自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第2章

第61話 ダンジョン産は要チェック

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数日後、僕は兄様とまたエルスト商会に来ていた。

市場で買った所有者登録済みのマジック財布を診てもらうためだ。
市場の屋台で財布を買って、実はマジック財布だったと、家族の間で話題になったときに、ダンジョン産なら、念の為、商会で呪い等がついてないか鑑定してもらったほうがいい、という話になったんだ。

僕が登録者を上書きした事も伝えたんだけど、無理矢理上書きしたとかは言っていない。魔力を強めに流したらなぜか登録できてしまったと言ってあるんだ。

商談室に案内をされて、兄様と待っていると、ノックの音がして叔父様と一緒にヘンリーさんが入ってきた。

「こんにちは、ソーマ君、と‥‥、プティちゃん!!」

呪術師のヘンリーさん、プティを見るなり、テンションがものすごく上がった様子だった。目がキラキラしている。

「ヘンリーさん、こんにちは」
「にゃーん」
「ああ、プティちゃんまで挨拶をしてくれた!」

ヘンリーさんは、プティの声を聞いて身をくねらせている。本当に残念なイケメンだ。
叔父様は、そんなヘンリーさんの様子を見て、呆れた様子だ。

「ヘンリー、今日は、ソーマが市場で買った財布を、見てもらいたいんだが」
「はいはい、見ますよー。それですか?」

叔父様に冷たい口調で言われたら、ヘンリーさんはすぐに仕事モードになった。
テーブルの上に出していた、マジック財布に目をやった。そしてちょっと嬉しそうな顔をした。

「あ、もしかしてプティちゃんの色かな?」
「そうです!」

すぐに、プティの色に気がついてくれるの嬉しい!

「プティちゃんの色可愛いよねー。触ってもいいかな?」
「あ、はい」

僕は、ヘンリーさんから財布に触ってよいか聞かれたと思ったので、即答したんだけど、ヘンリーさんはプティの方に手を伸ばした。

「ヘンリー!」

叔父様が、すかさず注意する。

「うっ、つい。ごめんなさい」

ヘンリーさんは、プティの方に伸ばしかけた手を引っ込めて、財布を手に取った。
大丈夫かな‥‥。

両手で財布を手にして、じっと見つめているヘンリーさんから魔力がふわりと広がった。

「‥‥、うん、呪いの類はついてないよ。そして、結構魔力が強いね、容量が多そうだ」

ヘンリーさんは鑑定が出来るようなんだけど、呪い専門なのかな。
にこり、と僕に向って微笑んで財布を返してくれた。普通にしていると、やっぱりなかなかのイケメンなんだけどねー。

「よかったね。ソーマ。」

叔父様が言ったので、僕は頷いた。

「はい!ありがとう、ヘンリーさん! 叔父様も!」
「にゃーん」
(ありがとうにゃん)

僕がお礼を言うと、プティもお礼を言った。ヘンリーさんがまた身悶えしていた。
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