自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第2章

第57話 ストレージルーム

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お茶の時間に、ケーキが出てきた。もう作ってくれたんだ。嬉しい。
薄めに切ったケーキが、2枚お皿に並べられている。一つはナッツとドライフルーツ、もう一つは‥‥。

「紅茶だ。もう作ってくれたんだ」

紅茶の香りがした。早速作ってくれたみたいだ。

「まあ、紅茶のケーキなんて贅沢ね」
「お茶を煎れた後の茶葉を使ってみてってお願いしたんだよ」
「まあ」

母様は感心したようにケーキを少しずつ、香りと食感を味わいながら食べていた。
そして少し考えている様子だ。

「マーカスを呼びましょう」

近くにいた侍従に指示を出した。

「母様、叔父様をお呼びするの?」
「ええ、これは、お知らせしたほうがいいわ」
「でも、領地でも作ってもらってましたよね」
「王都ではお茶会も開くのよ。そのときにお出しすると他のお家に伝わるわ」

辺境の領地だと、近隣の領地との交流はまばらだったけど、王都だと、お互い近いからお茶会だの夜会だので招待し合う機会が増えるんだって。
そのときに、お菓子として出すと、他の家に伝わって先に商品化されちゃう可能性があるから、叔父様に伝えておいた方がいいんだそうだ。

「他で先に商業ギルドに登録をされてしまうと、商会でも販売ができなくなるのよ」
「え、それは困るね。」

正確には、商業ギルドにレシピを登録した人にお金を払って販売することになるんだって。
もしも、勝手に真似されて、こちらが販売できなくなったら、嫌でしょう、と言われたよ。
特許とかみたいなやつなんだね。
元々は僕が考えたレシピじゃないけど、自由に作れなくなるのは嫌だよね。

部屋に戻って、しばらくプティと遊んでいた。ちょっと熟練度上げも兼ねて、ストレージルームを使う。

プティにストレージルームに入っておいてもらって、僕は外から、ペンだのボールだのをストレージルームに入れてみて、中から見てどうなるのか
試してもらっていた。

(あちこちから飛んでくるニャ!面白いにゃ!)

いくつか放り込んでから、プティを呼び出すと、プティはちょっとテンションが上がっていた。

「ランダムな方向から投げ込まれる感じなのか。壊れやすいものとか大丈夫なのかな」
(飛んでくるけど、床についても音はしないにゃ。多分大丈夫にゃ)

ストレージルームの外から物を入れた場合、天井からそれが現れても、落下してきてそれが壊れる事はないみたいだ。
試しに僕がストレージルームに入った状態で、ペンを手にもってから離すと、ちゃんと床でカツンと音がした。

僕は中に居る状態で、外から物を入れられるのを見る事ができないけど、ちょっと不思議仕様みたいだ。
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