているらしい。
ジョシュア殿下は、優しそうな青い瞳をした、中肉中背な青年だった。子供の僕にもちゃんと声をかけてくれる。
「ソーマ君、君の猫ちゃんの名前はなんていうんだい?」
「プティです。」
「プティちゃんに触ってみてもいいかな」
(いいにゃ)
プティも了解をしているので、僕が頷くと、ジョシュア殿下が僕の腕の中にいる、プティに手を伸ばした。
「殿下、むやみに動物に触ってはなりません!ご病気になります!」
ジョシュア殿下の傍に居た人が、一歩近づいて強い口調で言った。
「ルイス、大丈夫だよ」
「しかし!」
ルイスさんと呼ばれた人は、ジョシュア殿下の侍従らしい。
栗色の髪をしていて、小柄な男性だ。
ルイスさんが厳しい顔をして譲らないでいると、ジョシュア殿下は、軽くため息をついて、プティに伸ばした手を引っ込めた。
「仕方ないね。」
(仕方なくにゃいにゃ。失礼にゃ)
プティは内心、気分を害したようだ。
ジョシュア殿下は苦笑して、僕とプティに微笑みかけた。
「侍従が失礼したね。」
「お気になさらず」
(ジョシュアは、許してやるニャ。)
プティ、殿下は呼び捨てか。まあ、神だもんね。
(ルイスは、許さないにゃ)
あれ、ルイスさん、大丈夫かな。
商談室に向って行くエミリア嬢とジョシュア殿下を見送った後、
兄様がふーっと息を吐いた。
「ちょっと緊張したよ。王子様とかちょっと失礼なことしたら、護衛に斬られちゃいそうだ」
「でもジョシュア殿下は優しそうだったよ」
「うん、そうだね」
僕と兄様はそう言って、頷き合った。ふと、ヘンリーさんを見ると、なんだか考え込んでいるようだった。
「ヘンリーさん、どうしたの?」
「うーん、今の人、どこかで見た気がしたんだよね」
「ノルヴァン王国の王子様でしょう?」
「そうじゃなくてね。あの侍従の人。」
「ルイスって人のこと?」
「そう、どこだったかな。ノルヴァンから来たっていうから、ノルヴァンに居たときに見たのかな」
ヘンリーさんは、最近、仕事でノルヴァン王国まで行っていたんだって。
「ノルヴァンの人をノルヴァンで見るのは、普通にあるんじゃないの?」
「‥‥そうだね。まあ、そのうち思い出すかな」
ヘンリーさんは難しい顔をやめて、にこっと微笑んだ。
膝を曲げて、僕とプティに目線の高さを近づける。
「また、市場とかで気になる物を買ったりしたら、何時でも見るから、気軽に声をかけてね。」
「はい!ありがとうございました!」
「にゃーん」
プティが、前足を、ヘンリーさんに向って伸ばした。ヘンリーさんの目が輝く。
「プ、プティちゃん、挨拶してくれるの?」
ヘンリーさんが指先でプティの前足をつまむようにして握手をした。
「はー、肉球のなんという柔らかさ!」
ヘンリーさんの顔面が崩れた。
(また、神力があがったにゃ)
プティも満足そうだった。
「アドラー公爵令嬢」
兄様が声をかけると、エミリア嬢と、隣に居た金髪の男性が振り向いた。すっと、男性の周りに居た人たちが、前に出て、少し緊張感が走った。
あ、これ、偉い人ってことかな。
「マーカス卿、ケニー様、ソーマ君。ごきげんよう」
エミリア嬢が、にこりとして挨拶をした。銀髪のドリルヘアが、以前よりもツヤツヤ輝いて鋭利さを増している。
エミリア嬢の隣に居た人は、エミリア嬢の婚約者になったノルヴァン王国の第三王子のジョシュア殿下だった。
ジョシュア殿下が留学しにきたので、案内をしているんだって。既に商談室を予約しているらしい。
ジョシュア殿下は、優しそうな青い瞳をした、中肉中背な青年だった。子供の僕にもちゃんと声をかけてくれる。
「ソーマ君、君の猫ちゃんの名前はなんていうんだい?」
「プティです。」
「プティちゃんに触ってみてもいいかな」
(いいにゃ)
プティも了解をしているので、僕が頷くと、ジョシュア殿下が僕の腕の中にいる、プティに手を伸ばした。
「殿下、むやみに動物に触ってはなりません!ご病気になります!」
ジョシュア殿下の傍に居た人が、一歩近づいて強い口調で言った。
「ルイス、大丈夫だよ」
「しかし!」
ルイスさんと呼ばれた人は、ジョシュア殿下の侍従らしい。
栗色の髪をしていて、小柄な男性だ。
ルイスさんが厳しい顔をして譲らないでいると、ジョシュア殿下は、軽くため息をついて、プティに伸ばした手を引っ込めた。
「仕方ないね。」
(仕方なくにゃいにゃ。失礼にゃ)
プティは内心、気分を害したようだ。
ジョシュア殿下は苦笑して、僕とプティに微笑みかけた。
「侍従が失礼したね。」
「お気になさらず」
(ジョシュアは、許してやるニャ。)
プティ、殿下は呼び捨てか。まあ、神だもんね。
(ルイスは、許さないにゃ)
あれ、ルイスさん、大丈夫かな。
商談室に向って行くエミリア嬢とジョシュア殿下を見送った後、
兄様がふーっと息を吐いた。
「ちょっと緊張したよ。王子様とかちょっと失礼なことしたら、護衛に斬られちゃいそうだ」
「でもジョシュア殿下は優しそうだったよ」
「うん、そうだね」
僕と兄様はそう言って、頷き合った。ふと、ヘンリーさんを見ると、なんだか考え込んでいるようだった。
「ヘンリーさん、どうしたの?」
「うーん、今の人、どこかで見た気がしたんだよね」
「ノルヴァン王国の王子様でしょう?」
「そうじゃなくてね。あの侍従の人。」
「ルイスって人のこと?」
「そう、どこだったかな。ノルヴァンから来たっていうから、ノルヴァンに居たときに見たのかな」
ヘンリーさんは、最近、仕事でノルヴァン王国まで行っていたんだって。
「ノルヴァンの人をノルヴァンで見るのは、普通にあるんじゃないの?」
「‥‥そうだね。まあ、そのうち思い出すかな」
ヘンリーさんは難しい顔をやめて、にこっと微笑んだ。
膝を曲げて、僕とプティに目線の高さを近づける。
「また、市場とかで気になる物を買ったりしたら、何時でも見るから、気軽に声をかけてね。」
「はい!ありがとうございました!」
「にゃーん」
プティが、前足を、ヘンリーさんに向って伸ばした。ヘンリーさんの目が輝く。
「プ、プティちゃん、挨拶してくれるの?」
ヘンリーさんが指先でプティの前足をつまむようにして握手をした。
「はー、肉球のなんという柔らかさ!」
ヘンリーさんの顔面が崩れた。
(また、神力があがったにゃ)
プティも満足そうだった。
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